見出し画像

凶器

(思いっきりネタバレあり)

凶器は鈍器のようなものと思われます。

推理小説によく出てくる台詞である。

2時間ドラマなどでは、応接間のブロンズ像とかクリスタルの灰皿で後頭部を殴打され、殺害されるというケースが多い。

しかし、最近では灰皿を置いていない家庭が多い。
また、来客があってもリビングに通すことが多く、我が家を含めて、独立した応接間を持たない家が多い。


推理小説で重視されるのは、トリックは勿論のこと、動機や凶器だ。

変わった凶器をテーマにしている小説がある。

変わった凶器といえば、消える凶器もそのひとつだ。

たとえば松本清張のある短編では、海鼠なまこのような形をした大きなかき餅で人を殴り殺しておいて、そのお餅をぜんざいにして、近所の人たちに振る舞った女がいる。
証拠隠滅である。


また、氷の塊で殴り殺し、死体のそばに水溜まりが出来ていたというのはありがちな設定だ。
氷のナイフなど、氷を使ったトリックは古今東西、さまざまに存在するらしい。


記憶が曖昧だが、ドラマ『相棒』では、冷凍イカで刺殺するというのもあった。
その後、イカは調理され、オーベルジュのお客に提供された。


長いバゲットを買った。
二人暮らしなので、一度に食べきれなかった。

切り分けて冷凍するのが良いのだけれど、出掛ける前だったので、慌てて長いまま冷凍庫に入れた。

数日後、冷凍庫から取り出して食べようとしたが、棍棒のように硬かった。

凶器になりそうなほど硬かった。



※松本清張「凶器」は短編集『黒
 い画集』の中に収められています