見出し画像

三億円事件〜昭和最大の未解決事件

昭和最大の未解決事件といえば
間違いなくこれ!

三億円事件

1968年(昭和43年)12月10日
東京都府中市で東芝府中工場の
ボーナスを積んだ現金輸送車が
ニセ白バイ警官に盗まれた
という事件です。

現場は府中刑務所脇。
刑務所の見張り塔と高い塀を背に
ここからの中継を連日テレビで
見ていた記憶があります。


当時の3億円です。
今ならいくらになるのでしょうね?

日本全国、上を下への大騒ぎ。
しかもその手口の鮮やかなこと。


今風にいえば
劇場型犯罪ですね。

緻密なシナリオと
それを大胆にやり遂げた度胸に
不謹慎ですが、
感服します。

犯人を一躍有名にしたのが
モンタージュの手配写真。
ヘルメットに制服姿の端正な顔立ちの青年の顔。
今でも脳裡に焼き付いています。

しかし、後にこのモンタージュ写真がミスリードだったとも言われました。現金輸送車に乗っていた4人の目撃者が、犯人を見たのは僅か20秒。
しかも車に爆発物が仕掛けられていると言われれば我先に逃げるのが精一杯。
実はロクに犯人の顔を見ていなかったようです。


事件を題材に
数々のノンフィクションや
小説、映画が生まれ
中には奇想天外なものもありました。

犯人は女子高生だったという
宮﨑あおい主演の映画『初恋』

犯人の告白本など。

それだけ人々の心を惹きつけ
想像力を掻き立てる
事件でした。

一滴の血も流さず
まんまと掠め取られた3億円。
ボーナスも保険会社が補填して全額支給されたそうです。
犯人には悪のヒーロー的な魅力がありますね。

刑事一代
平塚八兵衛の昭和事件史

新潮文庫 佐々木嘉信 著
産経新聞社 編 の中に

三億円事件の章があります。
途中からですが、
実際に捜査の指揮を執った
伝説の(実在の)刑事
平塚八兵衛さんによる
回顧録です。

八兵衛さんの口調そのままに
捜査の内幕を知ることができます。
モンタージュ写真のことをモンタ、モンタというのがユーモラス。
昭和の名刑事をもってしても
時効を迎えてしまった。。。
悔しさが滲み出ています。

一方、松本清張

小説 3億円事件

「米国保険会社内調査報告書」

新潮文庫『水の肌』収録

はアメリカの保険会社の調査報告という形で犯人像を推理する小説です。
フィクションなので、設定を変えているところもありますが、
綿密な取材に基づいた内容なので
とても興味深いです。

一般に、不良グループのリーダー格の少年(父親が警察官)を実行犯とする説が有力ですが、直後に青酸カリ自殺してしまいました。
共犯者(いるとすれば)はどこにいるのでしょう。
そして、3億円の行方は?


投入した捜査人員延べ17万人以上。
容疑者リストに載った人、11万人。
3億円の3倍もの捜査費用を投じたといわれるこの事件。


全てが桁違いのまま
迷宮入りとなりました。

事件そのものには死傷者は出ませんでしたが、捜査の過程で死者も出たということです。

インターネットで調べたり
改めて本を読み返したりしてみましたが、
調べれば調べるほど謎は深まります。

被害額、ざっくり3億円といいますが
正確には2億9430万7500円
語呂合わせで憎しみゼロ
というのも面白いですね。

この事件をきっかけにお給料を
銀行振り込みにする会社が増えたんだとか。

ウソかホントかは知りませんけどね。


『刑事一代 平塚八兵衛の昭和事件史』より↓