見出し画像

映画『オッペンハイマー』

話題作『オッペンハイマー』を観た。
おそらく内容の半分も理解できていないから、まともな感想など書けるはずもない。

それでも何かを書かずにはいられない。

第96回アカデミー賞最多13 部門ノミネート。
作品賞、監督賞、主演男優賞など多数受賞。
ゴールデングローブ賞最多5部門受賞。
エンターテインメントを超越した問題作だった。

天才物理学者ロバート・オッペンハイマーは、人類史上初の原子爆弾を開発するため、マンハッタン計画のリーダーに抜擢された。

戦後は「原爆の父」と呼ばれ、第二次世界大戦を終わらせた立役者として持て囃されたが、その後の人生は決して恵まれたものではなかった。

共産党との関係を疑われ、ソ連のスパイの容疑をかけられ、大量破壊兵器を開発した殺戮者として、自責の念に苛まれた。
政府の水爆開発に異論を唱えたことで、公職追放された。

世界は冷戦の時代へ。


わたしは広島で生まれ育った者として、この作品を平静な気持ちで観ることはできなかった。

原爆投下を決定した張本人として、トルーマン大統領、B29の操縦士のことまでは思いが至ったが、原爆を開発した人に関してはなぜか無関心、無知だった。

オッペンハイマー博士を演じたのはキリアン・マーフィー。
真摯に学問を探求する学者が、原爆の開発を担わされるという運命の人となる。
繊細で、ときにエキセントリックなオッペンハイマー博士を見事に演じていた。

ロスアラモス研究所
ニューメキシコ州サンタフェから北西へ約60キロ。
原子爆弾開発のためだけに、大自然の中に街を造り、研究施設や住宅を建設し、学者や軍人、その家族も呼び寄せ、生活を共にした。
原爆完成までに3年を要した。

実験が成功し、原爆投下の候補地が絞られ、決行の日が決まる。
そして世界初の原子爆弾「リトルボーイ」は飛行機に積み込まれた。


この映画は内容もさることながら、2つの視点で描かれていて、戦前と戦後と行きつ戻りつしながら進行するなど、難解な点が多かった。
一度観たぐらいでは完全には理解できず、これ以上掘り下げることはできないけれど、
理解できないなりに、原爆投下の背景を知ることができた。

戦闘シーンはなく、ヒロシマ、ナガサキの惨状も描かれていないが、こういう戦争映画もある。
圧倒的な衝撃を受けた。



 




この記事が参加している募集

映画感想文