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⑨種蒔きとコンパニオンプランツ ~アパートの庭エディブルガーデン化プロジェクト~

植物には、一緒に植えると効果的と言われる色々な組み合わせがあります。

「〇〇は〇〇のコンパニオンプランツ」という言い方もしますが、パーマカルチャーの世界でもよく例として用いられるネイティブ・アメリカンの "3 sisters" と呼ばれる組み合わせが有名。

その3姉妹とは、トウモロコシ、インゲン、カボチャのこと。

キーホールガーデンにその3種を植えつけた直後
  1. 太く高い茎でそびえ立つトウモロコシを支柱にして、つるありインゲンが上へ上へと育つことができる。トウモロコシの天敵の蛾も寄り付きにくくなる。

  2. 窒素固定菌が根っこに集まるマメ科のインゲンは、空気中の窒素(植物の3大栄養素のひとつ)を土の中に送り込んでくれるので土壌が豊かになる。

  3. その恩恵を受けて足元で育つカボチャは、地面を這うように大きな葉を茂らせるので天然のグランドカバーとなり、過度な乾燥を防いで土壌の湿度を守ってくれる(何にも覆われていない地面は自然界ではどちらかと言うと不自然)。

  4. 土がどんどん豊かになるのでトウモロコシも元気になる...

そんな感じ。

有名なこの組み合わせはお互いの成長を助けるというだけでなく、空間を立体的に効率よく使って(住み分けて)育ってくれ、こういう計画的な空間の使い方をSpace-Stackingとも呼びます。

上手く育ってこの効果が発揮されたら見ている方も嬉しくなりますよね。

この3 sistersが育つ様子を想像するとネイティブ・アメリカンの暮らしの風景も浮かんできたりしますが、日本の家庭菜園でよく見かける植物でもたくさんの組み合わせがあります。

空間的に成長を助けたり、土壌を豊かにしてあげたり、発する香りで他方の植物の害虫を遠ざけたり、逆に他方の益虫を呼び寄せたりと様々です。


コンパニオンプランツの例

<キク科 x アブラナ科>

・レタス x キャベツ

・春菊 x 小松菜

見た目が似ている(実は子どもの頃違いが分からなかった)レタスとキャベツは違う科に属し、レタスが近くに植えてあるとキャベツを食べる芋虫が来にくくなるそう。

同じ理由で、小松菜を植える畝の崖部分に春菊を筋蒔きする人もいます。

カボチャの周りに春菊をぐるっと
大きいのが小松菜、小さいのが春菊

<セリ科 x アブラナ科>

セリや人参なども、キク科と同様の効果を発揮してアブラナ科を食べる虫を遠ざけます。

特に人参と大根の組み合わせはお互いの害虫を遠ざけるだけでなく、どちらも養分が少なくても育つし直根が育つタイプなのでスペース的にも養分的にも競合せずに一緒に育てられる。

<人参 x 枝豆>

人参の香りが枝豆の天敵カメムシを遠ざけ、枝豆が人参の天敵アゲハ蝶を遠ざけるWin-Winペア。更にマメ科の枝豆が土質を良くする。

<里芋 x 生姜>

ある程度の日陰と湿気を好む生姜が、同じく湿気を好む里芋の茂る葉っぱの陰で元気に育つとのこと。

<オクラのコンパニオンプランツ>

アレロパシー(周りの植物の成長を阻害する成分を出して繁栄する能力)が強くコンパニオンプランツ探しが難しいと聞くオクラですが、意外に大丈夫という意見もちらほら聞かれ、よくつるありエンドウやインゲンがオススメされます。

マメ科なので窒素固定作用でオクラが育つ土を豊かにすることと、3 sistersのトウモロコシと同様、つるを伸ばしてつかまるのにオクラの丈夫で長い茎はうってつけ。

<一緒に食べると美味しい>

・トマト x バジル

冗談みたいな話ですが、食べ合わせが良い植物同士もいいコンパニオンプランツになることが結構あるようです。

バジルの香りがトマトに寄って来る害虫を遠ざけます。

トマトの足元にいるバジル

<割と誰とでもコンパニオンになれる面子>

・マリーゴールド

マリーゴールドの葉の匂いがアブラナ科を好む虫を遠ざけたり、根っこから出る分泌液が土壌のセンチュウなどを遠ざけます。
もちろん花もめっちゃ綺麗。

・ネギ、ニラ

一方のネギは匂いや分泌液ではなく、根っこに来る共生菌が植物の病気の原因菌を遠ざける優れモノ。特にキュウリなどウリ科の植物の病気を防ぐのが得意で、天敵ウリハムシを遠ざけてもくれるらしい。万能すぎ。

同じネギ属のニラも同様の効果を発揮するし、ネギよりも根が深く伸びるので、同じく根を深く伸ばす植物(ナスとか)との相性がより良いみたい。

・クローバー類(特にクリムゾンクローバー)

野菜の害虫と言われる可哀そうな虫たちの有名なひとつがアザミウマ。キュウリやカボチャなどのウリ科、ナス科、柑橘、ネギ類など、超幅広く寄生する美食家で、葉や果実に被害を与えるので嫌われがちな存在です。
駆除の方法を調べると防虫ネットを張るか殺虫剤を撒くなどの対策が出てきますが、アザミウマが好きな植物を近くに植えることでそっちで満足してもらうという方法もあります。

そこで登場するのがクローバー。これもマメ科なので土壌を豊かにしてくれるだけでなく、特にクリムゾンクローバーは赤く綺麗な花をつけて見た目も鮮やかで、しかもアザミウマをかなり引き受けてくれるそう。
更にはアザミウマを捕食するテントウムシ類も呼び寄せてくれるので、これまた優秀すぎる。

などなど。

右側のキュウリとトマト、中央の万願寺唐辛子の足元をサツマイモがグランドカバーしてくれてる。

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僕が知らない組み合わせも無数にありますが、コンパニオンプランツの発見って基本は経験則や予想とトライ&エラーのたまものだと思うので、人類にとって未知の組み合わせもまだまだあるはず。

「この子とこの子合うんちゃうかな?」って予想して、やってみて、「お、なんとなく成功したんちゃう?」っていう遊び、楽しいのでオススメです。

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というわけで、コンパニオンプランツの説明が楽しくなって長くなっちゃいましたが、そんなことも考えながら今回蒔いた種はこちら。

今回蒔いた種たち

<直線畝>

・バジル → トマトの足元にぐるっと

・小松菜 → キュウリ、トマト、ゴーヤの間に点々と

・春菊 → 小松菜の両サイドに点々と

・インゲン → トマトの支柱の足元に

<キーホール畝>

手持ちのハーブ類を空いてるスペースに散りばめた。

・カモミール

・ラベンダー

・エキナセア

<その他>

・朝顔 → 縁側の上からネットを張ってグリーンカーテンに

・ベビーリーフ → 青じそのドーム畝の斜面にぐるっと

まとめ

既に地上に出ている定植した苗たちと、まだ姿が見えない蒔いた種たち。

成長フェーズが全然違う両者がそれぞれどんな高さになるか、枝葉がどう広がるか、根がどう張るかを想像しながら、窮屈すぎず、コンパニオンプランツとして好影響を与え合える距離感をイメージして配置を実践していく。

結果成功しようが失敗しようが、これがまた楽しいのです。

このプロセスにはSpace-Stacking/Time-Stackingという考え方も関わりますが、それはまた別の回にて◎

(コンパニオンプランツの例の写真は昨年のトライより)

8月初旬から夫婦でCamino de Santiago巡礼の旅に出ています。出費はできる限り少なくしている旅なので、サポートは有り難く旅の資金にさせていただきます。ですが、読んでくださったり反応をいただけるだけで、一緒に旅している気分になって十分エネルギーをいただいています。^^