この試合があったからこそ
2013年12月8日
とりぎんバードスタジアムでの出来事は忘れられない。
この試合のことだ。
結果は……
こうなってしまった。
丸亀(今で言えばPikaraスタジアム)での初戦で、1-1の引き分けに終わっていたので、負けなければ良かったはずだった。
だが、実際には敗れた。
私はこの試合をガイナーレ鳥取の応援者として観ていたわけだけど、敗北なんてするはずがないと思いながら観ていた。
しかし、早い時間に失点し、それを挽回しようと攻撃の選手を投入しまくったが、奏功しなかった。
そして、ご存知のような結果になった。
試合終了と同時に喜びを爆発させたカマタマーレ讃岐のサポーター諸氏を対面に観ながら、私は「これで応援者としての自分はとりあえず区切りがついたな」と思った。
前々から何度となく言っているが、脳梗塞などというものをやってしまったせいで、以前のような応援行為はもうできないと思っていた。実際、この日もしんどさ全開ながら、自分のできる範囲での精一杯をぶつけた。
仮にそれをしても「不足だ」と言われてしまったら、それはもう、素直にごめんなさいするしかない。
だから、この試合でたとえ勝とうと負けようと、応援からは退きたいと思っていた。身体がついて行かない。
で、まあ、結果的には敗れた。
勝負は時の運だし、仕方がない。残酷な結果ではあったが、仮にJ2に残れたとしても、もっと茨の道を進まないといけなかったのかもしれない。
それって、ガイナーレ鳥取というチーム、あるいはそのチームを運営する株式会社SC鳥取にとって、幸福たり得たかは正直言ってわからない。
ただ、個人的な思いを言えば……
この試合があったからこそ、今もガイナーレ鳥取の試合を観に行ってるし、楽しむこともできているのだ
……ということだけは明確に言える。
別に負け惜しみとかではない。それは事実だ。
もちろん、あの試合に勝つなり何なりして「J2に残れた。ああよかったですね」で大団円になっても良いのかもしれない。
そうなれば、今とは違うガイナーレ鳥取が見られたのかもしれない。その予想はつかない。
だが、そうならなかったからこそ、若く野心的な監督や選手が多く来るようなチームになった。中でもレオナルドとか、安藤由翔、馬渡和彰、中山仁斗や林誠道、井上黎生人みたいな選手たちが来てくれた。
その一方で要石としてフェルナンジーニョや北野貴之みたいな選手が来たりもする。
もちろん、今いる選手たちも、皆それぞれに野心的で、観ていてわくわくするようなヤツらばかりだ。
J3リーグにカテゴリが下がったからと言って、悪いことばかりではなかったのだ。
2017年に森岡隆三監督が来てから、たぶんこのチームは良いディレクションを向き始めたのだと思う。
その一因が、彼ではないかと思う。
吉野智行。
現在のガイナーレ鳥取強化部長だ。最初は慣れない仕事だったのかもしれないが、強化の仕事を続けるうちに、いろいろなことがわかってきたのかもしれない。
今では彼に任せておけば大丈夫だとさえ思える。彼がその時々の監督たちと詰めながら選手を集めるのだろう。
断言したい。得がたい人材を、ガイナーレ鳥取は得ている。それが吉野だ。
彼らの合作としての、とてもフレッシュな印象のあるチームは、観ていていつも面白い。楽しいとも言い換えられる。
勝負事である以上、常に勝てるわけではないけれど、しかし、その可能性はだいたい見せてくれる。
だから、ガイナーレ鳥取の試合を観に行くのは、勝ち負け云々を別にしても楽しい。それだけのものを見せてくれると思うから。
その原点は2013年12月8日の、あの試合で敗れたことにあったと、今はハッキリと断言できる。
基本的に他人様にどうこう、と偉そうに提示するような文章ではなく、「こいつ、馬鹿でぇ」と軽くお読みいただけるような文章を書き発表することを目指しております。それでもよろしければお願い致します。