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私の人生の選択と価値観に影響を与えた本たち#3

「これまでの人生の選択や価値観に影響を与えた一冊」を紹介するブックカバーチャレンジ3冊目。

3冊目は『3月のライオン』(羽海野チカ)

そうです。マンガです。

幼い頃に不慮の事故で両親を亡くした少年・桐山零。プロ棋士であった父親の友人一家に内弟子として引き取られ、将棋の道を志し15歳でプロ棋士に。そして家を離れ、高校に通いながら棋士として孤独に戦う日々。

自らの境遇を引きずり人との付き合い方に悩み、どう人と心を通わせたらいいか分からないまま他者と距離を取っていたが、三姉妹・あかり、ひなた、モモとの出会いから少しずつ心のすき間を埋めていく…そんな主人公・桐山くんが大事なものに気づいていき、棋士として人間として成長していくお話。

数々の漫画賞を受賞し、アニメ化、映画化もされた人気の作品なので、好きな方も多いのではないでしょうか。

この作品との出会いも長いもので、大学生の頃に前作『ハチミツとクローバー』と出会ってハマり、2007年の連載当時から読んでいます。

羽海野さんが描く柔らかなタッチと魅力的なキャラクター、繊細で豊かな心理描写と、詩的で時に鋭い言葉選び、それでいて心にじーんと響く数々の名場面がある作品。

アニメの出来栄えも秀逸なので、原作好きな人でまだ見ていないという方はぜひどうぞ。

この作品は、読み始めた頃から主人公・桐山くんの境遇、彼が抱く孤独や葛藤、その不器用さに中高時代のかつての自分の姿を重ねて読んできました。

桐山くんの成長は本人の努力ももちろんありますが、それ以上に魅力的な登場人物のエピソードも大きく影響していて、

”一人じゃどうにもならなくなったら誰かに頼れ。でないと実は誰もお前に頼れないんだ”
”「逃げなかった」って記憶が欲しかったんだと思います”
(「なぜプロ棋士になったのに、高校に行き直したのか?」という質問に対して)
”「信じれば夢は叶う」それは多分本当だ。但し一文が抜けている。「信じて努力を続ければ夢は叶う」——これが正解だ。さらに言えば、信じて「他のライバルよりも1時間長く毎日努力を続ければある程度迄の夢は、かなりの確率で」叶う——だ”

こうした作中に出てくる言葉の一つ一つから、過去の自分に言われているような感じがしてあの時の頑張りが救われたような気持になったり、今の自分の生き方に対して背中を押してくれて、奮い立たせてもらっています。

何かの専門家として生きていくって簡単なことではないですよね。

上手くいかないこともあるし、これでOKという終わりもない。

なんならずっと何かに挑戦し、失敗から学び続けないといけないのがプロフェッショナルという生き方なんだと思います。

たとえ自分の限界一杯いっぱいまで頑張ってみても、やっぱり追い付けないような手の届かない存在…上には上がいる。

信じてやってきたことが正解かどうかも分からないから、常に自問自答。

それでも、人がこの生き方を選ぶのはなぜだろうと考えたことがあります。

あなたはどう思いますか?

もちろん、正解なんてものは当然ありませんが、それはその人が特別に才能があったり強いからだけでなく、頑張る理由と勇気を誰かからもらえているからなのかもしれないな、とこの作品から感じました。


桐山くんとは道は違えど、自分で選んだ道を信じ、そして矜持を持ち続ける一人のプロフェッショナルとして生きていきたい。しかしそれは必ずしも一人きりの戦いでいなければならない訳ではないはず。

人は一人で生きていけたとしても、独りでは生きていけないのだから。

私はそう思います。

皆さんは、自分の背中を押してくれた一冊ありますか。


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