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自分は世界を構成しているうちの一つ

『はたらく細胞』という漫画を読みました。
人体の中が舞台で、赤血球や好中球などの各種細胞が、それぞれ擬人化されていました。
そしてウイルスや花粉などの外敵と戦い、身体の平和を守る、という内容です。
「自分の考えと同じだ!」と衝撃を受けました。

なぜそう思ったかと言うと、この考え方は、大学生時代に免疫学や生理学や組織学を学んでいた時に、ぼんやりと頭に浮かんだものと、ほとんど同じだったからです。
その後、顕微鏡を覗いたり色々な生物の体を見るにつけて、はっきりと形づくられていきました。

生体は、様々な種類の細胞により、形作られています。
それぞれの細胞は、全く異なった働きをします。
また、各種細胞により数が圧倒的に違います。
白血球は、菌やウイルスや寄生虫などと戦います。
赤血球は、身体のあちこちに酸素を運びます。
脳神経細胞は、神経伝達をします。
筋細胞には三種類あり、横紋筋は腕や足で力仕事を、平滑筋は胃腸などで食べ物の消化や輸送を、心筋細胞は生まれてから死ぬまで休みなしで心臓を動かし続けます。
一見すると、重要な細胞とそうでは無い細胞があるように見えます。
しかし当然そんな事は無く、どれも大事でお互いの働きによって助け合いながら、一つの生体を維持しています。

人間の社会と似ていると思いませんか?
大企業の重役や、政府の要人は、脳神経細胞。
多くの取り換えがきくように見える一般庶民は、生まれてはすぐに入れ替わっていく、体表の細胞や腸粘膜の細胞。
やはり一見すると、重要な人物とそうでは無い人物がいる様に感じるかも知れません。
しかし、どちらが偉いなんて、無いのです。
みんながいなければ、成り立たないからです。

「職業に貴賤は無い」

この言葉は本当に正しいのです。

ところで、生体にはガン細胞が生まれてくることがあります。
社会にとってのガン細胞は何だろう?
そう考えると、恐ろしくなります。

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