三本の橋

昔々ある所に、酒のみの男が住んでいました。
男は仕事が終わると、毎晩酒場に行っては3本の酒を呑み、家に帰って眠るという日課を繰り返していました。
男の家と酒場の間には一本の川があり、そこには一本の橋がかかっていました。

あまりにも毎晩酒を呑んで酔っ払って帰ってくる男をみかねたおかみさんは、ある時言いました。
「お前さん、この調子でいてはいつか体を壊してしまうよ。お酒を少し控えておくれ」
本当は止めてくれ、と言いたかったのですが、酒飲みの男にそこまで求めるのは難しいと思って、こんな提案になりました。
「わかったよ。オラ、飲み過ぎていただ。今日は量を減らしてみるよ」
そう言って男は、今日も酒場に向かいました。

いつも3本呑んでいたのを2本に抑えて帰る事にしました。
さて、家路の途中で川に差し掛かりました。
すると不思議な事に、川には橋が2本かかっているではありませんか。
「はれ、おかしな事もあるもんだ。オラはどちらの橋を渡れば良いだか」
男は迷ってしまいました。

いつもは3本かかっている橋の真ん中を渡って帰ってくるのですが、今晩は2本しかないのでそうは行きません。
「一体どうしたらエエだか」
迷っている間に、夜が明けてしまいました。

次の晩から男は、いつものように酒を3本飲む様になりました。

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