「出版パーティーをやらないといけませんか?」と訊かれますが…
出版が決まった方から、このように訊かれることがあります。
僕の答えは「やりたくないならやらなくていいですよ」です。
というか、こう訊く時点で、あまりやりたくないのでしょう笑
なぜか「出版パーティーをやらなくてはならない」と思っている方が多いのですが、乗り気でないならやらなくても大丈夫です。
(もちろん、やりたい方は絶対やったほうがいいと思います)
「どうしようか迷っている」という方に対しては、僕がこれまで見聞きしてきた事例をお伝えするのでご参考になさってください。
事例①イメージと違う
かつて、すごい乗り気だった著者さんがいて、出版記念パーティー&二次会までやった方に、こう言われたことがあります。
「やっぱりパーティーって若者のものなんですね」
かつての自分は体力が有り余ってノリもよく、出席者もみんな若かったからか輝かしく見えた。夜通し遊んで飲んで色んな出会いがあった…
「思っていたものと違いました」と言われて、僕は「今さらですか?」と脱力しかけましたが、じつは僕も若い頃に「なんか俺が知っているパーティーとは違うな」と感じたことはあります。
やはり若いときと年を取ってからのパーティーは別物です。特に「華やかな頃の自分」を知っている方であれば「あのときの自分よもう一度」は難しいかもしれません。
事例②人脈作りはできない
①のような方ではなく「もう大人なんだから」と、大人としての楽しみ方をできる著者さんであれば、出版パーティーも大いに楽しめるでしょう。
ただし、その楽しみを人脈作りに求めると危険です。
確かに色んな方がいて名刺交換できると思いますが、そこから一気にビジネスに発展した話をあまり聞きません。結果的にそうなる可能性はあるかもしれませんが、それ目的でパーティーを開くのはやめたほうがいいです。
また、パーティーの主催者は出席者みんなに挨拶をして回り、四方八方に「みんな楽しくやれてるかな」と気を配るのが普通です。ただ参加するだけでいいパーティーとは勝手が違います。
事例③人を集めるのが大変
友達が少ない方であれば人集めはかなり苦労します。
いえ、友達は多いほうだという方でも苦労されるでしょう。
特に東京や大阪などの大都市以外の著者さんでは難しいと言えます。
パーティーというからには100人、少なくともその半分は欲しいでしょう。
先ほど「友達が多い方でも苦労する」と書いたのはこの点です。
結婚式などと違って、仕事を休んでまで来てくれるわけではありません。
特にアウェー開催は危険です。遠隔での人集めは至難の業なので、たとえば地方の著者さんが東京で開催しても、よほどの方でないとなかなか動員できません。地元でやることはパーティーの鉄則と考えていいと思います。
事例④そもそもの準備も大変
大抵の著者さんが仕事を抱えながらの準備になりますので、はっきり言ってかなり大変です。まず適当な会場を見つけるだけでも苦労されます。
なぜなら、会場は人数に連動するからです。
たとえば「100名くらい集められる」と思って大規模な会場を借りても、30名しか動員できなかったら変更せざるを得ないということもあるでしょう。
ほかにも、料理や飲み物をどうするか、どういうプログラムにしようか、受付や司会は誰に頼むか、二次会の話になったらどうしよう…考えることが山ほどあります。
さらに女性であれば、当日サロンに行ったりドレスを借りたりと、やることが増えるのでますます大変です。
逆に言えば、こういう準備を楽しめる方であれば向いていると思います。
事例⑤それなのに文句を言われる
多くの場合、出席された方にお礼を伝え損ねたり、あちらから来たメッセージのご返信を怠ったりすると、相手に悪い印象を抱かせてしまうことがあるようです。せっかく無事に終えたのにもったいないことだと思います。
著者さんに「今度の出版パーティーで何かアドバイスはありますか?」と訊かれたら、僕は「パーティーの翌日でもいいので必ずお礼して、お返事が来たらお返しもしてください」とお願いしています。
人間、完璧でははないですし、参加者の方々だって「ほかにも出席者は大勢いる」ということは分かっています。その点、仮にパーティー中に何かあったとしても、大目に見てくださる方がほとんどです。
しかし、パーティーの後は話が別だと思います。
みなさん、せっかく「著者さんのために」と時間を割いてくださったのですから、解放感に浸るのはお礼を終えた後にしましょう。
事例⑥出席者が招待客に迷惑を掛ける
どんなところでも自慢話をしてくる人がいます。
僕はパーティーでは聞く側に回るので特にされますが、身内や友人ならいざ知らず、初対面の他人が語る自慢ほどつまらないものはないでしょう。
先日も「妻が元アイドル」という話をする人に15分も付き合いました。
だから、なんだというのでしょうか?
そもそも自慢になっていないような…奥さん本人がするならともかく。
主催者の著者さんには何の落ち度もないと思いますが、出席者は選んだほうがいいでしょう。普段から「この人は非常識で危険だな」という人は呼ばないほうが賢明です。
以上6点をお伝えすると、大抵の方が「やめておきます」となります笑
上にも書いた通り、迷っている時点で「やりたくない」と思っている方がほとんどなので、著者さんの意向を汲んでそっと背中を押してあげるのも編集者の役目かなと思っています。
①は若い頃クラブに出入りしていたり、よく合コンしていたりなど、イケイケ系の方に多いです。記憶は美化されることも多いので「あんな感じで楽しめるのかな」と思って開催するとガッカリしてしまうかもしれません。
②は人脈作りや、有名人・権威ある人との出会いに熱心な方が、よく陥りがちなポイントです。自分が出席者で参加するパーティーならともかく、主催者側に回ればそんな余裕はないでしょう。
③と④は本当に苦労すると思います。特に③はめちゃくちゃ大変です。友人知人が子育て世代だと、さらに集まりにくかったりします。「もっと広い会場にすればよかった」となるくらいでちょうどいいかもしれませんね。
⑤は「終わり良ければ総て良し」の言葉通りです。
⑥みたいに出席者が迷惑を掛けても、⑤でお礼のメールを出すことで「こんな人がいた」というご返信を頂ければ、早めに謝ることができます。
出版パーティーは、特にデビュー作で行われることが多いです。
つまり「一生に一度の晴れ舞台」と言えます。
結婚式と同じで、それが夢だという方はやるべきですし、それが面倒だという方はムリにやらなくても構いません。人は誰しも向き不向きがあるので、自分に思いや性格と向き合って決めてください。
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