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20代のいま、学生納付特例追納すべき?

40万円?80万円?追納?これって納めたほうがいいのか。わかりづらくなると嫌なので、大卒(院卒)企業へ就職した人を想定して、調べたものを軽めに共有します。

ことの発端

20代のみなさま、おそらく年金事務所から、なにやらよくわからないハガキが時々届いているかと思います。私にもなにやら「サササササササ」(学生納付特例の期間を表す)とか書かれているハガキが時折届き、中を読むもよくわからない。

このハガキ、よく読むと「学生納付特例制度追納可能ですよ」と書いてある。私の場合は1年入学が遅れ、修士までいったので、100万ちょいが記載されており、これをなんと納められますよと。(高すぎる…)

大学入学直後学生納付特例を申請していた方を想定すると、おそらく今の20代なら18-19万/年程度、請求されているかと思います。20歳から徴収なので人によりますが、ストレートで大学を入学・卒業と考えると、40万円前後、大学院まで行くと80万円前後、浪人したり、誕生日によってもう少し多い程度でしょう。これって支払うべきなんでしょうか。

学生納付特例
https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150514.html

もらえるかどうかというよりも給付金額へ影響

学生納付特例は学生の間、国民年金の支払いをなしにしてあげますよという特例です(そのまんま)。しかし、これを後から払うことを許してあげましょうというわけです。

払うと何が嬉しいのか?

先に国民年金のルールを端的に説明すると、以下のとおりです。

1.一定の条件を満たすと65歳からお金!!(老齢年金)をもらえる
2.国民年金は加入していた期間でもらえるかどうか判定される
3.もらえる人に関しては支払っていた期間により、もらえる金額が違う

2.のもらえるかどうかの判定基準ですが、10年以上加入してるかで判断されます。そしてこの加入期間には追納しなくても学生納付特例期間は含まれます。よって、こちらはあまり関係ありません

3.いくらもらえるのかについて。国民年金は何ヶ月納付しているのかで給付される金額が決まるんですね。そして、学生納付特例期間は加入している機関には含まれますが、納付済の期間にはなりません。よって、追納しなかったヶ月分が、20-60歳の40年間480ヶ月納付の満額から比例的に差っ引かれます

すなわち、基本的に学生納付特例の追納は、国民年金として65歳から貰える金額に影響します。

タイムリミットは10年

タイトルで20代と述べた理由なのですが、追納にはタイムリミットがあり、その期限が10年なんですね。20歳からの学生納付特例のタイムリミットが30歳、すなわち30歳をすぎると追納できなくなります。そのため、決断するなら20代のうちにということになります(今年29歳になる私はこの事情もあり重い腰を上げ調べました…)

結局いくらになるんですか

じゃあ払わないといくら損なんですか、と誰もが思いますね。ざっくりですが、金額感としては以下のような形です。

満額20歳から60歳まで480ヶ月納めたとすると現在は78万1700円/年、12で割って6万5000円/月もらえます。そのため、現在の状況だと1年分(20万弱)追納すると、月あたり(12/480)×6.5=1625円、年額2 万くらい増えることになります。(私なら5年分あるため、100万納めて年10万、月8000円くらいの増額でしょうか)

このことから計算すると、平たく言えば10年受け取ることができればトントンということになりますね(20万が1年あたり2万くらいで返ってくるため)。65歳から給付されるとすれば、75歳まで生き抜く自信があるならペイするということになります。

思わぬ追い風、所得控除

10年か…とかなり及び腰になっていた私ですが、実はもう少しお得なようで、追納分はその年の税金のかかる所得から差し引かれるようです。

額面300万円より税金を引かれる人が、40万円追納すると、260万円から税金が引かれることになるというようなイメージですね。

このことを踏まえると、税金でしょっぴかれる分を自分の保険料として転用できることになるので、もう少しお得です。

ハガキに掲載されている例だとざっくり課税所得が300万、40万円追納すると追納額は32万で済む(所得等によりそれぞれ異なる)。

となると、32万払って年に4万増えるので、8年もらえば(73歳まで生き延びれば)ペイしますね。

結局追納すべきか否か


最後に結局追納すべきなのか考えつつ、まとめとしたいと思います。

第1に、年金は長く生きてしまうリスクや景気へ景気変動リスクををわかちあうもの(盛山和夫『年金問題の正しい考え方―福祉国家は持続可能か』中公新書 2007)と考えると、長生きしてしまうリスクを国家が保証してくれるのであれば、ひとつの投資先として、追納しておいてもよいのではないかということです。仮に100歳まで生きてしまった場合、生活水準を大きく落としてこの世を引き取るのはなかなか厳しそう。人生100年時代のリスクを甘く見てはならないというわけです。

第2に、本当にもらえるの?という疑問・不審を持つ方が多いでしょう。大金を保険として支払い続け、国から「やっぱりお返しできません。年金やーめた。」というリスクですね。それは、流石にないでしょう(日本が吹っ飛ばない限り…)。仮にそのような暴挙が出た場合きちんと投票行動で示せばよいかと思います。政府もいかにプライマリーバランスが終わっているとはいえ、国庫(税金)を年金に注入したり、給付年齢を後ろ倒したり、繰り下げ受給(65歳より後で貰う代わりに金額をかさ増しする)したりと工夫を凝らして給付を維持できるように対策しております。給付額下方修正等先が読めないところもありますが、追納しないより追納した方がもらえる状況は確実に維持されると思います。(年金はパッチワーク的に改正が進んでいますが、過去も世代間の差異以外はきちんと考慮して細かな規定がされています)

以上まとめると、追納はもらえる金額へ影響し、8年程度長生きすれば総額はペイする。長生きするリスクを鑑みて追納するか決めましょう

なお、「払いたくてうずうずしてきた」という方、追納は年金事務所経由のようですので、お近くの年金事務所へご相談どうぞ。(念の為、私は年金事務所の回し者ではありません)

なお、わかりやすさ重視なので、加算額とか障害年金とか色んな所に触れていません。年金複雑すぎるのでそこはご勘弁。

追伸:自分は長生きが怖いのでひとまず1年分払おうかな…せっかく調べたしね。


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