どうすればプロダクト開発における失敗を避けられるか〜書籍「ゼロから始めるプロダクトマネジメント」の紹介〜
どうも!かずうぉんばっとです!
今回の記事ではプロダクト開発に関わる人なら誰もが興味があるであろう
どうすればプロダクト開発における失敗を避けられるか
について書きたいと思います。
自分はこれまでずっとエンジニアをしていて、どうやって作るのかということにフォーカスしてきたのですが、最近は自社サービスの立ち上げを行っており、何を作るかということについても勉強しながら試行錯誤しています。
そんなときに見つけたのが副題にも入ってる書籍「ゼロから始めるプロダクトマネジメント」です。
この本ではたかし君と言う中学生がお兄さんのアドバイスを受けながら、英語学習アプリを開発し、成長させていく過程を通じて、どのようにしてプロダクトを開発していけばいいのかと言うことが物語形式でとても分かりやすくまとめられています。
新規のWeb、アプリなどのプロダクト開発に関わる人なら必読の一冊となっていますので、この投稿を見てもっと詳しく知りたいと思ったら、ぜひ購入して読んでみることをおすすめします!
今回はこの書籍を読んで、どうすればプロダクト開発における失敗を避けられるかを自分なりに再解釈してまとめたものをご紹介します。
スタートアップが失敗する理由で最も多いのは〇〇
本題に入る前にスタートアップが失敗する理由で最も多いものはなにかという話を聞いたことがありますか?
お金がなくなったからでしょうか?メンバーの仲間割れでしょうか?
正解は...
出典: cbinsights.com
NO MARKET NEED(市場が無かった)からです。
スタートアップというのは大抵の場合1つのプロダクトにリソースを集中させて一点突破するので、スタートアップの失敗=プロダクトの失敗理由と置き換えることができるかと思います。
ではなぜ多くのプロダクトが、市場が無かったという一見マヌケにも見える理由で失敗してしまうのでしょうか?
これは自分のいままで複数のサービスやスタートアップでプロダクト開発をしてきた経験からの私見ですが、
市場、課題を見極めずに作ってしまったから
だと考えています。
なにかアプリやサービスのアイデアを思いついたとき、これはいけると興奮して、勢いそのままに作るのは楽しいものです。
また、作るとどんどんかたちになっていくので、物事が前に進んでいる感がして気持ちよくなり、ついつい作ることばかりに夢中になってしまいます。(かくいう自分も以前までは完全にこのタイプでした...)
そしていざサービスを世に公開してみると、鳴かず飛ばず...
ただもうここまで作ったからには後戻りできず、そのまま突き進み結局市場が無かったと言うどうしようもない理由で失敗してしまいます。
どうすればそのような失敗をせずに済むのか?
では、このような失敗を犯さないためにはどのように新規プロダクト開発をおこなっていけば良いのでしょうか?
当たり前ですが、
市場がある課題(ユーザーが必要としているもの)を見極めた上でそれを解決するプロダクトを作る
をすればいいのです。
とはいえ言うは易し行うは難しですね。
ではここからその具体的な方法を見ていきましょう。
失敗しないプロダクト開発のステップ
全体としては以下のような3つのステップに分けられます。
1つずつ詳しく見ていきましょう。
1. 課題の仮説を立てる
まずはじめに課題の仮説を立てます。
以下のフォーマットに当てはめて考えてみると良いかと思います。
例えば
・子供のいる共働きの夫婦は毎日の食事を準備すること煩わしさに課題を抱えている
・パソコン作業中心のリモートワーカーはずっと家にいると集中力が切れたりストレスが溜まってしまうことに課題を抱えている
・日程調整の多い営業マンは日程調整の煩わしさに課題を抱えている
などです。
この仮説は自分が日頃感じているものから発想してもいいですし、周りにいる人に聞いてもいいと思います。
例として今回は
を仮説としました。
2. 課題の仮説を検証する
仮説を立てたらこの課題が本当に正しいのかを検証します。
方法としては仮説の〇〇に当たる人にインタビューを行います。知り合いをあたったり、bosyuのようなサービスを使って公募したりすると良いかと思います。
人数は5-10人くらいに聞くと全体像が見えてきます。
このときにする質問内容として以下のような質問をします。
1つ目が課題の存在を確認する質問、2つ目はその課題の大きさを測るための質問です。
2つ目の質問が特に重要で、この質問をすることで自分で行動を起こすほど解決したい問題なのかと言うことがわかります。
特に何もしたことはないと言うのであれば課題はあるものの課題感は小さく、その課題をお金を払ってまで解決したい課題ではない可能性が高くなってきます。
単純に「悩みを感じていますか?」だけだと、「感じています」と答えてしまう方も多いので、こういった行動ベースの質問をすることが非常に重要です。
例の
のインタビューでは実際お見合いや合コンに行くなど課題を解決するためにアクティブに動いていたり、忙しくてそういったものに行く時間がないなどの大きな課題があることがわかりました。
課題があることが確認できたら、課題の発見(Customer Problem Fit)の達成です🎉
もしこの時点で立てた仮説が間違っていると感じたら「①仮説を立てる」に戻ります。
3. 課題の解決策を探る
ここまでで課題があることは確認できました。
続いてこの課題をどのように解決すれば良いかの解決策を考えていきます。
先ほどのフォーマットに追加して
の□□□の部分を考えます。
恐らくここで複数のアイディアが思い浮かぶと思いますが、自分としてはできるだけシンプルなもの選ぶのが良いのではないかと考えています。
今回の例では
と置いたとします。
4. 解決策が的を得ているか確認する
この解決策が的を得ているかも改めてインタビューした方に確認します。
ここで作ろうと思っているサービスのペーパープロトタイプなどを用意して見せると、イメージがつきやすく質の高いフィードバックを得やすいです。
的を得ていそうであれば次のステップに進みます。
もし何か違うなと感じたら「③解決策を探る」に戻ります。
また1点注意点としてここで解決策が正しいではなく、的を得ているとしたのはあくまでもインタビューした方の発言で判断しているからです。
「そのアプリすごい面白いね。リリースされたら使うよ」
は当てにしてはいけません。
本当に正しいことが確認できるのはユーザーの行動によってのみです。
次からその正しいを確認するためのステップに入っていきます。
例の
においては、隙間時間に恋活ができる、全く自分と繋がりのない人とも出会えるなどの意見が得られ、非常に良い感触が得られました。
5. 最低限の機能(MVP)を作る
ここから解決策が正しいことを検証するために、実際にプロダクトを作っていきます。
ここで重要なのは仮説の検証に必要な最低限の機能を作ることです。
いわゆるMVP(Minimum Valuable Product)と言うやつです。
いきなりあれもこれもと機能をたくさん追加して作ってしまうと、その解決策が間違っていた場合にかけた時間やコストが無駄になってしまうのを避けるためです。
また、ここは私見ですが、MVPだからと言ってUI/UXで手を抜くのは良くないと考えています。理由としては解決策が正しいにも関わらず、UI/UXが良くないせいでユーザーに使われず、解決策が誤っていたと言う間違った判断を下してしまう可能性があるからです。
なので少ない量、高い質のMVPを作るといいかと思います。
実際のサービス開発ではUXの5段階モデルを意識して作るといい形で作ることができます。
例では
を作成し、検索機能やメッセージ機能は思い切ってMVPからは削除しました。
6. ユーザーの利用状況を把握する
MVPが完成したら、インタビューで課題があった方を中心にサービスを共有して使ってもらいます。
このときに重要な点としてユーザーの利用状況を把握できるようにしておきます。(Web/アプリ共に無料で利用できるFirebaseアナリティクスがオススメです。)
そしてここでやっと行動から解決策が正しいことを確認することができます。
具体的にはユーザーがサービスを使い続けているか、というところを見ていきます。ここで基準とする値はサービスの性質によって変わってくると思うので、既に世に出ている人気のあるサービスの数値を参考にして判断するといいかと思います。
またこの時点ではユーザーの連絡先が分かるはずなので、積極的にインタビューを行っていきます。
しっかりユーザーが使い続けてくれることを確認できたら課題の解決(Customer Solution Fit)の達成です🎉
残念ながらここで解決策が間違っていた場合はもう一度「③解決策を探る」に戻ります。
今回のマッチングアプリの例では
・実際にサービスを通して恋人ができた。
・登録したユーザーの5割が毎日アプリを見てる状態が1ヶ月以上続いた
など行動として良い成果が出ました。
7. エンゲージメントを獲得する
ここまでで解決策が正しいことが確認できたので、やっと本格的な開発、グロースフェーズに入っていきます。
ユーザーの意見を聞きながら、継続率を重要な指標としてどのようにすれば使い続けてもらえるかを考えながら、機能の追加や改善を繰り返していきます。
また継続率を高めるための施策として書籍ではHOOKモデルや鎮痛剤、ビタミン、キャンディのアイデアなど面白い内容が書かれているので、気になる方は書籍を読んでみてください。
マッチングアプリの例ではプロフィールの項目を精査したり、メッセージ機能を追加したりして、さらに継続率を高めることができました。
8. プロダクトの認知を獲得する
サービスをリリースしたらすぐに広告などでユーザーを獲得したくなってしまいがちですが、大きな穴の開いたバケツに水を入れても、どんどん出ていってしまうだけです。
しっかり継続率の高いサービスになってきて初めてプロダクトの認知を獲得しにいきます。
認知を得るための方法としては以下のようなものがあります
・ウェブサイトの作成
・SNS
・広告
・メディア掲載
・招待特典
・関連イベント
このときそのサービスが提供する他の競合に無い価値、バリュープロポジションを押し出すことが重要です。
またここでも継続率と同様、認知〜コンバージョンまでのユーザーの行動を数値として計測できるようにしておき、どこにボトルネックがあるのかを特定して改善していきます。
マッチングアプリの例では若い独身女性をターゲットに広告を出すことでさらにユーザー数を伸ばすことができました。
9. エコノミクスを成立させる
最後に継続的にサービスを運営していくためには、エコノミクスを成立させる必要があります。
いくらユーザーにとって価値のあるサービスでも、それを運営する側が無償で提供していたり、ずっと自腹で赤字続きでは継続していくことができません。
ユーザーの価値とサービス提供側の価値のバランスが良いものにしていく必要があります。
具体的には
1ユーザーあたりの売り上げ(LTV) > 1ユーザーあたりの獲得コスト(CAC)
の状態、ユニットエコノミクスを成立させる必要があります。
この状態になって初めて、運営側はサービスによって利益を得てサービスの運営を続けていくことができるようになります。
(一般的にユニットエコノミクスは3以上あることが健全と言われているそうです。)
また、会社としてやっていくためには、これに加えて顧客の数、市場、課題感が十分に大きく、その課題を適切に解決するプロダクトが提供できており、成長が見込める状態を作る必要があります。
これで最終的なゴール、グロース(Product Market Fit)を達成です🎉🎉🎉
マッチングアプリでは、月額課金により十分なユニットエコノミクスを達成できました。
また、元々想定していた若い層だけではなく出会いがないことに悩みを抱えている多くの人に広がりを見せ、見事Product Market Fitを達成することができました
まとめ
最後に全体の流れをもう一度確認しましょう。
記事ではスムーズに行っていましたが、現実にはどのステップも一筋縄でいかず何度も繰り返すことになります。
現在実際にこのやり方でプロダクトの開発を行っているので、やってみてどうだったかは、また別途記事を書きたいと思っています。
また書籍はより詳しく面白い内容が盛り沢山なので興味を持たれた方は是非購入して読んでみてください。
参考書籍: ゼロから始めるプロダクトマネジメント
お読みいただきありがとうございました。
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