問題解決のヒント~グラデーションの概念~

以前の記事(2024年8/2「これからの学校が何を目指すべきか?」)で、
学校において求めるべき思考を転換しようということを述べました。

こいつです。

思考プロセスの転換 (パラダイムシフト?コペルニクス的転回?)

今回は、最適解を見出す(問題解決の)ヒントになるのではないかと思う思考様式を紹介します。
教育現場以外でも十分役立つ考え方なのではないかと思います、ぜひ興味のある箇所だけでも読んでみてください!


グラデーションとは?

私が考える問題解決のヒントと成り得る考え方とは、「グラデーション」の思考方法です。

これを聞いて何を思い浮かべるでしょうか?

私がこれを初めて聞いたのは、学校の美術?図画工作?の授業だったと思います。

グラデーション:「1つの図画の中で、・見た目・エフェクト・テクスチャなどが連続的・段階的に変化する表現のこと」

Wikipedia引用

つまり、青は青でも、うすい青ーこい青など、青にも複数あるということですね。(アンミカさんの「白って200色あんねん」もこういうことなんですかね?)


実は現実世界もグラデーションで満ちています。

例えば虹の色って、どんな色でしょうか?

国によって認識が異なりますが、日本なら概ね7色(赤・橙・黄・緑・青・藍・紫)ですね。

しかし虹の原理を考えてみれば分かりますが(太陽光が雨粒で屈折し、光の色ごとに屈折方向が微妙に異なるため、色が分かれる)、それぞれの色の境界は明確ではなく、徐々に別の色に変わっていくのです。

つまり虹は、ジャスト7色なのではなく、無数の色から構成されている様子に、人間が認識しやすいように意図的な境界を設けているのです。

各国で色の認識が異なるのはこの性質によるものでしょう。


グラデーション思考による問題解決

このようなグラデーション思考がなぜ、問題解決を手助けするのか?

それは、問題解決において「境界線付近に答えがある」という場合があるからです。

どういうことでしょうか?

AさんとBさんの意見、どちらかを採用しようとなった場合に、多数決・じゃんけんなど、あらゆる方法でどちらかに答えを寄せようとします。
しかしこれらの解決方法では、どちらかの希望は通らないということになりますね。

このような場合に、AさんとBさんの意見を「どちらも叶えられる案を創り出す」、つまり「完全にAさんに寄っている訳でも、Bさんに寄っている訳でもない案」によって、問題が解決する場合があります。


具体例として、給食のおかわりを考えてみましょう。

余った一つのパンに、二人の希望者。
じゃんけんでどちらかに決めるという方法もあるのですが、
半分に切り分けて、等分すれば、どちらもおかわりすることができますね。

非常に簡単な例なので、「何が問題解決に役立つんだ」と思うかもしれませんが、問題が複雑になるほど、グラデーションを忘れがちになってしまうのです。
(子どもの思考レベルを少々逸脱すると、隣のクラスで余っていないか聞いてみるという手法もアリですね。)


現実世界でも、互いの利得を鑑みて調整することで、上手い問題解決案が得られることがあります。

こうした考えを上手く表現したのが、「折衷案」という言葉です。

グラデーション思考を阻むもの

では何が、グラデーション思考を阻んでいるのでしょうか?
それは主に2点挙げられると考えています。

二項対立

ここ数年、「論破王 Hゆき」など、ディベート対決というテーマがテレビで話題になりますね。
これらは、A or Bという二択しか存在していないのだという意識を植え付けてしまうという問題があると考えています。

(議論している、例えばHゆきさんほどの方なら、恐らくグラデーションがあることを認めた上で出演しているのだと思いますが。また、だからといって放送するなということでは全くありません、面白いので。視聴者がグラデーションを理解すれば良いだけの話です。)


例えば、、
テーマ「学校教育において必要なのは、厳しい教師か優しい教師か?」

こんな議論があると、勝者の立場が正義であるのだと考えてしまいがちです。
しかし現実問題、一方しか存在しなければ、学校教育は立ち行かなくなるでしょう。
そうなると、「厳しさも優しさもどちらも必要不可欠であり、そのバランスが重要」という答えになるでしょう。
(私が見た動画の討論者二人も、議論の後、同様の結論に達していました。)


分類分け

最近はMBTI診断が流行っていますね。
私はENTP(討論者)でした。このような投稿を書くのも、討論者の性でしょうか。

このような、「分類分け」という操作もグラデーション思考を阻む要素であると考えています。

分類に分けると、分類Aと分類Bは何か完全に異なっていて、ある種の隔たりがあるような気さえしてきます。
もちろん化学や生物学における分類もありますね。

分類分けのメリットは、共通点のあるものをまとめることで、性質の予測がしやすくなるという点です。
どのような境界線を引くか、という人間の意図によって分類とは変化し得るものなのです。

冥王星が太陽系の惑星からは外されたという事例も、結局は人間が境界線の引き方を変えたというだけの話であり、何か冥王星に変化があったということではありません。

そう思うと結局は、分類分けというのはグラデ―ションを持った現実に、人間が境界線を引いて、まとめたものにすぎないのです。

MBTI診断で言えば、ENTJ寄りのENTPだっているだろうし、その逆でENTP寄りのENTJだっているでしょう。
特に人間は正にそうで、常に変化している生き物です。

分類分けに慣れしまうと、現実はグラデーションを持っているのだということを忘れてしまいます。
しかし同じ分類の中でも、境界線のぎりぎりにいる者や、分類のど真ん中にいる者までさまざまであるということを日々意識するのは、グラデーション思考を身に付けていく訓練になるのではないかと考えています。

参考・引用

・「【白って200色あんねん】白は200種類本当にあるのか?」 夜な夜なフリーダム https://yonayonafreedom.net/archives/2381

・「虹7色を言えますか? 虹の配色や順番の理由、虹の色の覚え方をチェック」 HugKum https://hugkum.sho.jp/288768

・Stardy-河野玄斗の神授業「ヨビノリたくみとディベート対決したら教育者同士の大激論になった。」 https://www.youtube.com/watch?v=mAL0bfX1azs

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