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会社経営とは、孤独な仕事です。
特に、中小企業の社長は、大変です。

経営者といえども、必要な知識をすべて持ち合わせているわけではありません。
例えで言えば「孤高の戦士」でしょうか。
ロールプレイングゲームなら、課金すれば武器を手に入れることができます。
でも、実際の経営では、そう簡単に武器を手に入れることは難しいのです。


ひとりで経営する不安な気持ちをどうする?


相談する相手「税理士」の守備範囲

よく、経営に困ったときに相談する相手として、「税理士」が挙げられます。
でも、この税理士を生業としている方は、物事を知っているようで知らないのが実態なのです。

私は、会計事務所に勤務していた頃、まるで数字のことなら何でも知っているでしょうと、お客様に言われたことがあります。

でも、違うのです。
同じ数字でも、生きて流れている数字と、溜まって固まった数字とは、全くの別物なのです。
税理士を始めとした、税務の仕事は、この固まった数字を元に、情報を分析しているにすぎません。

確かに、税理士も同じ経営者です。
しかし、ビジネスモデルが全くもって違うので、参考になりません。

毎月、一定金額の顧問料が、決算がくれば決算料が入ってきます。
3月になれば確定申告で、仕事がきます。

確かに、修行僧のように勉強し、国家資格を取得しているだけの厳しさもあります。
そして、責任も伴います。
でも、最初に顧問数さえおさえておけば、自動で売上がたつ、一種のサブスクリプションな業態である税理士が、かつおの一本釣りのような仕事の大変さは知りません。
もし、経営者の悩みに答えられる先生がいらっしゃるなら、その方はとても貴重な存在です。


生きた川のように流れる数字。
川自体も整備されているわけではないので、氾濫おきたりする。
また水不足で、川が干上がりそうなときも。

経営者は、自分のビジネスにぴったりあったやり方で、コントロールし続けることを目標に、日々成長していけばいいのです。

経営者になって、最初に気をつけること

そんな過酷な環境で、日々奮闘しているのが中小企業の経営者。
それを支えられる人が、そうそう居ないことは想像しやすいでしょう。

ということで、経営者とは、とても孤独な職業です。

孤独には、不安がつきまといます。
まして、従業員の家族まで養っていると思うと、ちょっとした自分の判断ミスで、露頭に迷わせてしまうリスクがあるのです。
これに、平気でいる経営者は、一人もいないでしょう。

そんな経営者にまず、必要なスキルは、経営理論やマーケティングの知識でもありません。
自分が抱える不安感に、冷静な心で対処することなのです。

その「不安感をなだめて冷静になる」ためには、経営者自身がいる環境から、整えること。
これが、経営者として生きていくための最初の地ならしでもあります。

ただ、メンタルを鍛えただけでは、不安感はつきまといます。
知識を増やしても、自分の場合、なにをどうすればいいのか、結局答えがわかりません。

一番大切なのは、周囲の環境選びです。
余計な情報に惑わされないことが、大切です。

不安感に押しつぶされないための対処方法


地域の経営者団体とつながる

中小企業の経営者が集まり、勉強会を実施している団体がいくつかあります。

商工会議所の青年会。
地域の同友会。
同業者団体。
などなど

ここには、経営者仲間を作りたくて、集まって来る社長さんが多数いらっしゃいます。
地域に根ざしていたり、同じ業種だったり。
共通点があることが、なによりも仲間を作りやすくしています。
私は、このような場所には、積極的に顔を出していくといいと考えています。

ビジネスでつながることで、互いのリソースを共有することもできます。
また、仕事以外のつきあいで、会話を楽しむことで、少しでも心が和む効果があります。

このような、仕事以外の人間関係での会話は、心の健康のためにも欠かせないものです。

積極的に、様々な出会いを求めて参加してみることをおすすめします。

じっくり自分のペースで勉強する時間を作る

心を癒やせば、とりあえずの孤独感を解消することができます。
でも、不安感の原因となるものが解決しないかぎり、この不安感は、永遠に抱え続けます。

不安とは、解決できないことから始まっています。
対処する方法がわかれば、不安を除く行動がとれるようになります。
まず、最初になにから手をつけたらいいか。
このあたりをつけるだけでも、十分な効果があります。

経営者の勉強とは、一般的な知識を得ることだけではなく、
「自分の会社なら、どうしたらいいか?」と、暫定的に答えを出すことです。
また、簡単にできる裏技だけ知っていても、正しい知識を持っていなければ、間違えた方向に行ってしまっても、気づかないままというリスクがはらんでいます。

正しい知識と、アレンジ力の両方があって、初めて経営で伴う不安を解消することができるのです。

時間がないからと言って、裏技・簡単といった文言に惑わされず、じっくりと考える時間を作るようにしましょう。
読書する時間を作るのもよし。
お気に入りの講師の先生のセミナーを受けるのもよし。
ある程度の知識の吸収は、時間がかかるものです。
じっくりと向き合える環境と時間を作っておきましょう。

ただ、大事なことなので、もう一度いいます。
知識を得ただけでは、不安は解消されません。
ある程度、勉強したら、早い段階で自分の会社で試してみましょう。

一回で上手くいくことは、まずありません。
だから、何回も試す時間を作るために、早めに実践するのです。

この繰り返しの中から、徐々に自社にとって正しい答えが、あぶり出されてきます。

そのための時間を、つくるために、本業に振り回されない仕組み作りもとりかかります。

経営者同士でどこまで情報を教えてくれる?


さて、忙しい経営者にとって、てっとり早く自分にとって正しい情報が手に入るなら、それを活用するのは当然のことです。

その情報入手方法で、経営者仲間から教わるケースがあります。

でも、考えてみてください。
仲間とはいえ、同業者であれば競合相手でもあります。
また、ビジネスとしてやり取りを求められることもあります。
せっかく得られた情報が、自分にとって不利益を被ることもあるのです。
このリスクは、大いに注意すべき点です。

よく聞くのは、「自分のところは、これで上手く行った」という話です。
よくよく伺うと、大抵の話は、ほぼ違法なやり方です。
たまたま、税務署に見つけられなかっただけで、「上手く行った」いって、周囲に伝える経営者も、いらっしゃいます。
これには、十分に気をつけましょう。
もし、このような話を耳にしたら、なるべく自分のなかに取り込まないように気をつけましょう。
いい、悪いという話ではなく、自分の会社に合った方法ではないことは確かです。
なるべく、耳の中にノイズを入れないにこしたことはありません。


仲間とはいえ、自分の会社のことをすべて知った上でのアドバイスは、難しいものです。
顧問税理士や、自社の経理担当者以外からのアドバイスは、ほぼ、世間話として受け流しておくのが、正解です。


近くの友人より、知らない会社から調べよう


では、どのような方法で、自社に合った情報を得られるのでしょうか。
いくつか、方法を列挙してみます。

顧問税理士に、同業同規模の企業のケースを聞いてみる

基本的に、税理士は守秘義務を負っています。
細かいところまでの情報を、提供してくれることはまずありません。

しかし、長年の経験や、専門知識で税理士にも答えられるものはあります。

  • 税務の知識 期限付きの特例による節税方法

  • 補助金情報 持続化補助金、IT支援補助金など

  • かつての顧問先の実例

  • 会計ツールから得られる経営指標情報

税理士からの情報は、非常にアカデミックな内容です。
税務ももちろんですが、経営指標などは、経営分析の知識がないと、読み解くことができません。
このあたりを、丁寧に説明してくれる税理士を顧問として関わっていただけるような、環境を作っておく必要があります。

それでも、正しいデータから得られる情報は、とても貴重です。
データから、自社の問題を洗い出すことができるので、大いに活用したいものです。


同業者団体の相談窓口

具体的な問題があって、どうやって対処したらいいのかわからない場合、同業者団体の相談窓口を利用する方法があります。

各業種には、同業者団体を保有しています。
例えば……。

  • 日本小売業振興会

  • 日本食品卸売業協会

  • 日本建設業連合会

  • 日本自動車工業会

  • 日本製鉄連盟

など

もちろん、これらの団体には下部組織がそろっています。
大本の団体に属さなくても、同業の組合などの地元密着の組織もあります。
同業の悩みは、同業でしかわかりません。

私の職業であるフリーランスにもフリーランス協会があり、私もそこに参加しています。

このような団体には、法律相談などの相談会が設けられています。
また、専門の士業に紹介するシステムもあります。
具体的な困りごとがあれば、専門家につなげてくれる仕組みをもっているので、活用することができます。

また、定例会などに集まった会員同士で、情報共有することもあるでしょう。

あくまでも、得るべき情報は、正しい情報をいかに、スムーズに手に入れうかです。
仲間との飲み会で、小耳に挟んだ、お手軽な裏技に惑わされないようにしましょう。


いい情報はいい環境から 環境づくりに必要なこと


経営者にとって、他社の成功は参考になる情報です。
しかし、それをそのまま鵜呑みにしないために、ポイントをまとめてみました。

近くの仲間より、見知らぬ会社の情報を

見知らぬ会社とは、自分と同業で同等規模の会社のことを指します。
周囲にある会社は、同じ地域かもしれませんが、けっして同じ条件でビジネスをしているわけではありません。
近くに、参考になる会社はないと思っておくといいでしょう。

自分と同じようなビジネスをやっている人を、ネットで調べてみましょう。
Twitterや、HPのブログ等で発信していれば、フォローしましょう。
大抵の発信者は、その会社の社長であることが多いです。
発信の仕方を知るだけでも、十分に勉強になります。

関係をつくるなら、同じような志を持った仲間を

類は友を呼ぶということわざがあります。
相談し合うなら、同じ価値観を持った仲間を見つけましょう。
そうは言っても、まったく同じであることは稀です。
共通の部分だけの関係だけでも、私は十分だと考えています。

少しでも、「ちょっと違うな」と思ったら、躊躇なく距離を置いていいのです。
ひとりひとり、環境も考え方も違います。それぞれを尊重しつつ、自分の立場を明確にしておきましょう。


よその会社の参考にする情報と気をつける情報

では、経営判断をする上で、競合他社や仲間からの情報で、取捨選択する基準をまとめてみました。

気をつける情報とは

  • 簡単、短時間で解決できる裏技

  • 事業規模、従業員数などに違いのある会社

  • 顧客ターゲットが異なる会社

  • 経営理念の方向性が違う会社

  • 発信のスタイル


真似していい情報とは

  • 同業、同規模、同じビジネスモデル、従業員の数も同じくらいの会社

  • 専門家からのアドバイス。根拠が正しいもの。

  • 成功体験で再現性のあるもの

  • 法令遵守であること

これらのように、自社にあった正しい情報を得て、勉強し、行動していくことで、経営上の不安はだいぶ軽減されていきます。

不安に感じる原因を、冷静に突き止める方法として、参考にしていただければ幸いです。



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