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APPLE IIe のキーボードと文字コードの変遷

APPLE][ のキーボードに関しては、

APPLE][のキーボードと文字コード

APPLE][のキーボードと文字コード - J-PLUSでのカナの扱い

に書きましたが、次に発売された APPLE IIe について整理してみました。APPLE IIe がリリースされたのは 1983 年です。それまでの無印、PLUS、J-PLUS では基本的な構成に手を入れていなかったので、最初の設計(無印のリリースは 1977 年)からもうだいぶ時間が経過しており、他のPCに追いつく必要がありました。

Apple IIe

アップル社は 1980 年に APPLE III をリリースしており、これを参考にしたものと思われます。まず英小文字の追加です。小文字の追加に合わせていくつかの記号も増えています。またテキスト出力を横方向に80文字出せるようにハードウェアを追加しました。キーボードに関しては、ようやくオートリピートが実現され、キーを押し続けることで同じキーを連続して入力できるようになり、リピートキーは不要になりました。また ESC キーを併用することで行っていたカーソル移動を専用のキーで行えるようになりました。細かいところでは、タブ、デリート、そしてキャップスキーも追加されています。

上がそのまま、下がシフトを押しながら

スペースキーの両隣にある白丸と黒丸は、実際には白抜きのリンゴと塗りつぶしたリンゴで、それぞれオープンアップルとソリッドアップルと呼ばれ、キーを押してもリンゴマークの文字が入力されるというのではなく、ゲームパドルについているボタンを押したものと解釈されるようになっていました。

Appleキー

文字コードは拡張されたビデオカードの制約もあり、フラッシュ文字が廃止され文字修飾は反転文字のみに整理されました。それまで同じ文字が割り当てられていた $C0~$FF のうち、$E0~$FF の位置に英小文字と追加の記号が割り当てられています。

ディスプレイコード - 実際の表示は黒背景に白文字が標準なので、この図とは逆。

互換性も考慮したためだと思いますが、英小文字を使うにはそれなりに微妙な設定を確認する必要もあったようです。

Apple IIe Technical Reference Manual Part 4 (この中の Table H-5 に注目)
http://www.applelogic.org/files/AIIETECHREF4.pdf


1985 年にはエンハンスドバージョンが出ます。これは前年の 1984 年に apple //c がリリースされたので、これと互換性を高めるためのアップデートでもありました。基本的な部分は維持され、既存の APPLE IIe に対してのアップグレードキットも販売されていました。このためキーボードの見かけに関しては変更はなく、電源ランプに拡張モードで動作していることを示すランプが追加された程度です。

Apple IIe Enhancement Kit
https://wiki.reactivemicro.com/Apple_IIe_Enhancement_Kit#Video_ROMs

コードに関しては、apple //c に合わせて、反転文字の重複していた部分が mouse text と呼ばれる図形文字に置き換えられています。

MouseText

なお mouse text の UNICODE へのマッピング例が以下にあるのですが、私用領域のコードに割り当てられているものがあるので、それらは適切なフォントセットを導入しないと思ったような表示は行えず、一般的な環境では他の文字が表示されたり豆腐になってしまうようです。

Apple II MouseText to Unicode Mapping

一部のコードに図形文字が追加されている。

Apple II character set


1987 年にはプラチナバージョンが出ます。こちらも 前年の 1986 年に apple IIgs が登場した関係で、キーボードが同等になるように細かな変更が行われ、テンキーも追加されました。

通常
シフト状態
テンキーはフルキーの右にあります。

オープンアップル(図では◯ですが本当は白抜きリンゴ)は残りましたが、ソリッドアップルは廃止され、正式にオプションキーとして登場します。バックスラッシュの位置がスペースバー右横に移り、リターンキーが大きくなりました。テンキーは標準的な配置であるものの左上に ESC があり、テンキー側のリターンはエンターになっています。スキャンコードで区別がつくかはわかりませんでしたが、動作は同じはずです。

なおリセットキーが不思議な位置に移動しています。ツマラナイことなのですが、ホームポジションのキートップに有る突起が、D と K にあります。GS がここだったんだっけなぁ?


APPLE IIe は、ヨーロッパ各国向けにカスタマイズされたバージョンもあります。ただし日本向けについては、J-PLUSのようにカナを使えるようにしたバリエーションはありません。

以下のサイトにイタリア語バージョンが記載されています。

Apple IIe (1983)

左下に大きな下向きシフトのキーがあるのですが、おそらくこれを押すとイタリア語モードになるのではないかと思います。Z と W が入れ替わったりするんですかね。もちろんフォントセットも一部の文字が変更されています。

7-THE APPLE IIE


図の元ファイルは以下に貼り付けておきます。改変も含めご自由にお使いください。

ヘッダ画像は、所有しているプラチナIIe のキーボード。

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