記憶の「構造」
どんな人でも生まれたときはまっさらな状態で、そこからいろいろな経験を重ねて多くのことを覚え成長するものです。そして学校に行くようになり、いわゆる「勉強」をするようになると、その内容に興味があろうか無かろうが、とにかく特定の事柄を無理をしてでも記憶する必要が出てくるわけです。
物事がどのように脳の中に記憶されるのかについては、当然、いろいろな研究がなされていて、いわゆる病気と分類されるような症状については一定程度の原因と対処が明らかになっているものの、一般論としてどのように脳が働いているのかについてはまだまだ解明されていないことが多くあります。
そんな仕組みが、どうなっているかなんていうのがわからなくても、学校の授業を聞いて宿題をして、とにかく他の人がやっているようなことを真似ることで何とか物事を覚え、時折行われるテストをクリアして勉強していくわけです。とはいえ人を真似るだけで物事をスラスラと覚えるなんて芸当ができる人なんて、ほんの一握りで、そんな人でももっと効率よく物事を覚えたいと思いますし、大部分の人は「どうして覚えられないのだろう」と悩みながら、出来る人を羨んだり「勉強の仕方」というのを本来の勉強をそっちのけで勉強したりするんですね。
この「勉強の仕方」というのが曲者で、真面目にキチンと書かれているものもあるのですが、勉強自身ではなく方法については評価が難しいので、中には「株で大儲けする方法」みたいな信じる者は救われる的な内容も少なくありません。それと言うのも物事の覚え方というのは極めて個人的なもので、他人の頭の中で何が起こっているかなんて、そもそも知る方法はありません。物心が付いてから、いやそれ以前からそれぞれの人が何をどのように覚えているのかなんて全然違うもので、ある人がうまくいった方法を真似たところで、自分でも同じようにうまくいくなんてことにはならない方が普通です。
それと言うのも自分の場合を当てはめると、自覚はしていなかったのですが、どうやら物事を画像で覚えるというのは一般的ではなく、この方法で覚えると、自分の記憶を人に伝えるのが難しく、伝えるという意味ではいわゆるテストで回答を書くにも苦労するのです。
本との付き合い - 図書館の思い出
ポイントとなるのが物事を「覚える」ことではなく、覚えたものを「引き出す」方法なんです。実は多くの人がちゃんと覚えているのに、必要な時に思い出すことが出来ずに「自分は勉強が出来ない」「記憶力が良くない」と思い込んでいることがあるようです。そういう人はとてもたくさん覚える勉強をしているのに、それを使う訓練が不足しているんですね。引き出すための勉強というのもあるんですよ。
私の場合、多くは画像がキッカケになります。映画JMで記憶の運び屋が脳に埋め込まれたインプラントにデバイスからデータを詰め込んで目的地でそれを取り出すのですが、そのキーに何枚かの画像が使われるという模写があります。これに近いイメージです。
JM (映画)
※この映画の主演はマトリックスで有名になったキアヌ・リーブスで北野武も共演しているサイバーパンクを題材にした映画で、とても素晴らしいのでそのうちあらためて取り上げましょう。
今までnoteに書いた記事も、そのヘッダ画像がキーになっていて、その画像を見ればだいたい何を書いたか思い出せるという次第です。もちろん常に画像だけで思い出せるわけでもなく五感もフルに使います。例えばどこかの場所についての情報は、再びその場所に行くと、その景色とか騒音、場合によれば匂いがキッカケで急に以前にその場所に来たときのことを思い出したりします。面白いのが頭を左右に振ったり、歩くというカラダの動きがキッカケになることもあります。
本当に自分でも物事を思い出すのに、どうすればいいのか悩ましいのですが、思い出すためのキーをどう管理するのかに尽きるのは確かです。これはそれ自身を人に伝えても同じことが出来るわけがないので、noteの記事ではないですが、何かを書くことでテキストという見える化をして、それを使って人に伝えるわけです。その自覚があるからこそ、子供の頃からちっとも上手ではない文章を書き続けて、コミュ力を確保しているんですよ。
デジタル化が進んだおかげで、記憶というものがある程度、データ化することが容易になっていて、思ったことや感じたことを簡単に記録する手段が整いました。既にその片鱗はあるのですが、これから年を重ねると記憶を増やしていくことが難しくなるので、上手に外部記憶にアウトソーシングして衰えが発覚しないようにしないとなぁと痛感しています。
皆さんは何かを覚え、それを思い出すのに、どんなことをしていますか?
ヘッダ画像は、以下のものを使わせていただきました。https://www.irasutoya.com/2018/01/blog-post_985.html
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