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3.5インチ マイクロフロッピーディスク

さて今はすっかりその姿を見かけなくなったフロッピーですが、パソコンに最初に普及した5インチと、最初は大型機で使われていた8インチについては以下に書きました。

フロッピーディスクの歴史 - 最初はミニ

8インチフロッピー - 元祖フロッピーディスク

いずれも扱うデータが増えるに従い、容量も増えていき、最終的には1Mくらいの容量が標準となりました。容量の拡大にはヘッドの改良やメカの高精度化なども必要でしたが、より保持力の高い磁気材料も必要でした。幸いにしてこれらはデープの普及もあって優れた材料が使えるようになりました。

フロッピーの隠れた分類 - 2DDと2HD

さて5インチも8インチも古くから使われてきた、またあまり一般の人ではなくコンピュータを使う人を相手にしてきたために、磁性体を塗布した薄いプラスチックを少しだけ硬いジャケットにしまっただけで、磁気ヘッドが当たる部分は単に穴が開いているだけという簡易な構造のままでした。

容量が拡大しドライブが普及するにつて、実は5インチでも少し大きすぎるということで、より小型のフロッピーを模索することになりました。ここでいくつかのメーカーからいろいろなディスクが登場します。その中でソニーが1980年に3.5インチ角のマイクロフロッピーを開発し翌年に同社の英文ワープロに搭載しました。このディスクは磁気フィルムが今までよりも硬いケースに収められ、ヘッドに触れる部分にもドライブから取り出すと閉まるシャッターが付いているので、不用意に手で触る事故も起きません(初期は自動開閉できなかったの手で開け閉めしていたのですが)。

大きさが3.5インチということは単純計算では5インチの半分ほどの面積しか無いので、容量も半分ということになってしまいますが、より保持力の高い磁性体を使うことで、最初は片面160K(フォーマット時)の容量からスタートしました。パソコンで最初に採用されたのもソニーのSMC-70(1982年発売)からです。

SONY SMC-70 - そのデザインには憧れたけど

最初の頃はソニー製品にしか使えませんでしたし、簡単に普及しそうな気配はありませんでした。ソニーという会社は独自規格のメディアを次々と出してくる会社ですしね。

ソニービルと3.5インチフロッピーディスクの思い出

ところが最初に出した英文ワープロで、このフロッピーが大変に注目され、アメリカで標準化委員会が出来て、ソニーにしては珍しく規格をオープンにすることになりました(ここでシャッターの自動開閉も規格に盛り込まれます)。ここから一気に普及が進みます。複雑化した機構を持つこともあり、メディアの値段がお高めではあったのですが、スグに両面対応となり(320K)、最初のMacでも採用されたこともあり(この時点で400K)、5インチを置き換えていきました。1988年には販売枚数で5インチを超えるまでになりました。

フロッピーディスク

フロッピーディスクの歴史

細かいところですが5インチでの反省もあって、書き込み禁止ノッチはシールを貼るのではなく正面左下の穴が開閉式となりました。この後、5インチと同じ640K(または720K)の2DDが一般的となったのですが、さらに容量が増えた2HD(1.2Mまたは1.44M)になった際には正面右下に穴を開けて、これらをメカ的に区別できるようにしました。

2HDのフロッピーディスクを2DDのフロッピーディスクとして使用する

この後も2HDの倍の容量を持つ2EDという規格も登場したのですが、ワークステーションなどで採用されたものの、既にハードディスクが普及してフロッピーは補助的な役割になっていたのであまり使われなかったようです。

フロッピーディスクの規格一覧表

21世紀に入ると扱う容量が桁違いになり、もう磁気メディアでは収まらなくなったので、光磁気(MO)ディスクや書き換え型光ディスク(CD-RWなど)に役割を譲り、フェードアウトしていきました。それでもパソコンに搭載され続けたのは、OSが動作していない状態でも使えるのでBIOSの書き換えなどに必須だったからかもしれません。それでも2010年を過ぎた頃にはドライブも消滅してしまいました。

FD・おぼえていますか あなたのフロッピーは何インチで何フォーマット?

長い事、アプリケーションのメニューにある保存のアイコンとして、このフロッピーが使われてきましたが、フロッピーのメディアを見たことのない人も多くなりました。操作の途中でアプリケーションを終了しても、以前の状態が残っているのが普通となり、そもそも保存の意味するところが違ってしまったということもあります。昔は意図しようがしまいが(PCがハングアップするという事故もシバシバ)、保存せずに終了すれば、それまでの苦労が水の泡という時代も懐かしくなってしまいました。

3.5インチFDDのアクセス音

ヘッダ画像は、以下の画像を組み合わせて使わせて頂きました。

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Floppydisk_90mm(3.5inch).jpg
I took this picture - my file took picture by muself, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=11273956による

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Diskettenlaufwerk.jpg
CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=49667

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