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フロッピーディスクの歴史 - 最初はミニ

少し前までは、データを保存するメニューにはフロッピーディスクのアイコンが表示されていたりしたのですが、もはやフロッピードライブが接続されていることも稀になりました。

パソコン登場時は、市販のカセットテープにプログラムやデータを書いたり読んだりしていたのですが、一部のデータレコーダにはリモート操作が可能で、プログラムからテープを動かしたり止めたりすることができるものもあったものの、多くは手で再生ボタンなりを押して読み込ませていました。

そんな中、既に大型機やミニコンなどで使われていたフロッピーディスクが登場しました。パソコン向けには扱いやすいように少し小さくしたミニフロッピーディスクとも呼ばれる5インチサイズでCDがすっぽり入るくらいの正方形のペラペラの板状のメディアで、真ん中には丸い穴が開いていて、一つの辺に向かって楕円形のマドがついていました。これをディスクドライブに差し込むと、テープとは比べ物にならない速度でコマンドのみならずプログラムから何の操作も無く読み書きできました。ちなみにこの板の方は、ディスケットとも呼ばれていました(ディスケットはIBMの登録商標のようです)。

フロッピーディスク

フロッピーディスクの歴史

ディスクになったことで、テープのように常に最初から順に読み書きすることしか出来なかった1次元のデバイスから、トラックとセクタという2次元のデバイスになり、読み書きしたいデータを好きな場所から必要な分だけ取り扱うのが格段にラクになりました。

若い人は知らない? 「フロッピーディスク」とは何かをあらためて解説

これは素晴らしいと誰しも思ったのですが、登場した当時は、ドライブのお値段が本体に匹敵するほどで、いくら便利だと言っても手軽に買えるものではありません。内容をコピーするためには2台必要になるのですが、何台も買うのは難しく、フロッピー1枚の容量がメモリよりも大きいので、1台しか持っていない人は何度もディスクを入れ替えながらコピーしていました。

5インチフロッピー(厳密には5.25インチ)は、最初は片側しかヘッドがなく容量は100Kバイト程度でした(1S=片面単密度)。最初の御三家であるAPPLE][やTRS-80のフロッピーは、だいたいこの程度の容量で使っていました。その後、両面にヘッドがつき(両面使っている場合は最初が数字の2で始まる)、記録密度も徐々に上がり1枚で640Kのデータを入れられるようになりました(2DD=両面倍密度倍トラック)。

細かいことを言うとPETのドライブのように内周と外周でセクタ数を変えたり、APPLEは独自のソフトウェアで容量を稼いだりしていたので、同じメディアでも必ずしも同じ容量ではなかったのですが、ひとつのメディアをいろいろな機種で使うことはほとんど無かったので、あまり気にしていませんでした。同じ機種の後継機が以前の機種のフロッピーを読むときには、困らないような配慮はちゃんとしてありました。

AppleやIBMが採用、多くのPCで使われた5.25インチFD「ミニフロッピーディスク」(109KB~、1976年頃~):ロストメモリーズ File026

ちなみにテープと同じように磁気メディアなので、何度でも読んだり書いたり出来ます。書き込んだり消してしまいたくないときには、側面に付いている切り込み部分をシールで覆うことで書き込み禁止にします(ライトプロテクト・ノッチ)。市販ソフトが入っている場合などは最初から切り込みがはいっていないので、うっかり書き換えてしまわないようになっています。ヘッドがあたるマドはいつも開いたままですし、何せうっかり折ることはない程度の硬さはあったもののペラペラなので、使わないときには下半分だけのサイズの袋に入れて大切に保存しなければなりません。これでもテープに比べれば伸びししまうこともなく、結構長く使えたのですが、いつも読み書きするファイル名などが入った領域などは、擦れてきて薄っすらと筋が見えるようになった気がします。

フロッピーディスク

ハードディスクが普及するまでは、記憶装置と言えば電源を切ると消えてしまうメモリと、フロッピーディスクしかなかったので、必ずフロッピーディスクを入れて電源を入れ、保存するデータもフロッピーにしまうので、いろいろなシステムを使うときにも管理はしやすかったです。ディスクに入れられるデータのサイズもそんなに大きいものではなかったので、1枚毎にラベルに中身と用途を書いておいて、それを取っ替え引っ替え使えば良かったわけです。バックアップも特殊な対策が施されている場合は別にして、普通は丸ごと別のメディアにコピーして引き出しなりにしまっておけば充分でした。もっともデータベースみたいに多くのデータを一度に扱いたくなると多くのドライブを接続して、それぞれに決まったディスクを挿し込んで使うのが、少しばかり面倒でしたし場所も取りました。

その特殊な対策というのがなかなか楽しいもので、これを切り抜けるためにいろいろと勉強をした覚えもあります。

ドライブの音を聞く - コピーガード

パソコンもビジネス向け用途が増えてくると、大型機のデータを使えるようにするためにも(容量も大きかった)大きな8インチのフロッピーを使うことも増え、ホビー向けとしては5インチでも大きすぎるだろうとより小さく、さらに取り扱いもラクになるように硬いプラスチックケースに入った3.5インチフロッピーが使われるようになり、5インチ(ミニフロッピーディスク)は徐々にフェードアウトしていきました。そう言えばそれ以外のマイナーなフロッピーも幾つかありましたね。

参考:「Wordの保存」は今でもFDのアイコン…「パソコン利用者の必需品」だったフロッピーディスクの偉大な功績

ヘッダ画像は、まだ残っていたミニフロッピーディスク。

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