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“緊急事態宣言を未来に繋ぐ議論”

※本記事は2021年2月2日の一部記事を再転載しています。
 全文はこちら。“緊急事態宣言を未来に繋ぐ議論

 黒川 和嗣(くろかわ かづし)です。ネット上には玉石の“石”の言説ばかりが氾濫していますが、今回の緊急事態宣言によって今後も格差が広がり、SNS上では合理性や社会性の伴わない鬱憤がさらに拡散され、心の拠り所として陰謀論がささやかれ、経済的に困窮した人たちは情報商材に集まるのでしょうか。本来であればリベラルを標榜する野党が世論や労働者側の視点を政策に昇華してバランスを保つところですが、緊急事態宣言を要請しながら、持続性の低い補償を求め、更には科学的根拠もない“ゼロコロナ発言”まで行うのですから本質的な議論を牽引することは難しそうな状況にあります。


■緊急事態宣言の先を見据えて

 本項でも再三取り上げていますが、緊急事態宣言は有事ですので、有事対応として少ない医療リソースを最大限に活かすために、一括管理と統合された運営が最も重要な打開策となります。一部の地方自治体で病院の水平分業が実地されていますが、正直に申し上げるとそのような対応は、真っ先に取り組む対策であり、未だに一部でしかない点には、行政の“有事意識の低さ” ”批判回避のとりあえず緊急事態宣言”という姿勢が垣間見えてしまいます。

 メディアやSNS上で、逼迫に追い込まれた病院の悲惨さとともに、自粛警察による他者批判や陽性者数で一喜一憂する空気感、新生活様式のポジショントークばかりが議論の中心となってしまい、本質的な“リスクを許容する体制作り”や“緊急事態宣言後の社会構築”に議論が進みません。現状では、どの産業、どの階層の人が一番最初に悲鳴を上げるのかババ抜きをしているような状況です。

 このような“何を信じるのか”といった宗教論争やポジショントークよりも、緊急事態を敷くのであれば最大限に利用して、マイナンバーと銀行口座の紐付けや、行政のリモート化、医療や教育のオンライン化など、既得権益への切り込み、国民の感情的抵抗意識への説得、各種規制緩和へと論調を高めてはどうかと思います。また、高齢化に伴う社会保障費対策としてワクチン接種の奨励を行うには絶好の機会です。マイナンバーと銀行口座を紐つけるだけで行政の処理コストは大幅に削減され、脱税防止による税収増加そして給付関連の迅速化が進むように、国民のメリットと国家の成長戦略を考えた政策を組み込めるタイミングにあるということです。

 勿論、それほど単純ではありませんが、緊急事態宣言によって国民の私権制限が野党やメディアの反対もなく、これほどまでに成立しているのであれば一層のこと、将来の遺産になる規制緩和や改革を便乗させる方が、延命処置(緊急事態宣言)が報われるのではないでしょうか。この点だけを見ると、政権公約を確実に進めている菅首相であることもメリットとなります。

 本日はここまでです。今後、終身雇用が崩壊し優秀な人材だけが複数のプロジェクトを請負い、多数の余剰人材が発生し更に、省人化の波と高齢化の波も重なれば、現行の制度設計に歪みが生まれることは想定されます。 “その時” が訪れてから議論を始めても遅いことは今回の感染症やデジタル改革で痛いほど身に染みている筈です。私たちは、SNS上のクソの投げ合いやメディアの煽りに踊らされず、先を見据えて協調可能な議論に移るタイミングでしょう。

 最後に私の大切にしている言葉を添えます(日本語訳は超訳なので英訳も添えます)。

 “愚者は経験から学び、賢者は歴史から学ぶ”

 ”Fools say they learn from experience; I prefer to learn from the experience of others.”
- Otto von Bismarck



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 Top picture. Jeyaratnam CaniceusによるPixabayからの画像

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