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熊野古道伊勢路を歩くday3#1

車だと20分足らず。列車なら15分少々で着く距離を何時間もかけて歩くということは、とても効率が悪い。
ただ効率だけでモノを考えるものでもなく、その無駄とも思える時間から得られるものもたくさんあった。

陽差しが気持ちの良い栃原駅


栃原の駅に立ったのは9時少し前。相変わらず寂しい駅で列車から降り立ったのは僕一人だったが、風もなく優しい日差しのおかげで春が近づいていることを感じられる陽気のせいで、気持ちいい3日目のスタートが切れた。

駅前には、川添神社がある。立ち寄るつもりはなかったが、交通安全祈願祭のノボリを見かけ、寄ってみる事にした。始まる前からの寄り道だ。

川添神社


川添神社は、鳥居をくぐると一旦下がり、また登っていく変わった地形だ。立派なお社で参拝し、今日の安全を祈願した。

谷のような参道を通る川添神社

今回のコースは、多気郡大台町栃原のJR栃原駅から同佐原の三瀬谷駅までのルートを歩く予定だ。昔ながらの街並みや茶畑の間を歩く簡単なルートのつもりだったが、大きな間違いだった。

栃原駅から新田の交差点付近までは、前回歩いた道を戻るカタチだ。国道42号線から一本外れた旧道なので、交通量はほとんどないが、意外にも国道を走る車の音がよく聞こえ、後ろから迫る感が幾度とあった。
踏切の手前には、「茶屋一願地蔵」があるようだが、今回は立ち寄らず進むことにした。

踏切を越えて左手には、岡島屋という旅館が出てくる。何でも江戸時代から続く老舗の旅館で、健脚な人だと伊勢を出発して1日目の旅館はここで泊ったという。僕は、2日かけてここまでやってきていた。恥かしい話だ。

左手 老舗旅館 岡島屋


だが、気を取り直して茶畑が並ぶ道をどんどん進んだ。

山沿いの道を歩くと、至る所にのぼりが立ててある。「清流が育む癒しのまち大台」と書かれたのぼりだ。大台町が熊野古道を歓迎し、訪れる人達をもてなす気持ちが伝わってくる。

ノボリが道標になってくれている

この先には、馬鹿曲がりと呼ばれるふざけた名前の道がある。
おそらくは、田丸城城下町のように無駄な角がたくさんある道なのだろう。
そう勝手に考えながら道を進むと、町から離れだんだん寂しくなってきた。

街道の右手に、いつもの道標がある。その横に、馬鹿曲がりへ降りる小道があった。

馬鹿曲がりへ続く小道


ここ?と思わず声が出てしまった。

馬鹿曲がり。
栃原と神瀬の間にある不動谷は昔からの難所で、谷間つたいに大曲がりが余儀なくされたことから、バカ曲がりと呼ばれるようになったとか。

新宮まで142kmとある

予想だにしていなかった突然の山道。
僕は、ほんの少しだけ気合を入れて小道を降りていった。

おまけ。
day2で紹介した元坂酒造さんの酒屋八兵衛を道の駅で見つけました。
自分へのご褒美に1本買っちゃいました!

辛口とあるが柔らかい口当たり


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