見出し画像

儚い雪の記憶

2月10日の金曜日。東京では予報通り午後から雪が降りました。
私はと言えば、午前中はオフィスで仕事をし、帰宅困難になる前に自宅からの仕事に切り替えるようにとの社内勧告で午後からはテレワーク。
ただ、周囲の人が雪を厭わしく思っているのとは対称的に、私はと言えば徐々に街を白く覆いつつあった雪に心が湧き立っていました(傍迷惑な話です)。

東京に来てから数えるほどしかお目にかからないボタ雪にみるみる覆われていく自宅付近の道や木々。

咲いたばかりの梅にも可愛らしい雪が

仕事に集中するのに精神力が要求された午後。しかし気がつけば窓の外の音が何やら不穏。夕方頃にはすっかり雨となっていました(もうちょっと頑張れ、冬)。

下界の冬は軟弱でも、山の上は雪景色だろう。
積雪量が少なくて気持ちが向かなかった八ヶ岳も、剥がれた化粧を美しく整えているはす。目的地は久しぶりの権現岳としていました。

仕事を終えていそいそと雪山装備を整えようとしていた頃、なんと中央道が通行止めとの情報。。。
ここは頭を切り替えて、近場の丹沢塔ノ岳で一面の霧氷を堪能しよう。
ところが、気温が上がりすぎて山の上でも雨の報。
失意のどん底に落とされて床についたのでありました。

翌日、前日の雪が幻であったかのような黒々とした世界。買い物がてら近所を散策。禅寺の苔の上に、かすかに雪の名残がありました。

確かに雪は降ったのですよね。
雪山への想いと共に雨に消し去られてしまいましたけれど。

気持ちを切り替えれば、そこは光溢れる麗らかな春の休日。

名残の蝋梅
梅花は白梅が好み
清少納言さんは紅梅推しですけれど。

モノトーンの冬景色の中に、名残の蝋梅の他、開花したばかりの白梅が甘い香りを漂わせていました。

金曜日の夜に完膚なきまでに登山気分を破壊されて迎えた週末二日目。
日曜日は空気がもはや明らかに春でした。
前日の梅に誘われるように、自転車でポタリングがてら小石川へ。
東京大学大学院理学系研究科附属植物園! 長い!
以後は俗称の小石川植物園へ。池の辺りに小さな、しかしよく手入れのされた梅林があります。

くどいですが梅花は白梅が好み
特に一重で、雌蕊の根本が淡く赤いのが好き(細かい)です。
紅梅は八重の方が好きかな。

目論見通り白梅も紅梅も見頃を迎えていました。
蕾も多くありましたので、まだしばらくは楽しめそう。
日なたは暖かく、梅林の斜面にしばし座って、読書を楽しみました。
外で本を読むことが心地よい季節の到来ですね。もう少し冬には頑張って欲しくもありますが。。(未練)

優しい甘い香りに包まれてまったりと梅林で時間をすごしたのですが、小石川植物園は、この時期、椿もたくさん咲いています。私が好きな薮椿もそこここに。

私は基本的には白い花が好きです。
椿は数多くの種類が国内外で作り出され、その中でも白侘助や白八朔なども好きなのですが、素朴な朱の藪椿が好きです。故郷の京都では鹿ヶ谷辺りでは数多く咲き乱れていてもの珍しさはまったくないのですけれどね。
花の風情、色、艶やかな葉、咲く風情、落下した風情も。

もっとも、他の椿にも好きなものが多い。できればあまり派手派手しくない、一重の椿を好んでいます。

八重でもこの花くらいに落ち着きがある花は惹かれます
諸行無常

そうそう、この時期に特に気をつけなくてはいけないことがあります。
梅や椿の花に気を取られすぎて足元の注意を怠らないこと。

可憐なオオイヌフグリの花を踏んでしまわないように。
ただでさえ付けられた名前が可哀そうなので、大切にしてあげてください。

後半、タイトルからどんどん離れた内容になっていまいましたが。
金曜日の雪山への憧憬から一転して春を堪能した休日のお話でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?