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【読書録】書店員はじめました - 2019年9月号

2019年10月から書店員として働くことになりました。出版業界の末端、下っ端のペーペーもいいところですが、これからは生業として好きな本と関わって生きていきたいと思います。どうぞよろしく。

正直、給料は安いしパートだし、街の書店もいつまで続けられるのか分からないご時世ですが、やれること、そしてやりたいことは今の内にチャレンジしたいと思います。ちゃんと働けるか少し心配だけど、楽しみなこともいっぱいです。

ではでは、2019年9月の読書録。

『とどけるひと ~別れの手紙の郵便屋さん~』/ 著・半田畔

彼氏に振られ仕事は解雇され、失意のうちに東京から田舎に戻った佐々羅すず。母親の紹介で郵便局で働くことになるも、配属されたのは聞き慣れない「さよなら郵送課」という部署。その仕事は、依頼人から届け人へ別れの手紙を配達することでした。

手紙の配達を通して人々の別れの想いを描く物語。設定からして感動ものな予感ですが、主人公のすずが良くも悪くも口汚いキャラなので会話が賑やかなところが良いです。

鳴かず飛ばずの小説家が5年後の自分宛に出した別れの手紙が面白い。手紙の内容をすずは知らないけれど、小説家は受取を拒否して逃亡。手渡しの原則があるために、すずは小説家と幾度も鬼ごっこをするはめになります。この辺りのユーモアがすごく面白かったです。


『ふたり住まい 親友の息子をやしなっています』/ 著・半田畔

仕事漬けの日々を送る久水のもとに、小学生時代からの親友、茜が亡くなったという連絡が入る。そして葬儀場で茜の両親から「息子の未樹を久水に託したい」という茜の遺言を告げられて、久水は戸惑います。それでも久水は未樹を預かる決心をして、親友の息子とのぎこちない二人暮らしが始まりました。

久水にとっては親友の茜、未樹にとっては母親の茜、そんな茜の死を共に乗り越えていく疑似家族もののストーリー。親友とは言え、血縁関係のない子どもを預かるなんて普通は難しいけれど、茜と交わした「約束」を守るために久水は未樹を受け入れます。この約束の内容が明かされていく過程がこの小説の面白いところ。

それと、年上お姉さんと中学生ボーイが心を通わせていくのは、なんかこう、イイネ! ……変な意味ではなく、こういう疑似家族ものは涙腺を抉るものがあります。


『君と漕ぐ2 ―ながとろ高校カヌー部と強敵たち―』/ 著・武田綾乃

埼玉県予選を突破した後の関東大会が描かれる『君と漕ぐ』の第2巻。1巻で主人公たち、そしてこの2巻で他校の主要キャラが大方出揃った感じでしょうか。賑やかな双子の大森姉妹がすごい好き。

カヌーは競技人口が少ないゆえに選手の関係性がかなり濃厚です。この辺りが大所帯の吹奏楽を題材にした『響け!ユーフォニアム』とは違うところ。部内だけではなく他校との関係性や大人との距離感も、物語を動かすキーになりそうな予感です。

第2巻で登場したキャラたちがこれからどんな物語を見せてくれるのか、とても楽しみ。でも、この感じだと3巻辺りから「しんどい」ことになりそうで、まあそれはそれで面白そうで。


『本を読む本』/ 著・M.J.アドラー C.V.ドーレン

1940年にアメリカで出版され、以来世界各国で翻訳されて読まれ続けている読書論の古典。読むに値する良書とは何か、読書の本来の意味とは何か、そして実際に本を読むための技術とは何か。80年ほど前に書かれた読書論で内容もやや難しめですが、現代でも通じるものがたくさんありました。すごくためになる一冊です。


『NHK趣味の園芸12か月栽培ナビ⑥ かんきつ類 レモン、ミカン、キンカン』/ 著・三輪正幸

今夏から室内の観葉植物としてレモンを育て始めました。購入したときは10cm程度のちっさい苗でしたが、今では40cmくらいまで大きくなっています。品種はマイヤーレモン、本書によるとレモンとオレンジ類(もしくはミカン類)との雑種だそうです。

なにぶん柑橘類を育てるのは初めてなので分からないことだらけですが、こういうときにNHK趣味の園芸シリーズは頼りになります。いやホントお手頃価格で分かりやすい。品種の紹介も読んでいて面白く、かんきつ類の系図とかすごく興味深いです。スーパーでミカンやレモンを選ぶのが楽しくなりそう。


『NHK趣味の園芸 よくわかる栽培12か月 レモン』/ 著・三輪正幸

レモンについて、より詳しく書かれた趣味の園芸シリーズ。レモンの品種や栽培方法はもちろん、原産地や来歴についての記述もあります。レモンの原産地はインド北部で日本には明治時代に伝わり、瀬戸内の気候が栽培には適していたことから広島の生口島と高根島が有名な産地だそうです。

園芸店でちっさい苗を見つけてなんとなく育て始めたレモンですが、あれこれ本を読んでいるとなんだか楽しくなってきました。レモンの木にはトゲがあることも知らなかったのにです。レモンの葉っぱが良い香りなのも知りませんでした。

いつの日か、広い庭のある家に住んでレモン畑を作りたい。

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