グループ展(DIREC→TIONS)開催までの道のり
2024年6月7日から9日にかけて開催された写真展「DIREC→TIONS」
お陰様で想定以上の方に見ていただき、無事会期を全うすることができました。本展の主催としてまずお礼を申し上げます。
私はこれまで一出展者として写真展に参加した経験はありましたが、自身で写真展を開催することはもちろん初めて。
展示本番が集大成で、その水面下では結構な事務作業などがありましたが、折角なので備忘録を兼ねて、当日までの準備、大変だったこと、反省点などをまとめてお届けします。
舞台裏を覗くような感じで楽しんでいただければと思います。
タイムスケジュール
2023年8月
展示の開催を決め、近しい人達にお声がけ
2023年9月
会場である「デザインフェスタギャラリー原宿 EAST」を仮予約
2024年1月
一部メンバー変更
事前ミーティング(1回目)
2024年2月
ポスター完成
2024年4月
DM完成
事前ミーティング(2回目)
2024年6月7日~9日
開催
開催のきっかけ
決めたのは2023年の8月、ちょうど私も出展していた「PORTRAIT BIWAK」が開催している頃
この展示はデータを送るだけで、運営の皆さんが展示まで行っていただける形式、その気軽さから多くの方が出展していました。
ですが、このような展示を経験したとしても、自由展示(自分で作品のプリントから展示まで行う)に足を踏み出すのはやはりハードルが高く、実際にそのような話を展示者同士でした記憶があります。
でも知り合い同士の写真展であればそんなハードルも大分下がるんじゃないか、ふと思ったのが最初のきっかけ
早速知り合いのカメラ仲間に声をかけた所思った以上の人数が集まり、これなら問題なく開催できるだろうという見通しが立ったので、さっそくスペースを仮予約
その時点(2023年9月)では大分先の6月に会期を設定したのは、人によっては桜と一緒に撮りたい方がいるかもということと、5月は連休などで忙しいかもと考えたからです。
展示の趣旨
これまで私が出展した展示はほぼ全てポートレートのみを扱ったもの
それを作りこむことの良さはもちろんありますが、それ以外、例えばスナップなどを自由展示したい人にとって、気軽に展示するタイミングが意外と少なかったりします。
そこで、今回はシンプルに「自分の出したいものを展示する」ということで特定のテーマなどを設けないこととしました。
出展者数
当初は一部屋を借りれば間に合うかなと考えていましたが最初に声がけをした時点で10人以上が集まり、既に一部屋では収まらないだろうという見通しになったので、もう少し人数を増やして二部屋借りることに。
(最終的には三部屋借りることになったのですが、それはまた後程)
途中メンバーの変更がありつつ、最終的には私を含め「16人」の方にご参加いただくこととなりました。
開催までにしたこと
1,スペースの予約
ギャラリーへのアクセス、開催日数、料金を勘案し、「DESIGN FESTA GALLERY HARAJUKU」に決定
また部屋の広さ、構造を考え、EASTの「302、303」を選択
本ギャラリー以外に渋谷のギャラリールデコ等も検討しました。
ルデコを借りる場合は1週間単位となり、その分価格が相応に高くなるため、比較的カジュアルに展示をしたいという今回の展示からは少しずれるかと思い見送り。
また平日に開催する場合は搬入日以外の受付業務の負担もあるため、週末を含めた3日間に集約しても問題ないと判断
また、備品は全て無料のもので賄えました(長机、いす)
2,運営面の方向性の策定
各々の好きなものを展示するという趣旨ではありますが、出展者で話し合い、本展示は基本として「作品自体を見てもらう」、「見やすい環境にしたい」ということを方向性として定めました。
好きなものを展示するという趣旨から展示方法が各々で異なるため、同じ展示としての統一感を保つため、展示写真以外の、キャプションボード、感想ノートは統一しました。
また、なるべく写真の前で滞留を起こさず展示を見やすくするため、写真集は中心のテーブル上に集約し、なるべく導線を塞がないように設置しました。
3,DM、ポスターの作成
僭越ながら私の写真を使いデザインさせていただくことに。
ツールとしては「Canva」を使用
完成したデータをDMは「ラクスル」、ポスターは「プリオ」にて外注
4,キャプションボードの作成
キャプションボード(150mm x 150mm、スクエア)には最低限の情報として、出展者名、QRコードを記載
上記に追加で、ポートレートの場合はモデルさんの名前、QR、タイトル、説明文など
それぞれ展示する作品やレイアウトはまちまちなので、同じ展示としての統一性を保つためにもキャプションボードのデザインを統一することはある程度機能していたのかなと感じます。
5,壁割
今回の展示では、ポートレートでもそれ以外のスナップ等好きに展示できる趣旨でしたが、皆さんのジャンルの希望を伺うとポートレートメインが10名、スナップメインが6名
ちょうどそれぞれの部屋のキャパに合う人数だったので、この時点で「302」をスナップの部屋、「303」をポートレートの部屋とすることが決まりました。
かつこきちさんの写真集の拘りは下記から
302は壁に凹凸が無く特に差はなかったのですが、問題となったのは303です。
ご覧いただいた通り、場所によっては凹凸があります。そのためどの場所を誰が使うのか決まるまで少し時間がかかりました。
左から、あつさん、キョジンさん、MATSUGENさん、takeshi morikawaさん
段差のある部分の方にはご面倒をおかけしました。
左から、りあんさん、B-STUDIOさん
6,出展者配置図、兼、アンケート用QR記載のチラシを作製
総勢16名の展示ですから、どこに誰の作品があるのかが分かりづらいかと考え、配置図を描いたチラシを作製、受付で配ることにしました。
折角チラシを刷るなら別の役目を持たせたいと、アンケート用のQRも追加
7,受付シフトの作成
受付は「302」に置いたのでそこに1名、案内などをメインに行う担当を「303」に1名配置
これをそれぞれ1時間交代で担当するためにシフトを作成
しくじり
さてここからは反省のターンです(笑)
1,一人でやりすぎてしまった
どういうこと?
と思われるでしょうが、展示の準備を進めていくに当たり一番の失敗だったのが、「全てのことを一人でやろう」と思ってしまったこと。
そもそも私が声がけしたので、出来うる限り運営については自分がやろうと思いましたが、これがあまり良くなかったです。
最初の内は期間的に余裕もあるので特に問題を感じていませんでしたが、説明会や色々な確認事項などで他の参加者の方のフィードバックが出てくると、参加人数も中々なので結構時間を取られてしまいます。
皆さんいい意味でのこだわりをお持ちなので、できるだけそれに近づけていきたいと考えるとそのやり取りも含め、私のキャパをオーバーすることに。これらは運営の効率性とは反するフローでした。
今回は立ち上がりの時点で決まっているレギュレーションがゼロに近く、出展者同士の話し合いを最大限反映しようとしましたが、結局、素人運営に全ての出展者の希望を100%反映することは不可能に近く、各々が納得できるポイントを探すのは難しい所でした。
結局自分の軸足がブレていたことが最大の問題だったのかなと。
もし今後また展示をやるとして、スケジュールがタイトだった場合は、「柔軟性」と「効率性」を天秤にかけて、どこまでを運営サイドで決めてしまうかが課題になってくると思います。少なくとも、今回以上の効率化は必要だなと思いました。
意見を求めすぎてしまうことで、参加者の方にも面倒が生じてしまうのは、ある意味本末転倒でもあるので。
2,展示室のレイアウト
今回はスナップがメインの部屋、ポートレートがメインの部屋と分けたこともあり、スペースの都合で受付のある部屋が一つだけ(302)となりました。
302は階段から少し奥に進んだ部屋なので、先に303をご覧いただくことが多く、一旦302に誘導するという作業も発生します。
結局これを解消するには大きい一部屋を借りるということがシンプルな解決法なので、そこは会場選びの段階で考えなくてはいけませんね。
また、当初は「302」、「303」の二部屋のみを予約していましたが、出展者が多く、在廊の際に十分なスペースがないことから、控室、兼、荷物置き場として「304」も追加で予約
初めから予約しておけという話ですが、偶然空いてて助かりました💦
3,搬入日に不在
これこそが最大のしくじりですが、搬入日当日に出張をしなくてはいけなくなり主催であるのに搬入に立ち会えなくなったことです。(ちなみに大阪への日帰り)
言われた瞬間は頭が真っ白になりましたが(普段全く出張がなく、開催を決めた時点では想像もしていませんでした)、兎に角代替案を考えなければなりません。
タイミング良く、そのすぐ後の週に説明会があったので、すぐに対面で周知できたのは運が良かったです。
最終的に私の作品は他の出展者の方に代理搬入してもらい、全員分のキャプションボード、ポスターなどの必要な資材はあらかじめお渡しをし、当日の流れや全体のレイアウトを共有しました。
特にこの辺りから皆さんの手助けによってスムーズに進んでいくことになり、滞りなく進めることができました。
ちなみに受付表はあつさんに作成していただきました。
参加者の一人であるキョジンさんがご自身のnoteにて、大人の文化祭と評していただきましたが、正にぴったりの言葉だと感じます。
4,アンケート用のQR
出展者の配置図にアンケート用のQRも載せましたが、この回答数が想定をはるかに下回る数でした。(悲報)
理由として考えられるのは、希望者のブースには感想ノートを設置しており、そこに感想を書いた方がウェブ上のアンケートまで答えることが無かったのではないかということ。
もう一つには、チラシのそもそもの用途は配置図としての役目で、それに埋没してしまったのではということ。
正直ウェブのアンケートの作成はさほどの手間ではなかったので、その方法を学んだだけでも意味はあったかなと。
もちろんアンケートに答えていただいた方には最大級の感謝をお送りしたいと思います!
振り返って
いざ取り掛かると、当初は予想もしていなかった色々なトラブルが起こり、とてもいい経験になりました。
結局自分で苦労してみることが一番身になるんだと改めて思った次第。
こんな素人運営の展示に快く参加していただけた出展者の皆様、実際に足を運び作品を見ていただいた皆様、関わっていただいたすべての方にお礼を申し上げます。
あの展示の裏にはこんなドタバタな経緯があったんだと楽しんでいただければ幸いです(笑)
作品解説
最後に私の作品を解説させていただきます。
Title:No Boudary
Model: 月野むんさん
橘エマさん
なゆさん
これまでのポートレートの展示ではほぼ100%額装で出展をしていました。
しかし今回はスナップとポートレートを組み合わせた展示
折角ならこれまでとは違った展示方法を試してみたいと、プリントした写真を直接壁に貼ることにしました。
展示するポートレート作品を選ぶ際にも、一緒に並べた時にスナップと比べ悪目立ちしないよう、スナップの中でも違和感を感じないものにしようと考えました。
直接プリントした作品を飾るとその配置をかなり自由にできるので、それなら配置自体に意味を持たせることができるのではないか、更にスナップ、ポートレートの組み合わせだけでなく、カラー、モノクロを使うことでより意味合いを強めることが出来そうだと思いつきました。
カラーの写真の配置をご覧ください
この配置はアルファベットの「B」を意識して配置しています
斜めに配置されたモノクロの写真は、キャプションボードのタイトル上の斜めの取り消し線を表しています。
「Boundary」は「境界」を意味し、それを斜めの線で否定することで、スナップか、ポートレートか、カラーかモノクロか、そういったことを気にせずフラットに見てほしい
それを写真のセレクトだけでなく配置でも表したい、そういった思いを込めてみました。
スナップと馴染むポートレートという事は、人物の主張が強すぎないという事でもあり、今回のような展示を許容していただいたモデルのお三方には改めてお礼を申し上げます。
長々と書き綴ってきましたが、これを読んで展示に興味を持つ方がいらっしゃれば幸いです。
次回の展示は6/15,16に開催される「PHOTO PARTNER 3rd Exibition」
場所は同じく「DESIGN FESTA GALLERY Harajuku EAST」です。
皆様のお越しをお待ちしております。
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