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A very merry unbirthday to me!〜ケの日のケケケ

先日NHKで放送されたこの単発ドラマがとても良かった。
ケの日のケケケ
感覚過敏の高校生・あまねの話だ。

45分の中にものすごくいろいろ詰まっていて、感想が発散してしまいそうなので、少しずつ書こうと思う。

この作品の何が良いって、まずタイトルが良い
「ケの日」とは、「ハレとケ」の「ケ」。
ハレの日は冠婚葬祭や行事がある特別な日。
ケの日は、それ以外の普通の日常の日。
ケケケは主人公のあまねがご機嫌なときに「ケケケケケ」と笑う声。
つまり、「なんでもない普通の日をご機嫌に過ごそう」ということだ。

なんて素晴らしいタイトル!!!
私は子どもが産んで以降、私と私の家族がどうしたらケの日をケケケに過ごせるかということだけを考えて過ごしてきた。
子育てするにはどこに住むか、どこの幼稚園に通わせるか、児童発達支援のペースどうするか、通常級か支援級か…
自分のことでは、PMSの処方薬を服用してブルーデイを出来るだけ少なくしたり、在宅ワークをすることで気分転換と経済的余裕を持たせたり、月1回心理士に私の話を傾聴してもらったり…
全部、ケの日をケケケに過ごすために選んだことだ。
本当にそれだけなのだ。
それだけのことが、とっても難しいのだ。


あまねが高校1年生で「なんでもない普通の日をご機嫌に過ごしたい」と願うのは、裏を返せばそれだけのことが彼女にはとても難しいことだということ。
つまらない日常に少しでも刺激を求めたい年代でもあると思うと、彼女にとって世界は過剰に刺激的であまり優しくはない。
その辛さには心から共感したい。

ケの日のケケケがどんな意味かわかったところで思い出した歌がある。
ディズニーの名作「不思議の国のアリス」(ルイス・キャロルの原作では鏡の国のアリス)に、いかれ帽子屋と三月うさぎがお茶会をしながら歌う「The Unbirthday Song(お誕生日じゃない日の歌)」だ。

とても楽しいこの歌は、子どもの頃に妹とよく歌っていた。
誕生日は年1回しかないけれど、誕生日じゃない日は年364日もあるのだ。
たった1日を最高に特別に過ごすこともそれそれで素敵だけど、それ以外のなんでもない364日をケケケと笑ってご機嫌に過ごせることの方が、幸せの総量は大きそうだよね。

感覚過敏を含め、マイノリティにはあまりにも刺激が過剰でバリアも多い社会だけど、
どうにかできそうな手の届くところからひとつずつ、ご機嫌に過ごせるように変えていこう。

なんでもない日、バンザイ!!

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