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旅の支度 3 他人事歴史の続き

今夏、友人ナナと旅をする。

ベーグル発祥の地(旅の支度1
第二次世界前からの彼の地にまつわる本を読む(旅の支度2

この地への旅の準備をしながら
歴史とは
過去に閉じ込められたものでないことを実感。

過去の事実は現在に繋がっている。

そもそもこの旅行はHana's suitcaseと言う本が発端。ここカナダのモンテソーリ・プリスクールで知り合ったレノアが紹介してくれたものである。

アウシュビッツで亡くなった人のスーツケースからその持ち主の少女Hanaに辿り着くストーリー。

この本を読んでもまだ私にとって
ホロコーストは歴史だった。

最近これに関連して衝撃的なことに出くわした。

本を貸してくれたレノアに旅行の話をしたら
彼女の夫がこのTVシリーズを視聴中と紹介してくれた。

The Tattooist of Auschwitz。

ここでのTatooistとはアウシュビッツでとらえられたジューイッシュの人々の腕に番号を入れ墨していく係。
日本での放送はまだだが、日本語に訳された原作があってナナはもう読んだらしい。
この時点でも私にとってはまだまだ
”現実に起きた許しがたい出来事”と言う過去形。

そもそも過去形であるという時点で私の中では完全に他人ごとである。

そしてレノアが続けた。
知り合いの腕に番号のタトゥーがあるわ。
生き残ってカナダに移住してきたの。

これには衝撃を受けた。
確かに、
そんな人がいても不思議ではない。
まだその恐ろしい”歴史”が終わりきらない時代に私たちは生きている。

その番号が腕に残る人は毎日それを目の当たりにして日々の生活を送っているわけで。
記憶は薄れない。

子どもの頃、親がナチスに捕まえられ目の前で射殺されたって人を知っているよ。

そう言っていた別の友人もいる。

しかし何もナチスだけではない。

おじいちゃんは日本人をすごく嫌っているわ
戦争中にひどいことされたのを見たから。

そう言ったのはフィリピン出身で夫の在宅緩和ケアのヘルプに来ていた女性である。

あなたには関係ないけどね

日本人である私を振り返ってそう付け加えてくれた。

最近ドイツ系のニュース(DW)をYoutubeで観ていて
コメンテーターの女性が

フィリピンで日本の自衛隊が(なんという単語を使っていたか?単に空軍か海軍と言っていたか?)駐留できるようになるのは両国にとって大きなチェンジですね。フィリピンの日本に対する国民感情の改善は、戦後の日本の援助や努力のおかげでしょう。(え?そうなの?)

過去に起こったことの延長線上に私たちは今を生きている。

やばいなあ~私。
なにも知らなくて。

この夏の旅は今に続く歴史を辿ることになりそうだ。
アウシュビッツの博物館見学チケットを予約した。

前述の本Hana’s Suitcaseにある石岡史子さんは現在Kokoroと言うNPO法人を運営されている。

日本帰国時に直接お会いした時、オーストリアの兵役義務とその代替プログラムの話をされていてそれが

ナチズムの犯罪に対するオーストリアの責任認識に基づく「Gedenkdienst 記憶のための奉仕活動」のプログラム

NPO法人ホロコースト教育資料センター

であることを知った。(そんなプログラムがあるんだ!)
そしてそれは

オーストリアでは18歳以上の男性は兵役義務があるが、代わりに世界各地のナチズムやホロコーストの歴史に関連する博物館や平和博物館、福祉施設でボランティア活動に従事することもできる。これまで700人を超える20代の若者が60ヶ国、143ヶ所に派遣されている

NPO法人ホロコースト教育資料センター

というものである。

”責任認識に基づく"
という言葉が私を捉えた。

なぜ止められなかったか

なぜ
そのとき
そこで
それを
止めることができなかったのか

その考察は
歴史を一気に自分のもとに引き寄せる。


さて、ナナと私は戦争中の国の隣国に旅行をするわけだが、そこに住む人々の戦争への意識はどういうものだろう?
ここカナダでのほほんと過ごしている今の私には想像できないものがありそうだ。

そんな事もこの旅で私は見つけたい。

カナダからの旅客機は戦場上空を飛ばないが、東京発のナナの飛行ルートはその影響を受ける。
南回りの長時間フライトから戦場上空を飛ばない北回りルートに変更というお知らせもあり、飛行時間は短縮されるのかもしれない。

世界の最新情報に注意を払う必要のある旅行でもある。


余談
湖畔の家の間借り人が愛娘の誕生日を腕にタトゥーで入れている。

これアウシュビッツのじゃねーの?って言われたことあるぜ

愕然。
腕の番号からそういう認識に結びつく身近さに驚いたが

そんなこと冗談でも言える・・?

この地ではそれジョークにするの?
ということが時折ある。
私には笑えない。

文化の違い?
怖いものに触れずではなく
身近にあるからこそ
笑いにできるのか?

何にしても
私には理解できない。



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