見出し画像

Dual Residence:サくら&りんゴ #18

都庁が遠くにそびえ、坂を下ると神田川。
水平線から朝日が昇り、窓辺で水鳥の飛来を眺めるシムコー湖畔。
そんな東京とカナダ・オンタリオの二重生活を綴ります。
杉並のサくら、Innisfilのりんゴ、つたない言葉で。

カナダあるある: ジェンダーとムース肉

最近驚いたのはなんといってもCensusである。
つまりこの国勢調査、日本と同じように住居単位での住民調査である。この住所に住んでいる人の名前、生年月日。ここまでは日本のと似たようなものである。そして性別の欄。
ん?

What was this person's sex at birth?
Sex refers to sex assigned at birth.
• Male
• Female
性別とは出生時の性別とわざわざ説明がある。そして次の質問が

What is this person's gender?
Refers to current gender which may be different from sex assigned at birth and may be different from what is indicated on legal documents.
• Male
• Female
• Or please specify this person's gender:
現在出生時の性別でない場合、あるいは提出書類に書かれたものと違う場合、男でも女でもない場合は別のジェンダーを明記
とある。

近頃世界的に話題に上っているジェンダー。スポーツの分野では特に取り上げられている。果たしてこの三番目の選択肢、日本の国勢調査にも現れる日が来るのかどうか。

次に、納税。納税通知書が来ると、なんとなく気持ちが落ちるのは日本にいるときと同じ。おまけにまだこちらのシステムがよくわかっていない私は、いちいち単語を調べなければ意味が分からなかったりする。とりあえずは合計金額と納税期日の確認。もう一度見直して、多分大丈夫?と自分なりの理解である。educationという項目があって何だろうと思う。よく見ると税率がMunicipal, County, Education と三つに分かれて示されている。つまりInnisfilの町に入る分とそれよりも大きいSimcoe Countyに入る分、そして教育という具合に分けて明記されているのである。なるほど、何に使われているかわからないよりも、あなたのこの金額が教育分野に貢献されています、とわかると少し納税も憂鬱でなくなるかもと思う。ま、少しだけ。

さて次は、こちらの人々は大抵いい加減!である(失礼!)
もちろんきっちり仕事をこなす人もたくさんいる、と思う。トロント等、大都市部や会社等ではもちろん働き者できちんと仕事をこなす人がたくさんいるに違いない。私もここではふらふらしている身(!)なので何とも言えないが、湖畔生活、日常的に見えるのはいい加減である。言ったこととその後の行動がマッチしないなどが多々見受けられる。

例えば諸事情でタイル張りが終わらなかった一階のシャワールーム。使えるけれども仕上げてほしい。連絡すると、もちろん仕上げに行くよ!と調子いいメールが来てそれっきりである。
玄関先の階段作りを頼んだ時は、メインの仕事の合間にしてくれと頼んだものだったとはいえ、途中のまま仕上げられなくなったと連絡が来る。そして今も階段は手すりがないままである。さすがにすまないと思ったのだろう、聞いたが作業が終わった分の請求はないままである。
またある時は、春先によく浸水する地下でポンプを見に来てもらうと、壁を抜いて水を外に出すようにできると言う。それならと見積もりを頼む。春になったらすぐ工事を始められる、と言っていたが見積もりさえも上がって来ない。
近くの水道工事屋さんに電話をすると
ただ今留守です~4月に戻ります~
とメッセージにある。
4時でなく4月。ハイハイ冬は働かないのね、というわけである。
がつがつしたところがないというか、仕事したくないモードと言うか…

しかし、現時点で一番困っているのはなんといっても銀行の書類である。こちらもよくわからなかったりするからさらに始末が悪い。
昨年(!)サインをして、これで大丈夫、OK~です!と明るく調子よく言われたある書類。違う部署ではあるが、当の銀行からまた郵送されてきた。その書類をビーチロードの支店に持って行くも、何の事かよくわからないという。あらかじめ書類に書かれている部署の人と連絡を取り、地元支店に行ってくれと言われての事である。よくわからなかったら郵送した部署の人に直接聞いてくれと頼むも、あいまいな返事である。書類のコピーをして、また連絡すると言うがそれっきり。メールで問い合わせるがその返信も来ない。というわけで今もっていったいどうなっているのかわからない状態である。
少なくともこんな経験は日本の銀行でしたことがない。

さて最近気づいたある単語の使い方がメウロコ。
それはloose
たいていは緩いという意味で、例えばYour shoelaces are looseと言うと靴ひもが緩んでいるということである。けれど、先日Juliaがメッセージでその言葉を使っていてなるほどと思ったのである。それは

あなたのとこのコットン全部で何ロールあるかって問い合わせが来てるわ。

夫が営んでいたオーガニックコットンの布地のことである。そして

Take this as a very loose inquiry, most never come true
とあった。

Loose inquiry!軽い?あまり真剣でない?問い合わせ、つまり、(全部買い占められるかくらいの勢いだが)あてにしないで大抵実現しないの。

言葉通り取らず、あまりあてにしない。そうなのである。調子よくあれもするこれもできると言って来るが、Never come true。
やっぱりそう言うことだったかと妙に納得した私である。

そして最後のカナダあるある、日本ないないはムース肉
Erikがハントして持ってきてくれたムース肉がずっと冷凍庫で眠っていた。それもいくつかの部位とひき肉など結構な量である。おこぼれをいただいただけでもこの分量。いったいムースはどんな大きさだったのか。

そこで今日はムース肉のクッキング。

ひき肉を選ぶ。
牛肉よりもさらに赤みが濃い感じ。

画像1




ミートパテを作ろうと思ったが、まとまりにくい。
にんにく、ショウガ、塩、コショウ、レッドペッパーを入れて軽く味付けをする。ムースそのものの味がわかるよう控えめに。
玉ねぎパプリカと一緒に炒める。もちろん最後は彩とビタミン補充にケールのマイクログリーンを散らす。

Tada~

画像2


グースの肉のような独特の味はなく、脂っぽくなく私にとっては食べやすい肉のひとつである。

調べると

ムース肉は100g中、脂肪分が1g未満という高タンパク質で、飽和脂肪酸も少なくコレステロールなど気になる人にone of the best choices
 とあるではないか。
Erikが持ってきた時は、え~っムース!と青ざめたが、スーパーなどでは売られていないわけで、健康に最良のひとつであるというこの肉、大切に食べることにしよう。


そういえば、Erikは先日はクマ狩りに行くと言っていた。なんでも、クマが出るから撃ちに来てくれと知り合いにいわれたらしい。そこは彼がいつもハンティングに出かけていたエリアだったのだ。しかし急には行けなくてそのままになっていると、どうして来ないのかと知り合いが怒ってきたという。
ウィークデーはこっちだって仕事があるんだから無理だよ!と彼は彼で怒っている。
一方東京の教室の前ではタヌキ騒動があった。教室に上がる階段でタヌキが寝ていたらしい。講師が来た時は、ちょうど近くの住民が通報していてパトカーが2台やってきた。そして警官とタヌキの大捕り物。しかし実際は、殺せないので近くの児童公園に追いやっただけだったとのこと。
クマが出たのでキリン公園に追いやりました。。。なんてことはおこりませんように。ま、ハクビシンの目撃情報はあってもクマの目撃情報はまだない東京の杉並区である。
撃ち殺しに来てくれと言う依頼は必要なさそうだ。

週末の気候はすっかり夏で、人々もビーチに出ていてにぎやかである。フロートの上で遊ぶ子供たちの声が窓から入ってくる。エネルギーいっぱいのその声は、私の気持ちを明るくさせる。生きる力を与えてくれる。

画像3


そうだ今日は泳ぎに出よう。
水際で確かめると、これは行けそうな温度である。今夏初泳ぎである。

子どもたちが引けたころ湖に出た。
はじめはひんやりした水も泳ぎだすと体に優しく沿ってくる。

カナダあるある、あるいは日本ないないがもうひとつあった。

夕方になると、子供たちがいなくなったフロートの上で、40代半ばくらいだろうか、カップルが明るいラテン音楽に合わせて踊りだしたのである。女性は艶やかな水着。彼に体を密着させてのセクシーなダンスである。
まさに湖上のお立ち台。
ヒューヒューと岸の方から口笛が聞こえてくる。
これも日本では見かけない光景かもと思いながらフロートのそばを、もくもくと泳いで越していく。
ま、カナダあるあるかどうかは経験不足でわからないけれど。

どうしてだろう、
ここにいると
人の年齢も自分の年齢も気にならなくなってしまう。

日本とカナダの子供たちのために使いたいと思います。