買い物は「未来への投票」だと言われた話
海外で生活するようになってから、買い物に対する考え方が少しずつ変化してきました。
日本で一人暮らしをしていた大学生の頃は、いかに安く揃えて家計をやり繰りするか、というのが最優先事項でした。服も食べ物も日用品も、基本的な購買基準は「価格」だったように思います。
ところが、学生時代にバックパッカーとして東南アジアをあちこち旅行するようになってから、小さな疑問が芽生えるようになりました。
「なんでこの川はこんなに汚いんだろう……」
のどかな田舎町。
程よい自然に囲まれた美しい景色と不釣り合いな濁った川。
日本と異なり、下水処理が整っていないので、生活排水がそのまま近所の川に流れ込んでいました。いろんな排水が混じりあって、生臭い空気も辺りに漂っています。
これが当時の自分にとっては結構衝撃的で、旅行から帰ったあともぐるぐると様々な考えが巡っていました。日本から遠く離れた土地の出来事なのに、他人事には思えなかったのです。
環境問題の一つの難しさは、「目に見えにくい」ことではないかと思っています。日本のように整備された国では、特にその傾向が強いのかもしれません。だからこそ、自分の目で見た川の光景は衝撃的でした。
「じゃあ、自分に何ができるだろう」
なかなか答えが見つけ出せなかったとき、ヒントになったのは当時の恩師の言葉でした。
「買い物は未来への投票と似ている。社会や環境に配慮した製品やサービスの需要が高まれば、必然的に企業は変わっていく。一方で、そうした需要に対応できない企業は少しずつ淘汰されていくだろう。実は消費者の持つ影響力は大きい」
なるほど。
直接的に自分が環境保護の活動に携われなくとも、消費者として間接的に貢献できることもある。
このことに気づいてから、少しずつ買い物に対する価値観が変わっていきました。
少しでも環境負荷の少ない洗剤
動物実験を行なっていない化粧品
フェアトレードのチョコレートやコーヒー
地元のオーガニック野菜や果物
もちろん、これよりも安い商品はたくさんありますが、その「安さ」には理由があります。学生時代より金銭的に余裕のある現在では、できる限り上記のような商品を選ぶようになりました。
願わくは、もっとこうした商品を誰でも手軽に選べるような社会になってほしいです。価格にしても、入手手段にしても。
自分の日々の買い物が「未来への投票」と信じて、小さな積み重ねを大切にしていきたいです。
みな
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