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はるヲうるひと

あらすじ

その島は、至るところに「置屋」が点在する。本土からは日に二度連絡船が出ており、客の往来の足となっている。住民たちはこの閉塞された島で一生を過ごす。女は客から「外」の話を聞いて思いをはせる。男は、女たちのそんな「夢」を一笑に附して留まらせる。

ある置屋にその「三兄妹」はいた。長男の哲雄は店を仕切り、その凶暴凶悪な性格で恐れられている。次男の得太は哲雄にこびへつらい、子分のようにしたがっている。長女のいぶきは、長年の持病を患い床に伏してる。ここで働く4人の個性的な遊女たちは、哲雄に支配され、得太をバカにして、いぶきに嫉妬していた。女を売る家で唯一女を売らず、それどころか優遇された箱入り娘。しかも、いぶきはだれよりも美しかった。その美しいいぶきを幼少から見守り寄り添う得太であった…
【公式サイトより】

映画って

観る側としては、お金を払ってまで観たいのかどうか
レンタルで借りればいいや
旧作になればいいや
いつかテレビでやるよね
と自分の中でどんだけ話題作でも触手が動かなければ、人気だなぁ~いつかテレビでやるかなぁ~で終わる

だってそれなりのお金を払って、交通費もあって、時間を拘束される

だから流行っているから、話題だからとなっても、自問自答する
そこまで観たいのか?
気になったのはネタバレも調べる
ネタバレ見てもそれでも観に行きたいと思う
作品はすでにこちらから喜んで観に行かせて頂いている

役者さんも好き嫌いはあるけれど、作品目的だったりその時々で優先順位は変わる
映画の醍醐味はその圧倒的視界だ
目の前すべてにその世界が広がる
迫力が全く違う
感情とか叫びとかがダイレクトに伝わり呑み込まれていく
その世界観が大好きなんだ

映画への自分なりのこだわりを長々と語ってしまった…

はるヲうるひと

佐藤二朗さんのTwitterをフォローしていて、そこでこの作品を知った
二朗さんの出演している作品はたっくさんあるけれども、ナゼかこれは特に惹かれるものがあった
簡単に言えば、売春宿での兄弟とそこで働く女のひとたちのお話
完全に大人の世界だ
当たり前にR15指定だった

観ている最初っから引き込まれていた
最初はその世界特有の笑いもありつつ、どこか狂気に満ちていた
その真実を知った時、最後のラストの言葉でモヤモヤと黒い霧がかったていた世界が一瞬にして晴れた
なんだこの終わり方
最高じゃねぇか

山田孝之さんがヤバかった
これは抉られる
山田さんでないと出来ない演技だった
あの演技を観るだけでも価値はある
目力たる凄まじいものはないと思っていたら、その目力を封印しても尚、その魂が伝わってきた
思いっきり鷲掴みにして抉ってくる
迫真とか突き抜けている
もう目を離せないし瞬きすらしたくなかった
一瞬たりともその姿に魅入っていた

里依紗さんの陰な演技が最高だった
あの焦点の定まらない虚ろな視点
動き、話のスピード、間
天真爛漫な役から暗くどんよりとした今回の役のふり幅には圧巻

坂井真紀さんの内に秘めた思い
静かなる叫び

向井理さんの贅沢な使い方
そこに詰まっていた

二朗さんの静かな狂気
最初の二朗さんの横顔の時ですら狂気が支配していた
全身から愛への飢えが歪んだ狂気として溢れ出ていた

1点の黒が混ざればそれはどんどん黒くなる
でも最後の一言で限りなく白に近いグレーになっていた

笑え
声出して笑え

哲雄は笑ったのかな


最高の鼻くそ映画でした

【追記】
日本アカデミー賞最優秀男優賞は山田孝之さんでしょう…
というか今回のアカデミー賞も接戦の予感
それ程までに山田さんの演技が素人でも引きずり込まれたあの演技は一見の価値あり


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