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戦略を自分事化できない人を自分事化するためのポイントを考えてみた

 ある会社の人から聞いた話。全社を挙げてあるプロジェクトに挑んでいるけど、プロジェクトに対する温度感が様々だそう。
 温度感とは、「どうせ、上が”やれ”といっているだけのことなので、まぁ合わせてやればいい」とか「また面倒な仕事が増えただけ」「やるだけ無駄」などという反応があるということなのでしょう。

 人はそれぞれなので、いろんな感じ方はあると思うし、進めている方向性が100%正解ということではないので、反発や抵抗は一定程度あるのは正常な状態だとは言えます。

 でも、組織が事業戦略の一環として進めていこうとしていることに「なんとなく合わしておけばいい」というのはなんだか違うと感じます。
また、時々「私は納得しないのでやらない」という人もいますが、これまた違うように感じます。このような人が組織にいると、組織のパフォーマンスは上がらないし、また本人もいやいややることになり、ストレスが溜まりますよね。こんな状況をどうしたら脱することができるのか、考えてみました。

戦略を自分事化できない人のタイプ

 「どうせ、上がヤレといってるだけだから、適当に合わせておこう」と考える人をひよりみタイプ
 「私が納得しないのでやらない」という人は、自分がえらいとどこかでひそかに思っているので、自尊タイプ
 やってはいるけど、どこかズレているように感じてしまう人は、フリだけタイプ
以上のようにざっくり分類しました。人間観察が趣味の私がタイプ別に自分事化策をかってに考察してみました。

上司より他の人が気になる「ひよりみタイプ」

 「また上が思いつきで始めているだけ」「まぁ適当にやっていれば、そのうち終わるでしょう。」などと、やらないことはないものの、やることに魂が入っておらず形だけの人って、案外、日本の企業では一般的なんじゃないかなと思っています。
 表立って強く異を唱えることはなく、一見従順で、表向きには、戦略に積極的に貢献したいと語るけど、本音は「でもね~」と思っています。
 ひよりみタイプの人には、上からガミガミいっても暖簾に腕押し。すり抜けるすべを知っています。やってるふりして実はしゃがんでいると、嵐は過ぎ去ることを経験で知ってしまっているからです。
 では、対策は?
 このタイプは案外と、同僚の動向を気にします。特に自分と似た思考行動を持つタイプの人が、しっかり戦略を自分事化し、成果を出して来たら途端にちゃんとし始めます。
 ひよりみタイプ全員に理解し、行動させるのはパワーがかかるので、ひよりみタイプの中でも筋がよさそうな人からしっかり理解して取り組んでいただけるように支援し、そのプロセスを共有化することが大事です。

小さな成功を大げさにほめると効く「自尊タイプ」  

 「自分が納得できないから動きません」という人は、わがままな自信家なのでしょう。総じて仕事ができる人が多いと思います。
 特に個人で自己完結できる仕事で成果を出す人にこう言い放つ人が多いように感じます。チームワークが求められる仕事では、いろいろハレーションを起こすこともしばしばですね。
 さて、自尊タイプの人の場合、議論好きの人も多く、議論によって納得すれば理解して行動してくれることもあります。
 でも気を付けないといけないのは、自分が絶対正しいと信じ込んでいるので、こちらの正論をぶつけると大炎上を起こしてしまいます。議論の中で、こちらの言い分に近い話題になったとき、「確かにそのとおり!」と持ち上げつつ、納得のプロセスに持ち込みましょう。
 議論でなくても、自尊タイプの人の行動に、戦略の意図するところと合致したところがあれば、「まさしくそのことなんですよ」と認めると、行動が変わるかもしれません。
 気をつけないといけないのは、自尊タイプは言ってのけるパワーがあるので、組織の中でヘンな派閥を生む危険性があります。周囲に影響がいかないように、早期にコミュニケーションをとっていきましょう。

フリだけタイプはとりあえずやっていることを認めましょう。

 一所懸命やっているのに、ピントがずれているというフリだけタイプの人は、根本的な理解ができていないのだと思います。
ひよりみタイプも自尊タイプも理解できていないのですが、理解できていないという形が違います。
 ひよりみタイプは斜めから見ている感じ。自尊タイプは対立している感じ。フリだけタイプはぼんやり受け取って、よくわからないまま動いている感じです。
 この場合は、行動していることを認めて、そこでうまれた成果や価値をフィードバックして、理解の角度を高めていくしかありません。
 その人の成長に期待して、推進側も根気よく支援していくことが大事ですよね。

戦略の自分事化が組織を強くする

 以上3つのタイプに分けて、どうすれば自分事化するかを考えてみました。どんな人でも、自分が目の前の仕事をやっているのに、戦略にあった動きをせよと、様々なプロジェクトや新しい仕事に取り組まなければいけないのに多少の抵抗はあると思います。
 でもこのプロジェクトは何のためにやるのか。やることでどんな価値が生まれるのかはしっかりと向き合って、しっかりと取り組まなければ組織も自分自身の血肉にもなりません。
 仕事というものは、目の前の作業をこなすだけではありません。そういった作業系の仕事は、今後ますますデジタル化されてきます。
 組織を通じて自分のパフォーマンスを上げていきたいと考えるならば、所属する組織の戦略を理解して、自らの行動につなげていきましょう。
 ちなみに全社を挙げたプロジェクトを自分事化できたという前出の人は、業績も人材の成長にも成果を出しています。

 




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