見出し画像

機械学習とか使っていい感じのマッチングを実現するプロジェクトでリードデザイナーとして意識した3つのこと

この記事は、2017-12-22に他ブログで書かれた記事の転載です

こんにちは。デザイナーの上田です。年末年始に行われる7日間×10時間の短期集中でRailsを叩き込むTECH::CAMP 年末年始イナズマというイベントに参加予定なのですが、今からひよってます。

さて、皆さんは何らかのプロジェクトを担当する際に、自分なりに意識していることはありますか?

タイトルにも書いた通り、今年の10月から機械学習とか使っていい感じのマッチングを実現するプロジェクトにリードデザイナーとして参加していたのですが、3ヶ月を振り返ってみて、意識して良かったと感じることがいくつかあったので、今回の記事では3つの意識したことを共有できればと思います。

どんなプロジェクト?

画像1

一言で言うと、機械学習とか使っていい感じのマッチングを実現するプロジェクトです。

クラウドワークスはクラウドソーシングサービスを運営しており、仕事を受注するワーカーは自分で検索して仕事を探索する体験が基本なのですが、膨大な仕事の中から自分に合った仕事を見つけるのはそれなりにコストがかかってしまうので、機械学習の技術を応用してユーザーの興味関心にフィットする仕事をレコメンドできれば仕事を探すユーザー体験を大きく向上できるのでは?といった仮説でプロジェクトはスタートしました。

1. 機械学習の価値をユーザー視点で解釈すること

今回のプロジェクトで一つ目の意識したことは、機械学習の価値をユーザー視点で解釈することです。

開発チームはプロダクトオーナー、CTO、エンジニア3名、デザイナー2名とバランスの良いチーム構成で、私はリードデザイナーといった立場でチームに参加し、主にプロダクトオーナーやCTOと施策の方向性のディスカッションやデザインプロセスの提案・推進をメインに動いていました。

機械学習に触れるのは初めてだったので、最初はSlackチャンネルに流れるエンジニア同士のやりとりを見て正直ポカーンとしていたんですが、エンジニア主催の「1時間でなんとなくわかる推薦システム読書会」なるものに参加したり、プロダクトオーナーやCTOと議論を重ねるうちに、機械学習と言っても魔法の箱ではなく、技術の扱い方は、ユーザー体験の価値仮説を参照しながら方向性が決まってくるということに気づきました。

例えば、概要推薦や永続的個人化など、推薦パターンの特性に応じてレコメンドの適切な表示タイミングと導線を設計するなど、機械学習の技術をサービスに導入する上では、UXデザインやUIデザインとの関わりが深いのです。

また、機械学習のプロジェクトにおいてユーザー体験の価値仮説が重要だと気づくうえで参考になったのが以下の記事で、パーソナライズされた最適なレコメンドを実現する上で、顧客のニーズをレコメンド結果に反映する仕組みについて丁寧に解説されているので、よければ是非ご一読ください。

27歳で起業、創業6年で売上1,000億円を突破!AIがスタイリストの服のチョイスを支援する「Stitch Fix(SFIX)」の上場申請書(S-1)を読んでみた

クラウドワークスの場合のその他の具体例としては、ユーザーの属性によって求めている仕事は変わってくるので、ユーザーの嗜好性をどうやって分類すべきか?といった議論で定性調査に基づいて形成されたペルソナを応用したり、ユーザーの嗜好データを収集する上で、ユーザーの情報登録の体験をどうやって設計すれば適切なデータが集められるだろうか?など、意外とデザイナーの出番は多いです。

議論の末、まずはルールベースで実装し、試行錯誤は並行して進めて機械学習で置き換えることにより精度が向上するということがわかったら順次置き換えて行くという方針に達しているのですが、技術自体が目的にはならず、あくまでユーザーに対しての価値提供の軸をベースに議論をできていたからこそ柔軟に意思決定を進められたのかなと思います。この辺りの背景については、プロダクトオーナーが先日記事を公開していたので、よしければ合わせてご一読いただければと思います。

機械学習とかつかっていいかんじのマッチングを実現するプロジェクトでのプロダクトオーナーの役割

もし皆さんの会社の機械学習が絡んだプロジェクトでエンジニアとデザイナーでディスカッションの距離が離れてしまっている場合には、ぜひユーザーニーズを共通言語にして施策の方向性を一緒に議論できる状態にチームを変えてみてはいかがでしょうか。

※なお、念のため補足しておくと、機械学習の私の知識については推薦パターンの特徴やユーザー情報の取得の体験設計に必要な観点などを知っている範囲に止まっており、実際にそれの実現に必要な技術的な側面についてはもう全くわからず、あくまでデザイナーとして関わる上での必要最低限の知識を抑えるようにしたといった認識です。逆にもっと詳しく勉強して知見を深めているデザイナーもいると思うので、そういった方はすごく尊敬します。

2. 必要だと思う手法は未経験でもがんがん取り入れること

画像2

二つ目は、必要だと思う手法は未経験でもがんがん取り入れることです。

具体的に新たに取り入れたデザイン手法はTO-BE型のカスタマージャーニーマップの作成と、それを起点としたユーザビリティテストを含むプロトタイピングのプロセス設計です。

プロトタイピング自体は何度も経験していましたが、カスタマージャーニーマップを起点にプロジェクトを進行するのは弊社では初めての試みだったので、ネット上に公開されている記事を参考にしたり、知り合いにヒヤリングをしながら試行錯誤して進めました(CJMや定性調査のプロセス自体はUXデザイナーにリードしてもらいつつ進めていました)最初から最後までめちゃくちゃ苦戦して、デザイナー2名+UXデザイナー1名の3名で正味2週間くらい合宿みたいに取り組みようやく形になった・・という贅沢な時間の使い方をしてしまいました笑

今回は私がデザイン観点のプロマネ的な役割も兼ねていたのですが、未経験の手法はスケジュールの見通しも立てづらいのでプロジェクトマネジメント的には導入しづらいのが正直なところなのですが、そこはワガママを言って、丁寧に取り組んだ分だけ今回のプロジェクト以外にも再現可能なノウハウとして組織に蓄積できるだろうという投資的な意味合いも込めて、気の済むまでやりました。

画像3

(社内向けドキュメント)

結果的にはプロセスの振り返りも丁寧に実施し、上記のように社内向けのドキュメントとして知見を貯めることで、並行して進んでいた他のプロジェクトで早速アプローチ方法を参照したりと組織のノウハウとして定着し始めました。詳細なプロセスについては今後のデザイナーブログで折を見て共有していければと思います。

今回のプロジェクトでデザイナーが体験設計やデザインなどの未経験の手法の試行錯誤にリソースを割けたのは、プロダクトオーナーや開発メンバーに恵まれたことはもちろんですが、プロダクトオーナー、CTO、リードデザイナーの3人でコアメンバーの会を設定し、施策の方向性やプロセスについてフラットな立場で議論できる状態を作ったことで、デザイン観点で必要なスケジュールをデザイナーが提案しやすい状態にあったことも重要だった気がします。

3. 設計プロセスを日々アップデートし続けること

三つ目は、設計プロセスを日々アップデートし続けることです。

今回は半年スパンの長期プロジェクトだったこともあり、正直キックオフの段階ではプロジェクトの全体像は全く見えてませんでした。

そこで、今回のプロジェクトでは最初に最低限の必要なロードマップを引き、リリースに至る途中のTODOは日々アップデートし続ける運用で進めました。

画像4

(初期段階で引いた大枠のロードマップ)

最初から意図してそういった運用にしたというよりは、結果的にそうなったという感じでしたが、最初からギチギチにタスクを細かくブレークダウンするというよりは、プロセスに柔軟性を持たせることによって、必要なユーザー情報を得るためにユーザーアンケートを実施するなど、設計の質を高める小回りの効いた活動につながるなど、良かったなと感じています。

さいごに

いかがでしたでしょうか?

プロジェクトのフェーズも変わってきて、一緒にチームに参加していたもう1名のデザイナーにリードをお願いして、現時点では私はチームから離れてしまったのですが、機械学習とか使ったいい感じのマッチング体験は日に日に具現化されつつあるので、リリース日が今から楽しみでしょうがないです。

今回の記事ではプロセスやアウトプットの詳細には踏み込まず、意識したポイントを共有する記事になってしまったので、おいおい詳しい情報をアップデートしていければと思います。

さて。そんなUXデザイングループでは機械学習とかにも興味が湧いちゃう好奇心旺盛なデザイナーを募集していますので、興味あればぜひランチでもご一緒させていただけると嬉しいです。軽く話を聞いてみたいくらいの温度感でも全然OKなので、お気軽にWantedlyよりご応募くださいませ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?