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飛沫氷


外気が白く凍てつくと、雫が落ちる様がよく伝わる。
飛沫氷が生を無に返す様を上手く形にしている。
植物は却って温かそうで、私の心に直に響く。
だってほら、矛盾脱衣なんてものもあるくらいだから。
水面の光が奥の水の濃さに吸収されていく。
一番底には得体の知れない、私の何倍も大きい生物でも寝ているのだろうか。そんな事を考えながら湖を後にする。
暖かい部屋に帰ってきた。
ベッドに座って一息つく。
温かい珈琲と、クラフト紙のメモ帳。
あの情景を、あの匂いを、思い出しながら言葉を綴る。

自然、そんな言葉は逃げ道なのかもしれない。

私は凍ったことがないのだから。

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