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創業から7年間の失敗集 | 株式会社mikanの場合

mikan Advent Calendarの最終日25日目です!24日目は zukkey による「2022年Androidエンジニアとしてやったことと今後について」でした。

1年で見えるところも見えないところもめちゃめちゃアップデートされていて、私が書いていたコードはほとんど消え去っていて、本当に心強いです!でも、まだまだチャレンジしていくことが山積みみたいなので、また2023年のアップデートも楽しみです。

mikanの代表の髙岡です。
2021年に生まれた娘がもう1歳半になり、1ヶ月早く産まれて大変だったのに、いつの間にか成長曲線の上限からはみ出し始めていて、子供って本当にすごいなと思いながら、日々過ごしています。

さて今回は、2014年の創業から、社員20名を超えた現在までの「失敗」をまとめてみました。
成功事例は発信されることが多いですが、失敗事例がまとめて発信されているケースは少ないと思います。まあ失敗はあんまり発信したくないですよね。
ただ、「失敗は成功のもと」でもあるので、まだ七転八倒している状態にあるチームが、失敗とそこから考えている学びを発信することで、誰かの小さな一助になってくれたら嬉しいです。

あくまで、mikanにおける諸々の背景を踏まえた場合の事例なので、一般論として考えているわけではないことをご了承ください。

これまでの失敗、そしてそこへ関わってくれた人たちへの感謝

このポストで、過去の出来事を「失敗」と位置付けて振り返っていきますが、2014年の創業から、さまざまな形でmikanに関わってくれたたくさんの方々には、本当に心から感謝しています。
その時その時では、全力で取り組んでいても、振り返ってみると、改善すべきところはたくさんあります。でも、そもそも行動をしていなければ、今のmikanは無いので、そこに一緒に取り組んでくれたり、支援してくれた方々には、感謝してもしきれないです。

2014年夏、全国行脚して英語勉強会の様子。mikanのプロトタイプを使ってもらってました
2015年末 ~2016年頭に開催したユーザーオフ会。司会もユーザーの方にやってもらいました。

過去を振り返りながら、改めて書いてみると、そりゃそうだ、って話ばっかりになって恥ずかしいのですが、自分自身の棚卸しとしても挙げていきます。

安直なダブルダウンをする

ダブルダウンは、うまくいったことに対して2倍賭けをしていくことです。うまくいくことが分かったことに、更にリソースをフォーカスさせて実行して、更に大きな成果を得ようとする意思決定ですね。
ただ、うまくいった時に、その背景には何があるのか、を深く捉える分析が無いままに、安直にダブルダウンしていっても、増やしたリソースをどこに当てるのかへの仮説も弱くなるため、得られる成果を大きくできるのかは怪しくなってしまいます。

mikanの具体的な失敗事例の1つは、2016年の「全国高等学校英単語選手権」を1回目の成功をそのまま踏襲するのみで2回目開催をしたことです。
全国高等学校英単語選手権は、優勝賞金100万円をかけて全国の高校No.1を決めるmikanアプリ内の企画です。

2回目の開催では、1回目からの改善点として大きく2つの取り組みを実施しました。

  • 1回目よりも、メディア露出増やすために、地方へ出向いてmikanを使った勉強会を開始する

  • 高校としての団体参加以外の意欲喚起をするために、個人賞を用意する

ただ、2回目の開催では想定していたような成果はあまり得られませんでした。
1回目は、話題になったことで新規流入が増加していましたが、流入後の継続への分析が足りなかったため、2回目も「話題」にすることに終始してしまい、結果DAUを引き上げることはできず横ばいの状態になってしまっていました。
ダブルダウンする時には、「どの部分へ」リソースを集めるのかへの分析がより必要だったなと思っています。

2016年は選手権以外にもいろんなtopicがあったので、DAUのグラフの動きが複雑になってます

2つ目の失敗事例は、2017年にアプリの量産しまくって、30個ほどリリースしていたことです。
選手権中に高校生と話している中でよく要望に出ていた、「古典単語」を、新規アプリとしてリリースしたら、それまでの売り上げがMoM+100%となったため、出版社の方々とタッグを組みながら、アプリを大量にリリースしていきました。

別アプリとして初めて出したmikan古典は、初月でこれまでの売上を倍増させました
ストアページに並んでいた、たくさんのアプリ。現在は1つになってます。

ただ、古典単語が「なぜ」うまくいったのか、ということへの分析が浅いまま、別アプリでコンテンツをどんどん出していけば良いという仮説で走ってしまいました。
結果的にはアプリごとの売上にはとても大きな差があり、また、開発や問い合わせ対応のコストは増えていくばかりで、想定していた成果はなかなか得られず、ご迷惑をかけてしまうケースも出てきました。
ダブルダウンする際には、「なぜ」うまくいったのかへの、顧客視点の仮説が出るまでの分析をすることが必要だったと感じています。

何でもかんでも、我流解決を目指してしまう

プロダクト開発から、組織運営や採用まで、目の前の課題に対して、何でもかんでも自分たちの頭とググる範囲くらいで解決策を実行してしまいがちだったため、一般的なプラクティスと比べたときに著しく非効率だったり、よくある落とし穴を誘発していたりしました。
我流解決をやりがちだったのは、開発なども大体はできたこと、短期的には費用が安くなること、学生起業で経験値がなかったことなどが要因かなと思ってます。
「正解」が世の中にあることは少ないのも事実ですが、事業運営をする中で、他に全く類似事例がない課題ばかりに向き合い続けることも少ないはずです。今は、「型」や「事例」をインストールして、守破離で取り組んでいくことが重要だと考えています。

この項目の失敗は、挙げるとキリが無いくらいなのですが、抜粋して、列挙してみるとこの辺りです。

事業改善速度の課題から、2017年に四半期目標制度を導入した際に、「世の中の3カ月はmikanの1年」と捉えて、1Qの中に4つのmQ(mikan Quarter)を設定。ただ、表面的な我流解釈だけになっており、KICKOFF/締め会頻度の増加を生んで、5-6人なのに運営にかける時間が多くなってしまっていた(リンクアンドモチベーションさんの時間軸の話を聞いて)

リンクアンドモチベーションさんのLMカレンダー

2019年から新たに0からチーム組成をしていく際の採用で、基準やプロセスの最低限の言語化もせずに進めていったため、社員4名+業務委託で計10名超えてきてから、組織運営のコストが高くなってしまった(その後、"mikan"としてのモノサシを定めていくために、ミッション・バリュー・採用要件・選考プロセスを構築)

2020年に、学習データ同期の問題から、アプリの基盤になっていたデータベースを刷新するプロジェクトにおいて、初めてレベルの大きな刷新にも関わらず、技術選定や開発のスコープ設定が甘い状態で走ってしまい、長期化や不具合を生んでしまう結果となってしまった

プロジェクトの詳細は、飯田くんがiOS DCに登壇したスライドがこちら
mQ制度で3週間に1回締め会があり、安いピザよく食べました。楽しそうでモメンタムはありそう

分析基盤を、自分たちが扱える技術のみで、なんとか実現しようとして、細かい分析ができない状態になっていた

この分析基盤の件は、大学の同期で元々グノシーでデータ分析をやっていた石塚手伝い始めてくれた瞬間に解決するほど顕著で、「型」のようなものを学ばせてもらうかは、課題解決の速度や質に直結するなーと痛感する事例だなと思います。
分析基盤の歴史は、その石塚がmikanのテックブログにもしてくれてます。

フォーカスなき事業運営

これは教科書的な失敗で、フォーカスの重要性はスタートアップでは本当によく語られることかなと思います。よくスライドを拝見していた、馬田さんもフォーカスについて説明されていました。

インプットとして知ってはいたものの、事業状況からの刺激やさまざまな機会の到来をトリガーにして、フォーカスがブレてしまっていたタイミングがあり、結果うまくいっていなかったです。
市場や競合環境、経営チームや組織などなどによって、フォーカスが意味する度合いは水物なので、日々難しく感じているポイントではあります。mikanだと、どうしてもエントロピー増大してしまいがちなので、今ではちょっとフォーカスしすぎかなって感じるくらいに意識するようにしています。

フォーカスできていなかった時期として、1つは2017年の頭です。
2016年の選手権2回目からのDAU伸び悩みで、創業から2年半経過して、財務数値的にも売上を作っていく必要があったため、マネタイズをしっかり考えていくことに決めたタイミングです。
その時には、フルタイム2名・業務委託やインターンが3-4名の少人数の状態でしたが、当時のKICKOFFでは、サブスクの新設や新規アプリ開発や新規事業立ち上げの5つが取り組み内容として並んでいました。(今考えると、訳分からなすぎるんですが、当時は本気でそれぞれ進めていく予定で、開発や撮影、ヒアリングなどをやってました。)

2017年1月のKICKOFFのスライド抜粋

マネタイズへの解像度が低い中、思いつく範囲でとにかく検証をするとなっていましたが、仮説をまずは絞り込む必要があり、絞り込むために検証が必要なら、それを高速で実施していく必要があったなと感じています。
結果的には3ヶ月走ってみて、「ちょっと全然5つとも進めるの無理なんやけど」となって、次のQからは1つに絞り込む結果になりました。

もう1つの時期は、最近なので非常に恥ずかしい限りなのですが、2020年の夏過ぎです。
この時は採用本格的に始動する前で、社員で3-4名のタイミングでしたが、mikanに加えて、TOEICのリスニング・リーディングの問題を解くアプリの新規開発や、引き合いがあった学習塾向けのサービス展開を同時に進めていました。(スライドを見返すと、英会話アプリの新規開発も検討していて恐ろしい)

同時に動かし過ぎの課題から、まとめることを決めたスライドの抜粋

結果的には、チームやプロダクトの状況の変化から、1年後の2021年の夏以降には、上記の中から動かし始めたプロジェクトもあったのですが、当時のタイミングでは、明らかにフォーカスがブレて、どこのアウトプットもまだまだな状態になってしまっていました。
このように発散しがちなのは、思考のクセも一定あると思うので、客観的に意見をもらうルーティンのセットや思考のクセを正すためのインプット習慣付けが必要だなと感じました。

大元の原因は、自身の器を拡げ続けるための、継続的な取り組みがまだまだ足りないこと

こうして失敗を振り返ってみていたら、最終的には、自分自身の器とそれを拡げ続ける努力の不足に行き着いてました。
ここで言う「器」は、目指す事業の提供価値や組織サイズの視座、そしてそこへ本気で向き合う姿勢を意味しています。
学生起業でスタートしていることもあり、足りないことだらけの中で走ってきましたが、その足りていない器を、継続的に拡げていく具体的な行動をもっとやっていれば、列挙していく失敗のいくらかは避けられたかもしれないと振り返ってました。

まとめ

列挙してきた失敗はこちら。

  1. 安直なダブルダウンをする

  2. 何でもかんでも、我流解決を目指してしまう

  3. フォーカスなき事業運営

その他にも、いくつか失敗の列挙もありましたので、項目だけ書いておきます。

  • 顧客接点を用意しない時期を作ってしまっていたことで、その時期はプロダクト改善仮説が浅くなっていた

  • やってみよう精神がいつでも強すぎて、ロールバックするのに労力がかかるようなこともライトに始めて、迷惑をかけることになってしまっていた

失敗を振り返っていて、本当にさまざまな人たちのおかげで、2014年から今までやってこれているんだなと改めて強く感じました。
紆余曲折ありましたし、社員だけで20名を超えてきて、組織的なチャレンジも出てくるタイミングになってきますが、これまでの失敗を糧に、より大きな事業価値の創出とより良いチーム作りに活かしていこうと思います。
こんな失敗もあったでしょ!とか、この失敗をもっと詳しく教えて!とかあれば、気軽にご連絡ください。また失敗が貯まったらまとめようかなと思います。

いろんな失敗を踏み倒してきているmikanでは、エンジニアやデザイナーを募集しています!!エンジニアは、特にbackendを募集中です!
2021年に大きくアプリの提供価値を拡張して、事業数値にも大きな変化が現れてきて、組織体制もアップデートしていこうとしているタイミングになります。
ぜひお気軽にご応募、ご連絡ください!

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