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地域の魅力を言語化して届ける。 #小田原暮らし で感じたこと。

小田原暮らしを始めてもうすぐ4か月。体感としてはもう3年くらい住んでいるのだが、まだまだ来たばかりだということに驚いている。なんか、ものすごくフィットしている感じがする。シンデレラフィット。


インタビューや取材もポツポツと増えてきた。こんな私に興味を持っていただけてありがたい。


いろんな方々と交流をし、街のことも少しずつ分かってきた。そして自分自身も地域の一員として、活気づけていきたいと考えるようになってきた。

運営しているWebメディアも、それなりに記事が溜まってきている。引き続き頑張って更新していく所存である。



さて今回は、たまには真面目なトピックとして”地域の魅力発信”について書いていきたい。自分もSNSやメディアでコンテンツ配信をしながら、魅力の発信についてはいろいろと考えているので、小田原の話をベースに思うところを書き連ねていこうと思う。

※念のため先に申し上げておくと、私は地域関連の専門家でなければ市の関係者でもありません。あくまでいち移住者として感じたことやインプットを元に考えたことを率直に書いているだけなので、あらかじめご了承ください。あと具体的なデータがある話でもないので、読み物程度に気軽にお楽しみください。


地域におけるマーケティングの重要性

もともと生活しながらも学びが欲しいタイプの人間なので、地域創生やまちづくりの書籍を何冊か読んでみた。


地域に身を置きながらインプットをして感じたのは、街の魅力発信にもやはりマーケティングが大切だということ。

言ってしまえば当たり前なんだけど、どうセグメントを切って、どこをターゲティングして、どんなポジショニングを取っていくべきなのか。そのために自分たちの地域が持つ強みはどこなのかを正確に把握して、共通認識をもち、一貫したプロモーションを行っていかなければうまくいかなそうだなと。単にゆるキャラを作ったり、テレビに取り上げてもらったり、一過性の話題を作ったとしても、その受け皿がなければ全て流れていってしまう。


今ある資源を活かしてみんなで良い街を作っていく。そんな当たり前のことがすごく重要ではないかと。(ただし、言うは易く行うは難し。)



期待と現実のギャップを作らない

地域と長く付き合ってもらうためには、派手なプロモーションよりも、的確に良さを表現し、適切に届けていく必要がある。もちろん認知なくしては付き合いも何もないため、大前提リーチはしていかないとだけど、ただ広げればいいってものでもない。

これはプロダクトやサービスと同様で、いくら話題になっても肝心の中身が期待を下回ったり、思っていたものと違ったりするとユーザーは離れていく。メディアに取り上げられたラーメン屋が全然美味しくなかったり、話題の本が全然期待していた内容と違ったり。ギャップはむしろがっかり感を生み、ネガティブな方向に進んでいってしまう。

それと同じ感覚で、地域も期待と現実のギャップを与えてはいけない。特に定住なんかはその地域に生活コストを毎月落としていくわけであり、それなりのフィット感が必要となる。だから自分のようにフィットする人間はめちゃくちゃハマるし、そういう人に対してピンポイントで刺しにいく。きらびやかなプロモーションだけをやっていれば良いものではない。

そのためには、適切な情報の吸い上げ・発信とその後の定着支援活動、そして移住者自身が参加していくコミュニティ的な動きが重要になってくる。これはプロダクトにおけるユーザーボイスやカスタマーサクセス、カスタマーコミュニティとかにも通ずるところがあるので、SaaS界隈にいる私にとってはイメージがつきやすかった。

また、コミュニティを運営する上で重要なのは、無理に全員をコミュニティに参加させる必要はない、ということ。参加の仕方は人それぞれで良い。ちなみに私も人見知りなので初対面は苦手。でも慣れ親しんだメンバーであれば積極的に会いにいきたい。仲間外れは嫌だ。そんな感じの距離感の人間もいるので、全部が全部お節介をすればいいわけではない。そこが絶妙で、難しいところだと思う。

人によって地域との付き合い方は違うから、居場所を作りながらもひとりひとりの活動を後押しするような仕組みがとても重要だと感じる。


"なんか良い"を言語化する

最近読んだこの記事がすごくしっくりきたので引用したい。

既存ユーザーが商品から感じている価値を言語化し、ユーザー自身が他人に推奨しやすくする手助けが非常に重要だと思います。

価値を言語化して認識できると、既存ユーザーの記憶にも残りやすいですし、商品への関与が高い商材だと他人へのブランド推奨の発生率も上がり、新規ユーザー獲得にも好影響があります。

ここでいう既存ユーザーは地域への定住者やコアなファンにも置き換えられるのではないかと。


今住んでいる人やファンの人が、地域から感じている価値を言語化する。定住した人がどうしてこの場所に住み続けようとしているのかを”正確に”把握し、発信していくそういう活動が重要になっていく。ファンの人は何に熱狂しているのかを、丁寧にヒアリングし、表現していく。それをまた同じ属性の人に届ける。

小田原市はそのあたりの取り組みも盛んに行っている。

以前のnoteでも紹介したオダワラボの移住者インタビューや動画に、私自身も多大なる影響を受けた。特に動画については、小田原のエモーショナルな側面をうまく表現できていて、新ためて素敵な動画だと思う


しかも、地域の不動産屋さんもメディアで情報発信をしていて、市だけではなくて企業も一緒に小田原を盛り上げているのを感じられる。


ところで、私が移住先を小田原に決めたのは、小田原に足を運ぶ前である。つまりオンライン上で既に戦いは決していた。

そもそも移住というくらいなので、足を運ぶのにはかなりハードルが高い。東京からのアクセスが良い小田原ですら、視察でくるには腰が重かった。同様に、多くの人は移住先の絞り込みを(一択までとはいかなくとも)オンラインで実施をしているはずである。

「来てみたらわかる」魅力は確かにその通りなのだけど、移住者の顧客インサイト的には”とりあえず来てみて”は重い。書類選考のようなものをオンラインで実施し、そこを通過して初めて「来てみたらわかる」を体験してもらえる。

そうなると、価値を言語化してWeb上に掲載することはとても重要だし、地域の人々が発信するような仕組みはとても大切になる。もちろん、無理に発信を促すのではなく、自然と発信したくなるようにしなければならない。

また、小田原で難しさを感じるには、「これがある」「あれがすごい」といったわかりやすい何かよりも、居心地の良さとか、深い情緒的な何かがあるため、言語化のハードルがめちゃくちゃ高いところだと思う。歴史もいろいろあって知れば知るほど面白いんだけど、住むと決める前から刺しにいくにはちょっと渋すぎるというか、比較の要素として上がりにくいので、なかなか悩ましいところでもある。特に若者にとっては。同じような悩みを抱える地域もたくさんあるのではないか。

だから、自然体をどんどん発信していくことと、いくつかの高解像度のクリエイティブの合わせ技で刺しにいくのが結構効果的だと思う。そしてそういった観点で、先程紹介したオダワラボと動画はめちゃくちゃ良い。

ちなみに、わたしがメディアサイトを立ち上げて発信しているのはあくまで趣味で、誰に頼まれたでもなく好きでやっているだけである。本当に生活の質が良くなったと感じているので、その生活の様子や空気感をどう伝えていくのかを考え、写真と文章で届けている。今のところはインセンティブ的なものは何もないので、良くも悪くも好き勝手に発信はできている。そのおかげで、飾ることのない小田原を発信できている。


自分たちの街はひとりひとりが作る

先日、勤めている企業の所属部署内でビジョン、ミッション、バリューの話をした。その話は同じように地域にも当てはめることができると感じた。

ビジョンは目指すべき未来、ミッションは我々の使命、バリューは我々の価値、といったものなのだけど、これらはどれも私たち自身が実践していくものである。

もし地域を変えていきたい、もっと良くしたいと考えるのであれば、その主体には住んでいる我々も含まれるし、誰かがやってくれるのを待っていても何も変わらない。何もしなければ前には進まないのである。

また、伝統などそもそも変わらないことが価値となるものもあるため、そういった意味でしっかりとビジョンを明確にして追っていかねばならない。移住者が勝手に盛り上がっていても火は消えてしまうし、誰かがやるだろうと全員が思っていたら誰もやらない。

みんなで共通の目的を追っていくからこそ、大きな力が生まれ、競争力を持っていく。これは地域も企業も同じではないかと。そして、細部まで落とし込むには明確なシンボルを提示しつづけ、少しずつ少しずつ浸透させるしかないのである。1人1人登り方は違えど、同じ山を登っていくことが、とても重要なのではないかと思う。


…と、偉そうに書いてはみたが、本当に言うのは簡単でやるのは超絶難しいと思う。小さな企業でも難易度が高いことなのに、地域でそれをやるって…想像を絶するなあと。

以上、なんとなく書き始めたら思いのほか長くなってしまったので、そろそろ締めたい。

最後に、冒頭にも申し上げた通りこのコラムはたった数ヶ月小田原に住んでいるだけの移住者が書いたものである。内容も抽象的で「じゃあ具体的には?」「そんなことは100万回考えてきたけど」と怒られそうなものではあるが、生活をしながらすごく学びもあったので、せっかくならアウトプットしようと思いキーボードを叩いている次第である。なので私自身は、やれる範囲で貢献はしていきたいなと考えている。やれる範囲で。そんな感じでゆるく頑張る。

長々とお読みいただきありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。


小木曽

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