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蹴球症候群

他分野を通してサッカーを解明し、サッカーを通して他分野を解明する
サッカー、またはサッカー以外の分野から日々何を学んでいて、何に気付いて、何に疑問をもち、どんな風に… もっと詳しく
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#ブランディング

【記録.7】世界観とチューニング

1週間をどう過ごすかより、1年間をどう過ごすか、に興味があります。もっと言うと、1年間をどう過ごすかより、3年間をどう過ごすか、に興味があります。10年間の方が、興味があります。 「1年間だって、1週間の繰り返しではないか」と捉えることもできますし、その指摘は間違っていないのですが、しかし、やはり"時間の捉え方"は、歩み方、あるいは"歩み始め方"に大きな影響を与えます。 サッカーは、1シーズン(1年)毎に強制的に区切りがつけられます。しかし、それはあくまでも他者によってつ

「サッカーのコンセプトメイクについて多分誰も気が付いていないこと」(全文公開)

いったい私は何をしているのか、が定義できないと自分でも仕事がしづらいし、協力して他者と働くことも難しいということに気付いてはいるし、たぶん、どうやら今までに誰もやったことのないことをしようとしている、あるいは何かを再定義しようとしているっぽいので、自分でつくんないといけません。 そもそも私はサッカー監督になるための勉強をしてきて、そしてそのためにサッカーというものを学んできたわけですが、ただその道中で、既存のサッカー監督像や仕事の仕方、社会での立ち位置、サッカークラブ内での

『若者のサッカーに対する興味関心を語る時の、圧倒的な勘違い』について

まず、若者の、あるいは、若者でなくとも、「サッカーへの関心」や「興味」というものは、「長い時間をかけてつくられて、長い時間をかけて失われていくものではない」と私は思うのです。そこを勘違いしてしまっては、いけないと思うのです。 そもそも「サッカー」というコンテンツは、西洋由来のもので、日本においてその存在を確かに持ち始めたのは、ここ30年の話です。Jリーグという人為的かつ戦略的に作られたコンテンツがきっかけでした。 それなのに、私たちは、どの領域に関してもサッカーを語るとき

「そうであることの必然性」について

「必然」に近づいていく感覚。自分が関わっている仕事領域や、あるいは私自身の人生においても、その「必然性」や「自然(な状態)」を一貫して求めることが私にとっての正義です。 現在仕事で行っていることを既存の名前で整理すると、(サッカーの)コーチング、ブランディング、(広義の)デザイン、組織マネジメント、執筆、などが挙げられますが、それらに共通しているのは「そうであることの必然性」を追求する作業である、ということです。

「ブランド」とはコンプレックスに向き合うことなのかもしれない

“「ブランド化する」ということは、企業にとってきわめて重要なことです。その企業の使命や価値を多くの人に知ってもらうことで、働き手は「見られている」ことを常に意識し、自分たちを高める努力を怠らず、「自分たちらしさ」をさらに追求していくようになります。こうなるとブランド価値はさらに高まる。まさに好循環を創りだすのです。これは個人も同じです。” 「ブランド」とは何か、「ブランディング(ブランド化する)」とは何か、を考えるようになって久しい。先日カメラマンの岡元くんがインタビューを

「鎌倉インターナショナルFC」のブランディング——。 これまでの整理とこれからの展望

3年前に、「ブランディング」に関する考察記事を書き、多くの方に読んでいただく機会がありました。素人ながら、ブランディングとは何か、一体世界では何が起きているのか、なぜサッカーにはその要素が必要なのかをまとめたところ、非常に多くの反響がありました。 あれから数年後、筆者は、社会人神奈川県サッカー2部リーグに所属する、創設4年目、鎌倉に拠点を置くサッカークラブ「鎌倉インターナショナルFC」のブランディングを統括しています。 今年1月、私たちのクラブはリブランディングを行い、新

Instagramで保存しているサッカー(スポーツ)のイケてるクリエイティブ集〜今の傾向を探る〜

自分のInstagramで保存しているサッカー(スポーツ)のイケてるクリエイティブをひたすら貼ってみて、その傾向を考えてみる機会にする。

【Vol.2】サッカークラブのロゴ製作プロセスの裏側:『4つの要素』

前回は、「丸いロゴにする」と決めてスタートした理由について主に書きました。実際に出来上がったロゴを改めて見てみます。 僕(デザインの素人)が持っていたイメージは前述した通り「丸い」もので、中にモチーフがあり、タイプロゴが入っていて、あらゆるシーンに対応できる、というくらいのものでしたが、作り始めて何往復かしていると、デザイナーからそれを逸脱したデザインが出てきました。それが、上の完成版の叩き台となるものでした。 タイプロゴが外側にあって、サークル全体がモチーフになっている

【Vol.1】サッカークラブのロゴ製作プロセスの裏側:『なぜロゴは丸いのか?』

今シーズンから監督兼CBOを務める鎌倉インターナショナルFCの「ロゴ」及び「ビジョン」をリニューアルしました。去年の2-3月頃から準備を始めた記憶があるので、先日のリリースまで約1年くらい時間をかけたことになります。このロゴやビジョン製作に関しては、クラブのブランディング責任者を務める立場として様々な意味を持ちます。またクラブを「リ」ブランディングするための大きな一歩であり、また最も重要な作業であると言えます。 もちろん私は素人なので、この1年リブランディングの準備を進めて

もしも「経済を止めることができる世界」だったとしたら、サッカーは生き残れるのか。

【後編】サッカーカルチャーのブランド・コミュニティをつくりたい人へ

前回は以下の要点を、その理由と合わせて整理しました。 1.日本ではなく海外をターゲットに発信する 2.サッカー業界に居ない人と組む 今回は前編の続きです。前編の最後「2.サッカー業界に居ない人と組む」というポイントをあげた理由に「経済的理由」と書きました。それはなぜなのか、説明することから入っていきたいと思います。 ・・・ ✔️サッカー業界に居ない人と組む 理由2:経済的理由

【前編】サッカーカルチャーのブランド・コミュニティをつくりたい人へ

先日公開されたnew balanceのドキュメンタリーに、92 F.C.のFounderとして出演しました。その中で『日本でサッカーが発展していくためには、僕よりも若い世代の人たちがカルチャーをつくっていくことが重要だと思っています』と話しました。 92 F.C.を立ち上げた時はまだ20代前半のときで、日本にサッカーをコンテンツにした「ユースカルチャー」がないことに違和感を覚え、日本においてサッカーがいまいち存在感を示せないのは、そのせいもあるのではないかと思い自分で始

新しいサッカークラブのブランディング戦略論

1:サッカーに特化したブランディングの体系化 2:サッカーにおいて「ビジュアルがどのように他要素と関係し影響を与え合っているか」の実験・証明 3:仮説の検証 以上が、主に私が「ブランディング」という文脈で言葉を発する、または何か行動を取る際に前提として持っている、3つの「意味」です。 なぜサッカー監督として生きてゆく私が、いま「ブランディング」という視点で物事を進めていかなければならないのか。それを考えると、この3つの「意味」がピッチ上での「勝利」はもとより、あらゆる「価

ナポレオンはなぜ人々に美しく記憶されているのか?

昨日stand.fmで『なぜ「あたかも凄そうに見せる」必要があるのか』というテーマで話をしました。凄そうに見せるのには、必要性および理由があるという話です。自分がそのためにしてきたことなども触れているので、ぜひまだの方はこの記事を読む前に聞いて頂ければと思います。 SNS時代には、何をするにもついてまわるテーマだと思うので、もう少し深掘りをしていきます。 ・・・ ナポレオンと聞いて、この有名な絵画『ベルナール峠からアルプスを越えるボナパルト』を思い浮かべる人は多いと思い