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【前編】サッカーカルチャーのブランド・コミュニティをつくりたい人へ

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先日公開されたnew balanceのドキュメンタリーに、92 F.C.のFounderとして出演しました。その中で『日本でサッカーが発展していくためには、僕よりも若い世代の人たちがカルチャーをつくっていくことが重要だと思っています』と話しました。

92 F.C.を立ち上げた時はまだ20代前半のときで、日本にサッカーをコンテンツにした「ユースカルチャー」がないことに違和感を覚え、日本においてサッカーがいまいち存在感を示せないのは、そのせいもあるのではないかと思い自分で始めることにしました。ただ、僕もすでに28歳を間近に「ユースカルチャーをつくっている」とは言えない年齢になってきました…ので、僕らよりも若くて、新しい価値観のある人たちが「サッカーで遊んでくれたらいいな」と、常々思っています。

サッカーをコンテンツとして、ファッションや音楽、アート、その他クリエイティブな表現を通して「カルチャー」をつくっていくには、「コミュニティ」や「ブランド」を作るのが最も適切な方法だと思います。

92 F.C.では、これまであらゆるブランドやメディアからコラボレーションのオファーを受けました。海外のメディアでもSOCCER BIBLEの誌面で特集されるなど、多くのサッカーメディアと交流をもっています。それらの経験から「どうしてそういうことが起きたのか」「どういう狙いをもってきたのか」という視点で、これからサッカーカルチャーのコミュニティやブランドをつくっていきたいと考えている同志に向けて、要点を整理していきたいと思います。

僕自身、また一緒にやっている仲間たちは、本業で92 F.C.をやっているわけでも、収益を上げているわけでも、お金を使っているわけでもないので、人生のうちかけているリソースはないに等しいですが、それでもこれくらいのものならつくっていけると思います。ぜひ参考にしてみてください。


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✔️日本ではなく海外をターゲットに発信する

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これは全ての話に入っていく前の、大前提です。

理由1:コミュニティをコミュニティに属させるため

日本には、現状サッカーをツールにしたカルチャー系のコミュニティがほぼありません。コミュニティを築く上で重要なのは「このコミュニティはどこのコミュニティに属すか?」を設定することだと思っているのですが、世界にひとつしかコミュティがなかったら、コミュニティというものはそもそも価値を持てません。コミュニティ(ミクロ)はコミュニティ(マクロ)に属しているのです。

そういう意味で、海外にあるサッカーカルチャーのコミュニティに向けて”はじめから”発信をしていくべきです。「僕は/私は海外で目立ちたいわけではないから…」と思う気持ちはわかりますが、そうではなく、海外へ向けて発信しなければ、日本でもコミュニティを確立できません。日本から日本に向けて発信をしたところで、内輪の盛り上がりで終わってしまいます。

昨今は、アジア、南米、ヨーロッパ、アフリカ問わず、世界中にサッカーカルチャーに敏感なコミュニティがあります。男性女性問わずです。そして重要なのは、それをまとめる役割をしている「メディア」の存在です。日本にはほぼありませんが、海外には競技面に一切触れないサッカーメディアが多く存在しています。サッカーのカルチャーや、ライフスタイルを主に扱います。本来人間がもっている様々なセンスを、「トレンド感」としてまとめるのがメディアの役割なので、そういった海外のメディアを研究するのが手っ取り早いです。

海外に向けて発信(=海外のコミュニティに入っていく)ために必要なことは、後ほど様々な点で詳しく触れますが、①英語で発信する(めちゃくちゃ簡単な英語で大丈夫です)こと、そして②サッカーカルチャーのルールを把握することです。


理由2:ブルーオーシャンだから

海外のサッカーカルチャーのコミュニティは、日本にも同じようなコミュティの存在を求めています。これは、間違いありません。東京や日本というのは、自分たちが思っている以上にブランドとしての価値があります。「海外でやってることを日本でやる」というだけで差別化になりますので、海外からのアテンションは集められます。

そういった意味で、自分が92 F.C.を立ち上げた時は「海外メディアやコミュニティ、ブランドからコラボのオファーがある」という点に関しては確信していました。この状況は、良くも悪くも現在も続いていると思います。


✔️サッカー業界に居ない人と組む

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理由1:センス

サッカーの中で働く人だけでコミュニティをつくろうと思えば、かならず失敗します。なぜならセンスがないからです。自分もそれを自覚していたので、ファッション業界やそのほかクリエイティブな仕事をするようなひと、もしくはそこに感覚がある友人に相談することからはじめました。

これは、こういったコミュニティの話に限ったことではなく、サッカーのクラブでもなんでも、同じことが言えます。日本のサッカーの中にセンスのある人はいないと思ってください。もちろんいるかもしれませんが、基本的にはいないと思いっていた方が戦略が立てやすいです。日本のスポーツ界はセンスがないということを、まず自覚することが大前提だと思います。

ただし重要な点としては、必ずこちら側(サッカーの人)がディレクションをする、という点です。“サッカーの感覚”のようなものが、サッカーカルチャーたるものをつくるからです。カッコいいという感覚が、サッカー的でないといけません。そこのバランス感覚を身に付けるために

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