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祖母が死んだ

祖母が死んだ
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日がな1日、ぼくは雲を眺める。
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雲は薄くピンクと青が混ざっていて、ないところはどこまでも深淵に落ちていく。
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クッツェーを読んだり読まなかったり。ほとんど読んでない。
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時間は戻らないし、進まなくて
ただ存在しているように肌で感じる。
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母方の祖母は認知症になって、大学生のころの話を繰り返す。
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彼女たちの時間を想うと
それは細長い箱みたいな形をしている。
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ぼくが認識する彼女たちの時間。
その長さと密度を想うとふわふわして意識が遠のく。
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それがどんな形であれ、
人と時間を共有するというのは軽々しくない。

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