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【史上最高の直木賞】東野圭吾『容疑者Xの献身』を完全要約(※ネタバレあり)【PART2】

▼YouTubeでは要約動画を公開


◆容疑者Xの真相 PART2


◇パート1の要点


こんばんは!Kazukiです!
それでは今週もさっそく投稿の内容に入っていきましょう!


今月は、
2008年8月10日に文藝春秋さんから発行されました、
東野圭吾(ひがしの・けいご)先生の、

『容疑者Xの献身』の完全要約をお届けしておりまして、

前回のパート1の投稿では、、、



  • 紹介書籍概要およびその選出理由

  • このシリーズの投稿内容とその目的

  • 『容疑者Xの献身』の完全要約【第一部】


についてお届けしてきました。


なので、
今回の投稿ではその続きになります、

『容疑者Xの献身』の完全要約【第二部】

の内容をお届けしていきますので、

もし、先にあげたパート1の投稿の内容の中に、
なにか気になる内容がございましたら、
その方たちはぜひパート1の投稿をご覧いただければと思います。


◇前回までのあらすじ


とはいえですね!

これでいきなり、
『容疑者Xの献身』【第二部】の要約に入っても、

パート1でお届けした【第一部】の内容が、
少し薄くなってしまっているかもしれませんので、

まずは最初に、
【第一部】のあらすじを振り返っていこうと思います。


▼それがこちらになります▼


江東区の私立高校に勤務する数学教師の石神哲哉(いしがみ・てつや)は、
高校近くの弁当屋『べんてん亭』に毎朝弁当を買いに行っており、

その目的は、そこの従業員であり、超が付くほどの美貌の持ち主である、
花岡靖子(はなおか・やすこ)の笑顔を見るためだった。

一方、離婚した後もしつこく復縁を迫ってくる、
元夫の富樫慎二(とがし・しんじ)に居場所を突き止められてしまった靖子は、

勤務後に落ち合ったファミレスでキッパリと復縁を拒絶するも、
その日の夜、富樫が自宅アパートにまでやってきてしまう事態に発展する。

その事態に一番業を煮やしたのは、靖子の娘の美里(みさと)であり、
富樫がアパートを去る間際、後頭部を銅製の花瓶で殴り付けたことをきっかけに、

あろうことかそのまま母娘が共謀して富樫を殺害してしまう。

人を殺してしまった事実に茫然自失の二人だったが、
その異常事態に聞き耳を立てていた隣人の石神は、

「自首をしない方法」という無理難題を求める、
憐憫な母娘の二人に向かって、

「難しいね。でも、不可能じゃない」と無表情で告げていく。



◇『容疑者Xの献身』第二部


そうして、場面は変わりまして、

場所は下水処理場近くの旧江戸川の堤防。


ジョギングをしていた老人からの通報によって、

一糸纏わぬ姿で顔面を潰され指紋を焼かれた、
首に絞殺痕を持つ男性の死体が発見されます。


警視庁捜査一課所属の警部補、

草薙俊平(くさなぎ・しゅんぺい)は、

同じ班で後輩の岸谷(きしたに)に電話で呼び出された後、
彼の口から聞かされた先の死体の状況を耳にすると顔を顰めます。


その顔を顰めた理由には、
もちろん、先にも伝えたとおり、

「死体の状態が大変惨たらしいものであるから」

という理由もありましたが、それとは別に、

「身元不明死体であるから」

という理由からも草薙は顔を顰めていました。


したがって、草薙は、

死体の側に放置されて両輪がパンクされた新しい自転車が、
被害者のものであり、身元が判明されることを祈りますが、

江戸川署の刑事課部屋で体を温めていた草薙らの班の長である、
間宮慎太郎(まみや・しんたろう)係長から告げられたのは、


「江戸川区篠崎に住む山辺曜子(やまべ・ようこ)の盗難自転車である」


というその祈りが全く通じていない残念な報告でした。


また、この自転車以外の遺留品としては、
現場から約百メートル離れたところで発見された、

一斗缶の中で燃え残っていて、
被害者のものと思われる衣類がありました、

が、、、

その衣類は廉価品で、
市場へ大量に出回っていたものなので、

販売元から辿るということも不可能でした。


その後も、ニュースでの報道や、
犯人のイラストを用いた篠崎駅周辺の聞き込み等を、
警視庁捜査一課および江戸川署は続けていきますが、

残された手掛かりの少なさから、
なんの進展も見られないと思われた、

三月十一日の未明。


亀戸にあるレンタルルーム『扇屋』の一室から、

一人の男性客の音信が不通になっていることが判明しまして、

その部屋にあった毛髪や指紋等と死体のものを照合すると、、、


完全に一致します。


そして、その消えた客は宿帳に、


「富樫慎二」


との名前を残していました。



捜査一課および江戸川署の面々は、
すぐさまこの「富樫慎二」について調べ始めますと、

彼の住民票は宿帳に記されている「新宿区西新宿」にあることや、
以前は高級外車のセールスマンをしていて横領でクビになったこと、

さらには、結婚歴をもつことまでが判明しまして、

その相手の女性の名前は、


「花岡靖子」


という人物であることまで判明します。


なので、草薙は部下の岸谷と共に、
その花岡靖子が住む江東区森下に向かい、

彼女が住まうアパートに到着して、
二〇四号室の彼女の部屋を訪れると、

チェーンのかけられたドアの奥から、
花岡靖子は怪訝そうに顔を覗かせました。


草薙らは事件の経緯を口早に彼女に説明すると、

「えっ」という口の形をしたまま固まる花岡靖子。


さらに間髪入れずに草薙は、司法解剖の結果、

富樫慎二が殺害されたと思われる、
三月十日のアリバイを彼女に尋ねていきます。


アリバイを尋ねられた花岡靖子は、
その意味にもちろん不快感を露わにしますが、

渋々といった様子で、
その日の予定を口にしていきまして、

三月十日の花岡靖子は、

朝から夕方まで『べんてん亭』で仕事をした後、
午後六時半頃に錦糸町の楽天地へ娘と一緒に映画を観に行き、
観賞後は同ビルのラーメン屋で食事を済ませると、
その後、娘の要望で一時間半カラオケを楽しんでおり、

さらに、帰宅したのは夜の十一時を過ぎていたとのことでした。


つまり、それは、


彼女に富樫慎二の殺害は不可能である、


ということを意味しているアリバイでした。


こうして、草薙は彼女から一通り事情聴取を終えると、
彼女のアリバイになにか釈然としないものを感じつつ、

それがただの自分の勘でしかないことも自覚しておりまして、

ひとまず彼女に礼を伝えて部屋を後にします。


そうして、草薙らはそのアパートも後にした、


のではなくて、


花岡靖子への事情聴取の際に、
ちょうど隣の部屋の住人が帰宅するところを目にしていたので、

草薙らは二〇四号室の隣の二〇三号室、

表札に「石神」と記された部屋のドアホンを鳴らすことにします。


すると中から、
セーターにスラックスという出立ちの、
無表情の男性が出てきまして、

草薙と岸谷の顔を交互に眺めてきました。


草薙はこちらも間髪入れずに、
警察であることを説明した後、

中古車販売店で働いていた頃の、
「富樫慎二」の写真を見せて、
知っているかどうかを尋ねますが、

「知らない人ですね」

『容疑者Xの献身』p76

と一蹴。

草薙は「脈なしだな」と思いつつも、

三月十日、隣の部屋の花岡親子に、
何か変わったことがなかったかどうかも尋ねますが、

「よく覚えてませんが、特に変わったことはなかったと思いますよ」

『容疑者Xの献身』p78

と歯牙にも掛からない様子でした。


内心、肩を落とさずにはいられない草薙でしたが、
捜査にご協力いただいた礼を告げて部屋を後にしようとした、


その時です。


彼の手元にある郵便物の文字を、
チラリと見た瞬間、

草薙は目を見張ります。


なぜなら、自身の出身大学でもあり、
また、あの天才物理学者が在籍をしている、


「帝都大学」


の文字がそこには記されてあったからです。



「イシガミ……」

『容疑者Xの献身』p94


草薙は旧江戸川の堤防で起きた死体遺棄事件の概要と、

その容疑者として名前が上がっている花岡靖子という人物の隣人に、
「石神」という名前の帝都大卒の男性数学教師がいたことを、

帝都大学理工学部物理学科第十三研究室に所属している、
准教授でもあり、また、友人でもある、

湯川学(ゆかわ・まなぶ)に伝えると、

彼はそう呟きました。


続けて彼は隣の部屋に消えたかと思えば、戻ってきたその手には、
黒い表紙で『第三十八期修士課程修了生』と印字されたファイルが握られてあり、

そのファイルの”あるページ”を開き、
「この男じゃなかったか?」と写真を指差し尋ねられたので、

「そうだな。今はこの頃よりもっと髪が薄いから、すぐにはわからなかったけど、たしかにあの教師だ。知ってる先輩か」

『容疑者Xの献身』p95

と草薙が応えると、湯川に「同期だ」と一蹴されてしまいます。


続けて湯川は、その同期である石神に、
想いを馳せたかのような顔を覗かせたかと思えば、

次のように彼を評価しました。

天才なんて言葉を迂闊には使いたくないけど、彼には相応しかったんじゃないかな。五十年か百年に一人の逸材といった教授もいたそうだ。

『容疑者Xの献身』p96


その湯川の言葉を聞いた草薙は、

上には上がいるものなのだな

『容疑者Xの献身』p96

と湯川を眺め、密かにそう思いつつも、

やはり、今、目の前にいる人物も、
その彼の言う「天才」だと疑わずにはいられませんでした。


そもそもですが、

草薙らはなぜこの帝都大学の研究室にいるのかというと、

先にも述べたとおり、花岡靖子の事情聴取を終えた後、
そのアリバイを上司の間宮に報告すると、その上司からは一言だけ。

「花岡靖子のアリバイの裏は取ったのか」

『容疑者Xの献身』p85

と叱責される始末でして、

草薙らは、
カラオケボックスでの花岡親子の裏は取れたのですが、

映画やラーメン屋での裏は全く取れておらず、

難航する捜査に光明を見出せないかと思い、
これまでに幾つもの難事件を解決した友人に、
雑談混じりにこの事件の概要を聞かせて、


「なにか糸口が掴めないか……」


という藁にもすがる思いを若干抱いていたんですね。


すると、先の石神の話題に触れる前、湯川は、
事件の概要と花岡靖子のアリバイを一通り耳にした後、一言。

「チケットの半券は?」

『容疑者Xの献身』p92

という鋭い指摘を草薙の目論見通り浴びせてきます。


それに対して草薙は、

映画のパンフレットから映画の半券が出てきた事実を明かすと、

目の前の物理学者は、

口元に笑みを浮かべて、その口を開きました。


「しっかりな、刑事さん。その容疑者が真犯人なら、ちょっと苦労するかもしれんが」

『容疑者Xの献身』p93


それに対して草薙は「どういう意味だ」と、
その言葉の真意を探る問いを投げかけると、

彼は口元に浮かべた笑みを消して、こう口を開きます。


「今もいっただろ。ふつうの人間なら、アリバイ工作に用意した半券の保管場所にまで気を配らない。刑事が来た時のことを考えてパンフレットに挟んでおいたのだとしたら、相当な強敵だぞ」

『容疑者Xの献身』p93-94



富樫を殺して、
その死体を処理したあの日から、

石神と靖子は、
対面で近況を共有することは決してせずに、

その情報交換の場は、

アパートから十分ほど歩いたところにある、
人目につかない公衆電話から掛けられる電話で設けられていました。


その日もいつものように石神は、
靖子が帰宅したタイミングを見計らって、

公衆電話に向かい、受話器を上げ、
テレホンカードを差し込み、彼女に電話をかけると、

「はい、あたしです」

『容疑者Xの献身』p100

と、石神からの電話だということを、
予期していた口調で靖子が電話に出ます。


そのことに石神は密かな嬉しさを覚えつつ、
今日も何か変わったことがなかったかを靖子に尋ねると、

彼女は、

『べんてん亭』に刑事が来たこと、

そして、

富樫が『べんてん亭』に来たかどうか、

また、

靖子が以前働いていた錦糸町のクラブ、
『まりあん』とのやりとりは続いているのかどうか、

という内容を刑事たちに尋ねられたと告げます。


しかも、その刑事の捜査の手は、
靖子だけに留まらず、

その娘の美里にまで及んでいたようでして、

その日の学校の帰り、
美里は刑事たちに呼び止められてしまい、

美里は母親と観た映画館の日にちを、
しつこく十日かどうかを尋ねられた末に、

友達のミカちゃんに映画のことは話した、

ことを明かします。


「どうでしょうか」

『容疑者Xの献身』p103

と、石神の助けを求める靖子。


しかし、それらの刑事の行動は、
全て石神の想定の範囲内でして、

石神は声に力を込めて、

「問題ありません」

『容疑者Xの献身』p103

と、靖子を安心させるよう努めます。


そうして、
その日も花岡親子との情報交換を終えて、

靖子と話した内容を頭の中で反芻しながら、
自宅アパートへの帰路に着いた石神でしたが、

アパートに着き、
ふと自身の部屋の場所を見上げると、

そこには黒い薄手のコートを着た男が立っており、

石神は一瞬「刑事か?」と訝しみますが、
自身が近づいた足音で振り返った男の笑みを見て、

石神は口を開きます。


「湯川学か」

『容疑者Xの献身』p105



「へえ、相変わらずだな」

『容疑者Xの献身』p110

石神の部屋に入った湯川は、
書棚に並べられた膨大な資料を見上げてそう呟きました。


二十年来の旧友との再開を果たした石神は、
湯川が有名な日本酒を持ってきてくれた好意に応え、

寿司屋に刺身と寿司の盛り合わせを出前で頼み、

その旧友との話に花を咲かせていきます。


そこで、石神は自身の現在の仕事のことだったり、
研究者になれなかったのは両親の持病が原因だったり、

湯川の知らないであろう、

自身の今現在に至るまでの境遇を打ち明けていきました。


すると、湯川は不意に、

「そうだ、大事なことを忘れていた」

『容疑者Xの献身』p116

と、言い出したかと思えば、

手にしていた紙袋の中から、
大判の茶封筒を石神に差し出します。


それを受け取った石神は中身を見るなり、

「リーマン予想の反証を試みているわけか」

『容疑者Xの献身』p116

と、一目でその内容を悟ります。


この「リーマン予想」とは、

十九世紀のドイツの数学者である、
ベルンハルト・リーマンによって立てられた仮説が、
正しいことを証明するという実在する難問でして、

現在の数学界で最も有名だといわれている難問のひとつになります。

現に、アメリカのマサチューセッツ州にあるクレイ数学研究所では、
このリーマン予想を解決した人に一億円の賞金を用意しているほど、
難問中の難問であることが保証されているものになるんですね。


しかし、湯川が石神に差し出してきたのはその「反証」。


つまり、リーマン予想が正しくないことを証明する論文でした。


しかも、あの湯川が、

「いいセンまでいっているようには思う」

という一言をその論文に付け足したため、

石神はその差し出された反証を、
確かめずにはいられませんでした。


気が付けば会話などそっちのけで、
ボールペンを手に持ち、机に向かっていた石神。


そして、突然立ち上がった石神は、

来た時に身に付けていたコートを掛け布団にして、
背中を丸めて寝ていた湯川の肩を揺すり起こすと、

「わかったんだよ。残念ながら、この反証には間違いがある。面白い試みだが、素数の分布について根本的な誤りがあってーー」

『容疑者Xの献身』p119

と、目覚めたばかりの湯川に対して捲し立てますが、

湯川は息巻く石神を制して、

「相変わらずだな。安心したよ」

『容疑者Xの献身』p121

と、すでに白み始めていた窓の外を覗きながら呟きます。


時間を忘れて問題に没頭していた石神は、
その湯川の視線で夜が明けそうになっていることを把握するという集中ぶりで、

久々に味わった精神的充足感に興奮が冷めやらない石神でしたが、

その日も仕事があるため二時間だけ仮眠をとることにします。


そうして、目を覚まし、
出勤の準備を整えた石神は、

湯川を連れ立って、
いつもの出勤コースをたどり、

勤務先の高校へと向かいまして、

その道程、いつものように、
横目でホームレスを観察していた石神。

六十歳以上の男性ホームレス、
今日も缶を潰している『缶男』、

彼らを見て石神が、

「この一か月間、何も変わっちゃいない。彼等は時計のように正確に生きている」

『容疑者Xの献身』p122

と湯川に告げると、彼はそれを受けて、

「人間は時計から解放されるとかえってそうなる」

『容疑者Xの献身』p122

と応えました。


そして、清洲橋の手前の階段を二人は上がると、
すぐそばのオフィスビルのガラスドアに映った自分たちの姿を見て、

石神は湯川にこう告げます。


「それにしても湯川はいつまでも若々しいな。俺なんかとは大違いだ。髪もどっさりあるし」

『容疑者Xの献身』p123


しかし、湯川は湯川で、
それに自嘲するような声をあげると、

二人の天才は握手を交わして、

名残惜しさを一切感じさせない足取りでその場を後にしました。



その日の午後六時。

『べんてん亭』の客足が途絶えてしばらくした頃、
靖子は思わぬ訪客との邂逅を果たしまして、

その人物とは、

小さな印刷会社を経営している、
工藤邦明(くどう・くにあき)という男性でした。


彼は靖子が赤坂で働いていた頃からの馴染み客でして、
富樫に付き纏われた件で錦糸町のクラブ『まりあん』に移った後も、

非常に懇意にしてくれていた常連でしたが、

そこからさらに今現在の『べんてん亭』に靖子が移ってからは、
全く顔を合わせることがなかったので、

靖子はなぜこのタイミングで彼が現れたのかやや訝しみます。


しかし、靖子はその訝しみを胸の内に隠して、
側から見ればその邂逅を喜んでいるように見えたので、

店長からは「二人でお茶でも飲んでくれば」と促されてしまい、
また自身の退勤時間も近づいていたため、

新大橋通りの小さな喫茶店で靖子は工藤の真意を探ることにします。


けれど、判明したのは、

彼はニュースで富樫が死んだことを知り、
靖子のことがただただ心配で様子を見に来た、

という、殊勝な想いを抱いていたことだけでした。


靖子は自分が彼に猜疑心を抱いていたことを内心恥じ、
昔と変わらない他人への配慮を持つ工藤の近況に耳を傾けていきまして、

お互い一通り近況を話し終えた所で切り上げて、
喫茶店のドアを開けると、

アスファルトには弱くない水滴が打ちつけていました。


折り畳み傘を持っていた靖子は、
そのまま歩いて帰ろうと思っていましたが、

気が付いた時には、
工藤が歩道に出てタクシーを捕まえてしまっていたので、

アパートの近くまでタクシーで送ってもらうことになる靖子。


さらに、工藤からタクシーの車内で、

「今度はゆっくり食事をしないか」

『容疑者Xの献身』p136

と、誘われた靖子は、

タクシーがアパートに到着して、
工藤にエスコートされ、タクシーを降りた後、

「じゃ、また今度」

『容疑者Xの献身』p137

と、工藤と向かい合って返事をしましたが、

その工藤の目は、なぜか靖子の後ろに焦点を合わせています。


靖子はその工藤の目線に促されるように後ろを振り返ると、

そこに立っていたのは、

アパートの階段の下で傘をさしてこちらを伺っていた石神の姿でした。


〈パート3へ続く〉

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