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【史上最高の直木賞】東野圭吾『容疑者Xの献身』を完全要約(※ネタバレあり)【PART1】

▼7/2(火) 20時プレミア公開


◆容疑者Xの真相 PART1


◇紹介書籍


こんばんは!Kazukiです!
それでは今月もさっそく投稿の内容に入っていきましょう!
今月から来月にかけて紹介していく書籍たちは、、、

コチラになります!!


2008年8月10日に文藝春秋さんから発行されました、
東野圭吾(ひがしの・けいご)先生の『容疑者Xの献身』と、

2024年2月29日に光文社さんから発行されました、
山本圭(やまもと・けい)先生の『嫉妬論』になります!

今月の17日(水)に第171回「直木賞」が発表されますが、
私たちは過去の受賞作を用いて先取りで直木賞を楽しんでいきましょう!


◇紹介書籍概要


また今シリーズの紹介書籍たちの概要につきましては、
いつもと同じように下記の方に詳細は載せておきますので、
もし紹介書籍の概要が気になった方がいましたら、
そちらの方たちはぜひ下記の方をご覧いただければと思います!


タイトル『容疑者Xの献身』
著者 東野圭吾(ひがしの・けいご)
発行日 2008年8月10日 第一刷
価格 692円税込
発行者 村上和宏
発行所 株式会社文藝春秋
印刷 凸版印刷
製本 加藤製本
単行本 2005年8月 文藝春秋
初出 「オール讀物」2003年6月号〜2004年6月号
          2004年8月号〜2005年1月号(「容疑者X」を改題)

『容疑者Xの献身』奥付及び裏カバーから引用

タイトル『嫉妬論』
著者 山本圭(やまもと・けい)
発行日 2024年2月29日 初版第1刷発行
価格 946円税込
発行者 三宅貴久
装幀 アラン・チャン
印刷所 堀内印刷
製本所 国宝社
発行所 株式会社光文社

『嫉妬論』奥付及び裏カバーから引用


◇紹介書籍選出理由


そして、今シリーズの投稿に、
東野圭吾先生の『容疑者Xの献身』と
山本圭先生の『嫉妬論』を選んだ理由になりますが、
それがコチラになります!




第6回本格ミステリ大賞、第134回直木三十五賞のほか、
国内の主要ミステリランキングを席捲し、5冠を達成した後、
日本人として史上二人目となるエドガー賞にノミネートされるなど、

誰しもが疑わない大傑作である
本作『容疑者Xの献身』を改めて読んでみたら、、、

そりゃあもちろん、、、大傑作。


、、、だったのだが!!!

今年の二月に光文社さんから発行されました、
山本圭先生の『嫉妬論』という新書を用いて、
本作『容疑者Xの献身』を読み解いてみたら、、、

実に面白い考察をすることができる!!!




と判明しちゃったからになるんですね〜!
これは非常に面白い考察を見つけてしまいました、、、笑


今月紹介していく書籍の1冊目であります、
東野圭吾先生の『容疑者Xの献身』は、
先に紹介した受賞歴をご覧いただいたらわかるとおり、

それはまぁとんでもない小説でして。。。


他にも、
この投稿をご覧いただいている皆さんなら
ご存知かと思いますが、

2008年には、
日本で福山雅治さんが主演を務める『ガリレオ』シリーズの
劇場版という形で本作が映画化されておりまして、


そして、これは調べているうちに知ったんですけど、

2012年には韓国で、
2017年には中国で、
2023年にはインドで、

それぞれ映画化されているという、、、


もう、、、本当に、、、本当に、、、


空前絶後の大ヒットをした名作なんですね。


だが、しかしです。

あろうことか私自身。

過去に本作をキチンと読んだことがなかったものでして。。。


最新作の小説や新書等が落ち着いてきたのを見計らって、
先々月ぐらいですかね? 
ようやく本作を読むことができました。


結論。


もちろん、大傑作です。笑

なんにも言う事なしの百二十点満点の大傑作でした。


やっぱり湯川学の名推理は半端じゃあないですし、
そのほかのキャラクターも非常にキャラが立ってるし、

そして、肝心のミステリーは度肝を抜かれる結末ですし、、、

周知の事実ですが、

東野圭吾先生の凄まじさをこの目で改めて味わえました。



、、、



、、、なんですが、
実はですね、先にも述べたように、
今年、光文社さんから発行された、

ある書籍を読みまして。

それが、
山本圭(やまもと・けい)先生という、
現在、立命館大学法学部で准教授をされている方の書籍で、

立命館大学から引用


そのタイトルが『嫉妬論』という、


もうそのタイトルからわかるとおり、
「嫉妬」について解剖されている書籍なんです。


で、本書を読んだ時に
あることに気がつきまして、


それが、、、


『容疑者Xの献身』って、
「嫉妬」にまつわる描写がめっちゃある、、、


というものだったんです。

詳しいその描写につきましては、
後の本編での完全要約に譲りますが、

本作『容疑者Xの献身』をすでに
小説でも映画でもご覧になった方ならわかると思いますが、

確かに、本編内では
「嫉妬」にまつわる描写がいくつも登場しますし、

あろうことか!

東野先生は、その「嫉妬」を、

自身のトリックに落とし込まれているんですね!


で、しかもです!

なんと話はそこで終わらず、
この山本圭先生の『嫉妬論』を用いて、
東野圭吾先生の『容疑者Xの献身』を読み解いていくと、

小説、映画、
両方のラストシーンで見た人の心を揺さぶった、
天才数学者・石神の、

あの咆哮の真相を解明することができてしまうんです。。。


そして、
その真相から通して得られる興奮というのを、
ぜひ読者の皆様とも味わいたいと思いまして、

今月の投稿には、

東野圭吾先生の『容疑者Xの献身』と
山本圭先生の『嫉妬論』を選びました!


◇今月の投稿内容とその目的


そして、
今月の投稿の内容につきましては、




本日のパート1からパート4にかけて、
東野圭吾先生の『容疑者Xの献身』の
完全要約をお届けしていきまして、

また来月のパート5からパート7にかけて、
山本圭先生の『嫉妬論』の
徹底解説をお届けしていきまして、

そして、最後のパート8で、
東野圭吾先生の『容疑者Xの献身』と
山本圭先生の『嫉妬論』の2冊を用いて、
ある考察に取り組んでいきます!




なので、
今月のこの【容疑者Xの真相】のシリーズの投稿を、
パート1からパート8まで全部ご覧くださった暁には、、、




史上最高の直木賞受賞作とも名高い名作
『容疑者Xの献身』を一緒に堪能することができて、

また、この世の中に蔓延る「嫉妬」の正体を
隅から隅まで解剖した新書を一緒に堪能することができて、

そして、『容疑者Xの献身』を傑作たらしめるラストシーン
天才数学者・石神の咆哮の真相を理解することができる!




という、
そんなシリーズの投稿になっていれば
幸いだと思っております!


なお、これはあらかじめお伝えしておきますが、、、

このシリーズの投稿は、
本作『容疑者Xの献身』の完全要約を
目的としていることから、

ネタバレを完全に含んでおります。

なので、
もし、ネタバレダメ絶対!という方は、
ソッとこの投稿を閉じていただきまして、

一方で、
本作「容疑者Xの献身」を
「私のKazuki調で楽しみたい!」という方は、
引き続きこの投稿をご覧いただければと思います。


それでは一緒に、
史上最高の直木賞受賞作とも名高い名作
『容疑者Xの献身』を一緒に堪能する読書の旅へ
出かけていきましょう!


◇『容疑者Xの献身』第一部


それではようやく
本作『容疑者Xの献身』の内容へと入っていきますが、

本作の冒頭は、

まだ寒さの残る三月九日の朝
隅田川沿いをあるひとりの男性が
マフラーに顔を埋めながら歩いている

という描写から始まります。


その男性の名前は、

石神哲哉(いしがみ・てつや)と言い、

彼は帝都大学理工学部の数学科を卒業した後、
同大学の大学院修士課程を修了して、
現在は江東区の私立高校で数学教師を務めていました。


なので、今し方紹介した冒頭の描写というのは、
その高校へ彼が通勤していることを表す描写であり、

また彼は歩きながら、毎朝の日課になっている、

隅田川沿いの高架下で生活する
ホームレスたちの観察を横目で行っていました。


そのホームレスの中には、

堤防の手すりにもたれ歯を磨いている六十歳以上だと思われる男性や、

ねぐらのそばに大量の潰れた空き缶があることから
石神が心の中で『缶男』と呼んでいる男性、

また、薄汚れた灰色のコートの下はジャケットにワイシャツ姿で、
先のホームレスたちから離れたベンチに座る新参者の男性『技師』など、

様々な境遇を推察することのできるホームレスたちがおり、

その彼らの朝の日課を観察し、
また、彼らの境遇に想いを馳せ、
推察するのが石神の日課でした。


そうして、
隅田川沿いを歩いていく石神でしたが、

清洲橋の手前で階段を登ると、
高校とは逆方向にある

『べんてん亭』という小さな弁当屋に入ります。


石神が店の戸を開けるなり、
白い帽子を被った従業員の

花岡靖子(はなおか・やすこ)が、

石神に向かって、

「いらっしゃいませ。おはようございます」

『容疑者Xの献身』p9

と、溌剌とした声で石神に笑顔を覗かせます。


すると、石神はいつものように、

「ええと、おまかせ弁当を……」

『容疑者Xの献身』p9

と告げますが、
その後に勇気を振り絞って口に出した

「寒いですね」

『容疑者Xの献身』p10

という言葉は、

後から入ってきた客の
ガラス戸を開ける音に
かき消されてしまいました。



一方、
『べんてん亭』の従業員である靖子は
最近あることに悩まされておりまして、

それは、

元夫である富樫慎二(とがし・しんじ)による付き纏いでした。


というのも靖子は昔、
最初の結婚の時に身籠った

一人娘の花岡美里(はなおか・みさと)を抱え、

赤坂でホステスをしていましたが、

シングルマザーの日々に疲れていたところを、
その当時、高級外車のセールスをしていて
羽振りの良かった富樫と出会い、そのまま結婚します。


しかし、その後、
会社の金を横領していた富樫は、
それが原因で会社をクビになると、

今度は靖子に暴力を振い始めてしまいまして、

もちろん靖子も黙っておらず、
赤坂の客に紹介してもらった弁護士を通して
なんとか離婚を成立させましたが、

問題はその後でした。


それは、、、

離婚後も富樫が靖子たちの前に度々現れて
復縁を迫り、さらに金を無心するようになったことです。

終いには、

娘の美里が通う学校の外で富樫が待ち伏せをする

という事態にまで発展してしまったので、

靖子は仕方なく
赤坂のホステスを辞めて、
錦糸町のクラブに移り、

そこからさらに、今現在は
江東区の弁当屋『べんてん亭』に鞍替えして、

近くのアパートで、娘の美里と一緒に、
冨樫に見つからないようにひっそりと暮らせていた、


はずでした。



というのも、
先の石神が来店した日の午後、

なんとその富樫が靖子の勤務先である、
『べんてん亭』にやってきてしまうからなんです。


そして、
居場所がバレてしまったことで
あからさまに狼狽える靖子をよそに、

富樫はカウンターで彼女に図々しく復縁を迫ります。


しかし、
靖子は勤務中のため込み入った話ができないので、
仕方なく退勤後にファミレスで話を聞くと約束しまして、

ひとまず、その場では富樫を帰らせ、
約束の時間にふたたび富樫とファミレスで向かい合うと、

やはり、その口から飛び出したのは復縁のことでした。


けれど、
靖子に富樫との復縁を考えている心など微塵もなく、

早々に富樫との話を切り上げた靖子は、
後ろから彼が追ってこないことを確認しつつ
一心不乱に自転車を漕ぎ、アパートへ帰宅します。


そうして、
何事もなくアパートに帰宅した靖子は、
娘の美里が帰ってくる前に晩御飯の支度をしていた、


その時です。


アパートのインターホンが鳴ったので、
靖子は支度を中断して玄関の戸を開けると、

そこに立っていたのは富樫でした。


富樫は半ば無理矢理、
靖子を押し退ける形で室内に足を踏み入れると、
靖子の許可も得ず煙草を燻らせ、

やはりというべきか、
そこでも靖子に復縁を迫ります。


その最中、娘の美里が帰宅しまして、
義父を失望と怯えの混じった目で一瞥しますが、
何も言わずに自室へと引っ込んでしまいます。


すぐにでも富樫に帰ってほしい靖子は、
仕方なく財布から二万円を引き抜き彼に握らせると、

富樫は渋々といった様子で腰を上げ、
玄関へと向かいますが、

去り際にこんなセリフを靖子に向けて放ちます。


「いっておくがな、おまえは俺から逃げられないんだ。諦めるのはそっちのほうだよ」

『容疑者Xの献身』p28


しかし、その言葉を靖子が聞き終えるや否やのことでした。


靖子の背後で、
引き戸を開ける物音がしたかと思うと、

自室から勢いよく飛び出してきた美里は、
手にしていた銅製の花瓶で、

富樫の後頭部を思い切り殴りつけてしまいます。



美里から花瓶で殴られたことにより、
一旦は床に臥した富樫でしたが、

もちろん、
女子中学生の一撃で死ぬはずもなく、

呻きながら起き上がったその目は血走っており、
憎悪による激情が込められているのは一目瞭然でした。


「てめえ、ぶっ殺してやる」

『容疑者Xの献身』p29

と獣の声を発した富樫は、美里に飛びかかり、
馬乗りで彼女の髪を掴み、また、頬を殴りつけます。


もうそこからの靖子は必死でした。


まだ凍てつく寒さが残るため出していた、
炬燵のコードをコンセントから抜き、手に取ると、

それを富樫の首に巻き付けていきます。

それに応じて、冨樫も、
靖子の殺気を気取ったとため、

懸命にコードに指をかけ、引き剥がそうとします。

靖子の決死も虚しく、
成人男性の力は成人女性のそれを遥かに凌駕するため、

彼女の手の中で滑っていくコード。

けれど、
富樫の猛攻が緩んだ隙を見逃さなかった美里が、
その富樫の指を引き剥がしにかかり、

靖子と美里が我に返った時には、、、


富樫は首に炬燵のコードを食い込ませて、絶命していました。


ぎょろりと開いた鈍色の目は虚空を睨み、
その顔は鬱血のせいか青黒くなっており、

唇からは頬を伝い唾液が滴り、
鼻からは透明な液体が漏れていました。


「人を殺してしまった……」


その事実に狼狽えるしかない靖子と美里でしたが、
虫の知らせのような「花岡さん」という声と共に、

部屋のドアをノックする音が聞こえてきます。


靖子は呆然とする美里を他所に、
すぐさま富樫の死体を炬燵に隠して、

気持ちを落ち着かせて、
ゆっくりとドアを開けると、

そこには隣の部屋に住む石神が無表情で立っていました。


彼は靖子らの部屋から凄い物音がしたので
大丈夫か様子を見に来た旨を彼女に伝えますが、

正直、靖子はそれどころではないので、
適当な理由をつけて、

また「すみません」と謝り、石神を帰らせます。


そうして、靖子の頭をよぎったのは、

「自首」の二文字でした。


いくら憎々しい元夫とはいえ、
殺してしまったらそれは重罪です。

なので、
靖子は「自首をする」と美里に告げますが、

一方の美里は、
「最初に手を出したのは自分だ」と言い張り、

自分も自首をすると言って譲りません。

美里を守るはずの行動だったのに、
その美里が法で裁かれてしまうのでは、

靖子の覚悟も揺らいでしまいまして、

靖子の逡巡も峠にさしかかった、


その時でした。


家の固定電話がけたたましくなり、
靖子は恐る恐る受話器を耳に当てると、

そこから聞こえたのは、、、


「あの、隣の石神です」

『容疑者Xの献身』



その声に「またか….…」と訝しむ靖子でしたが、
続け様に石神が放った言葉に靖子は耳を疑います。


「もし警察に届けるということでしたら、何もいいません。でも、もしそのつもりがないのなら、何かお手伝いできることがあるんじゃないかと思いまして」

『容疑者Xの献身』p38


さらに続けて、


「女性だけで死体を始末するのは無理ですよ」

『容疑者Xの献身』p38


その一言を聞いて、
肩の力がふっと抜けてしまった靖子は、

その電話の後、
石神に縋るような思いで彼を部屋に招き入れますが、

石神は炬燵に隠されていた富樫の死体を見るや否や、
首に掛けられたコードとその手首の内出血痕を観察して、

「美里が殺人に関与していないとは判断されない」

という推察を、
非の打ち所がない論理的思考によって、
彼女らに突きつけます。


そうして絶句する靖子と美里。


先の電話の内容を知らない美里は、
意気消沈の最中でしたが、

気が付けば石神に向かって、
こんなことをポツリと呟いていました。


「自首をしないで済む方法って、ありますか?」

『容疑者Xの献身』p44


その美里の提案を聞いた靖子は、
「何言ってるの!」と美里を嗜めつつも、

先ほど電話で石神は、
妙なことを言っていたことを思い出します。

「女性だけで死体を始末するのは無理ですよ」

と。


すると、石神は、
富樫の亡骸から財布を抜き取り、

中身を一通り物色した後、
こう口を開きます。


「難しいね。でも、不可能じゃない」

『容疑者Xの献身』


そう告げた石神の口調は、
非常に落ち着き払っていて無機質なものでしたが、

同時に靖子は、

そこに彼の天才的な論理的思考の深さを垣間見た気がしました。


〈パート2へ続く〉

◇紹介書籍リンク

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