見出し画像

秋刀魚と鰯

小さな庭の片隅にある僅か二坪余りの小さな倉庫小屋の中にある自転車二台を含めたガラクタを廃棄することにした。全ての整理が終えたらこの小屋の中、オイルランプを灯してジャックダニエルをロックで飲むことを目標に置く。

これは素晴らしい目標。

こういうモチベーションがないと物事が始められない。

またしてもガラクタを整理することから始める。

まずは釣り道具関係からだが恐ろしく古い釣竿がたくさんある。絶望的に絡んだ天蚕糸やリールも。どちらも数千円の安価なモノから数万円のものまで幅がある。共通して言えるのはほとんどが潮にやられて朽ちてしまっているということだ。

普通は釣りから戻ったらそれらの道具を真水で洗いよく乾かしてから保管であろうが、それをしない、と言うかそれが出来ない。そのまま小屋に、「あとでかたす」とその場を凌ぎながらの自分を正当化するウソを自分について自分を騙す。塩害はその結果でもある。

釣り道具の手入れ、管理ができないから釣りはやめている。釣り道具は全てを処分。

次はキャンプ道具。

飯盒が9個出てきた。しかも全て中底が焦げ付いている。

これは昔、キャンプに行くときにそのたびに買ってしまったという愚かな行為の結果だ。

燃えないゴミで廃棄しようとするが、この地区の指定された袋は記名式の無色透明。大量の飯盒を詰めて集積場に置いたら、あの家の方はなにするお方、などと思われてしまうかもしれない。

仕方がないから3こ残して捨てる。この3こ残すところに生まれついての貧乏性を感じる。
広げるのが恐ろしい安物の天幕が3張。
価値あるものとしてテニスラケットがたくさん出てきた。ヨネックスR22をはじめとするカーボンラケットの魁となったブリジストンやらウィルソンやらミズノやらアシックスやら往年の名器が続々と出てくる。当時はよいラケットイコール、上手くなった、なれる、これさえあれば市民大会の一回戦突破確実などとの妄想、暗示がありました。

けどそんなこともなく。

ラケットの革命を起こしたR22だけを残して後は捨てた。

やっかいなのはノコギリ、カンナ、トンカチなどの類。敷居カンナなどが出てくる。何故そんなものがあるのかはわからないかんな。

ゴルフクラブ、サッカースパイク、グローブ、スキーのストック、ビニール傘、履きつぶした靴、ロープ、ベニヤ板で作った帽子、五稜郭と書かれた下駄、坂本龍馬と書かれた下駄、何故そんなものがあるのかはわからないが。内容や量的にこれらは町内の普通のゴミ出しではだめだな、と思っていた。

♢♢♢♢

作業途中の夕方、一匹300円の痩せ細って悲しい目をした秋刀魚を食べるか、丸々と太ってえらそうな顔をしている大型のマイワシを食べるべきかまだ迷っている。

秋刀魚の脳を最新のAI技術で解析すれば何故こんなことになったのか、わかるのかも知れない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?