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お茶のフルコースをいただいてきた

以前から気になっていた店があった。初めて友人に連れて行ってもらったとき、その店は麻布十番にあった。閑静で立派な住宅街はまさしく高級住宅街を体現していた。ついた店は一軒家を改装した作りだったように記憶している。緑に溢れた入口をくぐると、茶事を行う水場を囲む形で木のカウンターがあった。「研究所」という名前を冠するお茶屋さんは、この日私に驚きを存分に提供した。それからずっと、あの頃手が届かず断念したお茶のフルコースがずっと気になっていた。

それから約5年、今、このお店は表参道駅から徒歩数分の好立地に店舗を構えている。この一年日本茶の魅力の取り憑かれ、紅茶 / コーヒー党からすっかり日本茶に熱を上げた私は、満を辞して憧れの店のこの憧れのコースをいただくことにしたのだった。

時は長引く緊急事態宣言の最中。アルコール提供が制限されているため、今回はアルコールメニューは選べないが、通常であれば驚きたっぷりのアルコールメニューも用意されている。

お茶のコース

1. 玉露
2.煎茶
3.焙じ茶
4.抹茶
のラインナップで提供いただいた。

ラインナップ

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1.玉露
通常よりやや高めの100℃→80℃→50℃の順で入れていただいた。1煎目は衝撃的だ。お茶に対してこのお茶は甘味が強い、といった表現を用いることはあるが、これこそまさしく。圧倒的な濃度の甘みと旨味が凝縮されている。最後の一滴にまで旨味が詰まった1煎は脳みそをガツンと揺らすこととなる。 

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2.煎茶
淹れていただくプロセスはまるでbarに来たかのよう。熱いお湯をシェイカーに?と思いきや、カクテルグラスに入る頃にはすっかり冷えていた!シェイカー内で紫蘇の葉と一緒になったかと思いきや、グラスに注がれた後柑橘が飛ばされたお茶は爽やかで初夏にふさわしい1煎だった。特に柑橘の皮 (実の種類を忘れてしまった) から風味を飛ばす技は毎秒その味わいを変化させることとなり、非常に味わい深いものだった。

一口ごとの味が違って驚いてしまう。

幕間. 玉露の茶葉 - 昆布のエキスを添えて

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一体どこまでこの店は驚かせてくれるのだろう!味が濃く、3煎出しても旨味の残る玉露の茶葉に、透明な昆布のエキスをかけていただく。一見砂糖なのでは?と思うエキスだったが、口に入れると塩気があり、煮出されたことで多少旨味が抽出された葉の旨味を補う形でこちらもガツンとやってくる。

3.焙じ茶

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焙じ茶は6種類の茶葉から1種類を選び、その場で焙煎していただく形だ。焙煎する間、お茶屋さんの前を通った際に香ってくる芳しい匂いが店内に充満する。いぶりがっこと青菜の漬物を茶請けにいただくのだが、ここで一息。焙じ茶は単体のメニューにも用意されているので、いつか飲み比べたいものだ。

4.抹茶

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最後にやってくるのが抹茶だ。お茶菓子もどれをとっても美味しい。最近餡子に目覚めた私は季節限定の豆腐を寒天で包んだお菓子を選んだ。重厚な茶碗は、日常でなかなか触れることのないものだ。
ここまで3種類のお茶を飲んできたものの、抹茶の濃さは段違いだ。苦味と旨味が飽和するこのお茶こ締めにふさわしい。

まさしく、結構なお手前で。

そんなお茶屋さんがこちら。櫻井焙茶研究所。
https://www.instagram.com/sakurai_tea_shop/?hl=ja

日本茶に興味がある人、茶事に興味がある人。また食という意味でエンターテインメントに興味がある人であれば必ず楽しんでもらえる。今回はコースを頂いたが、お茶+お茶菓子のメニューも用意されている。理路整然としながらある種の歴史を感じる店内の設計から、決して敷居が低いとは言えないが、新たな気づきを与えてくれることは約束されている。

今回興味を持った方には、ぜひ一度足を運んで欲しい。

Noble Oblige, お茶の魅力を世界に伝えられますように。

ここからの数年はお茶屋さんになるべく奮闘したい。オススメのお茶 / お茶屋さんがある皆様、ぜひご教示ください。

ここからは余談だが、注意事項を記しておきたい。

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