エリュアール「恋女」

「恋女」


私の瞼に立ち上がり

私の髪の中に其の髪を埋める

私の腕そっくりの形で

私の瞳にそっくりの色で

私の影へと沈み込む

まるで空に呑まれる石ころみたいだ

彼女は。


其の眼はいつも開かれて

私をいつも眠らせず

其の夢があまりに眩しくて

眼に映る太陽は空気に溶ける

其の夢があまりに眩しくて

私は笑い、泣き、また笑う

其の夢があまりに眩しくて

言うことなんて何もないのに

私は喋ってしまうのだ。



Paul Éluard, "L'Amoureuse", trad. Kazuho Tsutsui



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