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「暗号資産王」転落の内幕 「善」を掲げて「1兆円」を消した男の素顔とは

『1兆円を盗んだ男 仮想通貨帝国FTXの崩壊』(マイケル・ルイス著、小林啓倫訳、日経BP・日本経済新聞出版、2024/6/26刊)が描く脚光と凋落の主人公は、「若き暗号資産王」とも呼ばれた時代の寵児、サム・バンクマン・フリード氏だ。 ●「効果的利他主義」のアイコン バンクマン・フリード氏は、暗号資産で築き上げた莫大な金の使い途として、社会的な「善」を掲げる「効果的利他主義(EA)」の旗を振った。 「世界をより良い場所にする」というスローガンは、ジョークのネタにもなるほど

    • 『ヴィクトリア朝時代のインターネット』2世紀を隔てたテクノロジー激震の共鳴

      トム・スタンデージ著、服部桂訳の『ヴィクトリア朝時代のインターネット』(ハヤカワ・ノンフィクション文庫、5/15刊)は、すでに古典的名著だ。 原著はインターネットが一般に普及するきっかけとなったウィンドウズ95の発売から3年後、1998年9月に刊行され、翻訳はそれから13年後の東日本大震災の年、2011年12月末に刊行された。 今回の文庫化は、それからさらに13年。来年は、インターネットの普及から30年という節目を迎え、世界は生成AIのインパクトに包まれている。そんな中で

      • 『アナロジア』は「野生のマシン」時代を宣言する

        デジタル時代は燃え尽きる テクノロジーは自然を模倣し、野生のマシンへと進化を遂げる。 そして、隆盛を誇るデジタルの時代は燃え尽きる――それが科学史家、ジョージ・ダイソン氏の『アナロジア AIの次に来るもの』(服部桂監訳、橋本大也訳)のメッセージだ。 ダイソン氏は父に理論物理学者のフリーマン・ダイソン氏、姉にIT業界のオピニオンリーダー、エスター・ダイソン氏を持つ、テクノロジーの世界の原住民だ。 原著の副題「プログラム可能な制御を超えたテクノロジーの登場(The Eme

        • [読後感想]「分散」ネットを取り戻せ―『After GAFA 分散化する世界の未来地図』

          (Image by Calsidyrose CC BY 2.0) インターネットの空間が、「中央集権」で傍若無人な「信頼」されないサービスの舞台とみなされてから、どれぐらいたったか。 「自律」「分散」「協調」を特徴としたインターネットがなぜこうなってしまったか。そして、GAFAに象徴される「中央集権」のインターネットから、本来、目指してきた「分散」の自由なインターネットを取り戻すには、何ができるのか。 それが"こばへん"小林弘人( Hiroto Kobayashi )

        「暗号資産王」転落の内幕 「善」を掲げて「1兆円」を消した男の素顔とは

        • 『ヴィクトリア朝時代のインターネット』2世紀を隔てたテクノロジー激震の共鳴

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          AIについて、メディアはどう報じてきたのか

          AIは世界の救世主なのか、世界を滅ぼす存在なのか―― AIが社会や経済に与えるインパクトについて、楽観論から悲観論まで様々な議論が続いている。 ではそんなAIについて、メディアはどのように報じてきたのか。 By Bruno Cordioli (CC BY 2.0) 英オックスフォード大学のロイター・ジャーナリズム研究所のラスムス・クライス・ニールセン所長、同大インターネット研究所のフィリップ・ハワード所長らが、英国の6メディアの8カ月間のAI報道を分析した報告書を公開

          AIについて、メディアはどう報じてきたのか

          三つの「スカイネット」が示すAIリスク社会―『悪のAI論』序章公開 コメントする

          当ブログの筆者による最新刊『悪のAI論 あなたはここまで支配されている』(朝日新書)が2月13日に刊行されるのに合わせて、「序章」と「目次」を公開します。 「AI社会」の到来は、「AIリスク社会」の到来でもあります。 AIのもたらすメリットの一方で、その実装の仕方次第、使い方次第では、様々な分野で大きなリスクをもたらす可能性が明らかになっています。 監視、偏見・差別、安全保障、セキュリティ―― そのリスクへの懸念の声は、人権擁護グループや研究者だけでなく、AI開発の中

          三つの「スカイネット」が示すAIリスク社会―『悪のAI論』序章公開 コメントする

          2週間で1700人規模のリストラ、米メディアで何が起きているのか

          米メディアで吹き荒れるリストラの嵐は、さらに拡大している。 大手新聞チェーン、マイアミ・ヘラルドなどを要するマクラッチーでも勧奨退職を募集。ネットメディアでも、ヴァイスでリストラが告知された。 By Greg Habermann (CC BY 2.0) この2週間で明らかになった、勧奨退職を含むリストラの規模はベライゾン・メディア、バズフィード、ガネットなどと合わせて計1700人にのぼる。 ※参照:米メディア、1日で1000人のリストラ明らかに(01/25/2019)

          2週間で1700人規模のリストラ、米メディアで何が起きているのか