独立して1年で公認会計士をやめたワケ

タイトルのとおり2020年現在、私は公認会計士の仕事をやめています。(会費を払って資格の登録だけはしてますけどね)

2002年に公認会計士試験(当時の2次試験)に合格したので、キャリア的には18年。

大学4年で合格→BIG4で上場企業や国際業務が絡むとこのインチャージ(現場責任者)→銀行でM&A、事業再生→28歳の終わりに独立

ということで、公認会計士としてはまあまあ良い感じのキャリアを積んできたにも関わらずやめてしまっていると。

キャリアの無駄遣いも甚だしいと。

今回はこの辺についてもう少し詳しく書いてみたいと思います。

実際やめるのには7年かかった

タイトルでは「独立して1年で」と書いていますが、これは「公認会計士の仕事をやめよう」と決意したのが独立して1年経ったタイミング、ということです。

実際に公認会計士の仕事を完全にゼロにできたのは2017年なので、決意してから7年かかって達成できた、という感じです。

いやー、長かった。

独立当初、公認会計士としてやっていた仕事

2009年に独立した当初、実際にやっていた仕事はM&A、事業再生のアドバイザリー業務でした。

仕事の分類としてはこの記事で言うところの「経験型」ですね。

「経験型」というのは専門性は高いけど世間的にはある程度のノウハウが確立しているような仕事です。

これは専門知識やノウハウが無い人にはできない仕事なので報酬水準はそれなりに高いことになります。

具体的な報酬は案件によって幅はあるものの、相場観としては「自分の1日単価が15~20万円くらい×1案件あたり所要日数20日間」で300~400万円というイメージでした。

1人事務所だったら年に2~3案件くらいあればそれでもう十分に生活できちゃいます。

年間実働40~60日で年収1000万円くらい。

いやー素晴らしいですね。

じゃあなんで「素晴らしい仕事」をやめることにしたのか?

単刀直入に言うと、直接のきっかけは仕事がゼロになったからです。

2009年に民主党政権になって金融円滑化法が施行されたことにより、それまで自分がやっていた事業再生の仕事がゼロになりました。

なので方針転換をしたこと自体は必要に迫られてのものだったということです。

収入ゼロだと普通に死んじゃうので 笑

ただそこで「他の公認会計士業務」に目を向けなかったのには理由があります。

「他の公認会計士業務」に目を向けなかった理由

他の公認会計士業務として考えられるのは会計監査や上場支援、経営や財務のコンサルティング、システム導入支援といったものですが、これらはいずれも「経験型」に属する業務です。

こういった「経験型」に属する業務を組織的に、ビジネスとして展開する場合に最低限必要な条件としては

1.それなりの能力を持った人材を継続して採用できること

2.必要な知識やノウハウを体系的に教えられること

3.経験を積ませるのに必要なだけの案件数を継続して獲得できること

こんな感じかなと。

このうち2.は本やDVDを買えば何とでもなります。

問題は1.と3.です。

「1.それなりの能力を持った人材を採用できること」については、正直いって1人でやっている個人事務所にそうそう公認会計士の資格を持っていて、かつ、それなりに能力が高い人材が応募してくることはないでしょう。

そういう人材は大手の事務所に応募する&キャリアを積んだら自分でやる、というのが基本路線かなと。

もしかしたら変わり者が1人くらいは応募してくるかもしれませんが、継続して安定的にそういう人材を確保し続けるのは相当ハードルが高いと思っています。

また「3.経験を積ませるのに必要なだけの案件数を継続して獲得できること」についても同様に、小規模な個人事務所で、それまで自分が積んできたのと同じくらいの経験を他人に積ませられるだけの案件を継続して安定的に確保し続けるというのは相当ハードルが高いなと。

そういう理由で、組織的にビジネスとして展開するにあたって「経験型」に属する業務でやるのは自分には難易度が高すぎると判断し、「効率型」に属する業務でやっていこうと決断したのでありました。

なんで組織的にビジネスとして展開するの?

上記では当然のように”組織的にビジネスとして展開する”ことを前提としていますが、これにも理由があります。

単に何がしかのお金を稼ぐだけであれば、自分の経験・知識・ノウハウを活かして一人でできる範囲の「経験型」の仕事をやっておけばそれでよかったということになります。

しかし自分はそうしませんでした。

それは自分は「専門家」ではなく「経営者」になりたいと思っていたからです。

自分の中で「専門家」と「経営者」の切り分けは

・専門家・・・自分の知識や能力をお金に変える人

・経営者・・・お金を生み出す仕組みを作ってそれを回す人

という感じでして。

それまでの自分はただの「専門家」でしかなかったなと。

独立していて肩書は所長ではあるけども「経営者」にはなっていなかったなと。

それが悪いというわけではないのですが、それまでやっていた事業再生の仕事って”事業”の再生をするわけです。

なのに自分はただの財務・会計の「専門家」であって、実は「経営者」として事業(=ビジネス)をやったこともなかったと。

それで偉そうにクライアントの経営者にアドバイスするのって全然説得力無いよねというのを常々感じておりまして。

それに「専門家」として生きていこうとすると、何歳になってもずっと自分で現場をやらないといけなくなるわけで。

それはちょっと違うかなと。

なのでこれを機に会計事務所の「経営者」になろうと決心し、”組織的にビジネスとして展開する”ことにしたのでした。

そんな流れを経て「経験型」業務がメインの公認会計士をやめて、「効率型」業務である「美容・飲食特化の低価格パッケージ型税務サービス」を組織的にビジネスとして展開することにしたのですが、その中で色々あった障壁についてまた次回以降に書いていこうと思います。

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