パートさんを1人雇うのに39人不採用にした話

私の好きな言葉に「雇用はゆっくり解雇は素早く」というのがありまして。

特に士業事務所というのはほぼ人が全てな組織なので、「その組織にどういう人を受け入れるか」による影響度合いが一般事業会社に比べて大きいのではないかと。

なので、受け入れにあたって慎重になり過ぎるということはない、合わない人を排除するにあたって早過ぎたということはないと思っています。(個人の感想です)

そもそもどういう人を受け入れるのか?

うちの事務所では「どういう人材が必要か」の定義付けをしてから、それに該当する人材を探すという流れをとっています。

(ここは「タマゴが先かニワトリが先か」というところで「良い人材をとにかく集めて、それからビジネスを考える」というパターンもあります)

事務所のビジネスモデルが決まると、具体的にどういった業務・作業が発生するのかも決まってきます。

業務・作業が決まるということは、それを遂行するためにはどういう人材が必要かも決まります。

うちの事務所のビジネスモデルはかなり細かいところまでやることを決めているので、「決まったことをキッチリ効率的にさばける&自分の言うことに逆らわない」という人材を求めています。

それと、これも私個人の考え方ですが「20~30歳くらいまで生きてきた人間の根本的な価値観を職場で変えることはほぼ不可能(絶対不可能ではないけども、事務所の運営上、価値観を変えさせることを計算には入れられない)」と思っていますので、価値観や雰囲気ができるだけ近いということも重要な要素です。

求める人材が決まったら採用テストが決まる

採用テストというのは「応募してきた人がこちらの求める人材か否か」を見極めるプロセスです。

というわけで、上記で決めた「どういう人材が必要か」の定義に沿ってそれを見極めるための手続きを設計していくことになります。

うちの事務所の場合は「決まったことをキッチリ効率的にさばける&自分の言うことに逆らわない」という人材を求めていますので

・単純作業の正確性やスピードを見る
・私の言うことにどこまで逆らわないかを見る
・どんな感じの価値観を持っているかを見る

ような採用のプロセス、ヒアリングシート、筆記テストを設計しています。

このへんの設計があいまいだとどんなに頑張って採用活動をしたところで「(事務所にとって)良い人材」を採用するのはなかなか難しいというか、当たり外れが大きくなってしまうのではないでしょうか。

決まった採用テストに応募者をどんどん投入

採用テストでやることが決まったら、あとはいかに多くの応募者を集めるかという話になります。

応募者が1人しかいなかったら見極めるも何もなくなってしまいますからね。

これについては採用のタイミングによってどの媒体でどのくらい応募がくるかも変わってくるので、決まったやり方をしているわけでもないのですが

1週間あたり〇人の応募が継続してやってくること

を重視して募集の手法を選ぶようにしています。

この「継続して」というのがポイントでして、例えばいきなり1日に30人とか来られると採用テストがキャパオーバーしてしまうことになります。

そうではなくて例えば毎週2人の応募が2か月間(8週間)にわたって継続する、という方が採用テストをしっかり機能させる点では望ましいという感じです。

ここは好みもあるのかなとは思いますが、私は何事も安定・継続していることを重視しているのでこういう考え方になっています。

合格率をどのくらいに設定するか?

ここは応募者全体がそもそもどのくらいこちらの求める人材に近い属性を持っているかによって変わってきます。

「どういう人材が必要か」の定義付けが独特であればあるほど、合格率は下がるでしょうし。

うちの事務所は「どういう人材が必要か」の定義付けが独特なので、合格率はかなり低めになっています。

具体的にはこれまでの実績として大体20人くらいの応募があって1人を採用するという感じになっています。

昨年、1人のパートさんを採用するまでに39人を不採用にしたのが最高記録です 笑

このときは募集を開始してから採用に至るまでに半年近くかかったような…

その半年間は人手不足状態ではありましたが、それでも焦って中途半端な人を受け入れることだけはしないという鉄の意思でやり通しました。(既存のスタッフには負担をかけて申し訳なかったですけど)

採用まわりをカッチリ決めることは誠実さにつながる?

なんでここまで採用まわりをカッチリ決めているのかと言いますと、冒頭に書いた通り

士業事務所というのはほぼ人が全てな組織なので、「その組織にどういう人を受け入れるか」による影響度合いが一般事業会社に比べて大きい

からです。

合わない人を受け入れてしまうと、既存のスタッフに色々な意味で負担がかかります。

また、採用された人からしても「なんかこの事務所、合わないな」ということで結局双方にとって非生産的な時間を過ごすことになります。

それを考えると、採用まわりをカッチリ決めて徹底的に「事務所に合う人」だけを厳選するというのが結局は既存のスタッフに対しても、応募していただいた人に対しても誠実さを示すことになるのではないかなと。

そういうわけでこれからも「雇用はゆっくり解雇は素早く」でいく所存であります。

*続編として「解雇は素早く」の話はこちら


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