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コロナ禍にも関わらず、割と安定したそこそこ大手の企業を辞めて転職した話①

2020年12月を以て現職を退職した。転職するのである。

これまで在籍していた会社はコロナ禍でもさほど大きな悪影響を受けずに済んだ大手だった。それなのに、何故辞めることを決意したのか、今一度思考の整理をしてみようと思う。

現職について

現在の会社(といっても、もう辞めたのだが)は社会人キャリア上2社目である。2016年に某転職エージェントを使っての転職活動を経て中途入社した商社の営業職だ。会社規模としては、年商600億円、社員数は200名。この会社は東証一部上場企業の100%子会社ということもあり、経営は非常に安定していたし、私の入社当時から業界の風向きも上昇傾向にあり、過去4年間にわたり常に業績は右肩上がりだった。20年度の上半期はコロナショックで業界全体が落ち込みはしたが、まだ会社としては余裕があるように思えた。少なくとも会社がこの先2、3年で立ちいかなくなるようなビジョンはまるで見えなかった。

私自身について

手前味噌だが、社内では出世コースに乗っていたと思う。営業成績(いわゆるノルマ)は毎期予算達成していたし、上長からの評価も高かった。私の会社では期初に目標設定をし、期末にそれに対しての評価とフィードバックを行うことになっているのだが、そのフィードバックに関しても特段悪い評価をもらったことはなかった。S/A/B/C/Dの5段階評価で、毎期AかBには収まっていた。30歳前後ということもあり、社内では中堅のエース候補ぐらいのポジションにはいただろう。勝手な予測ではあるが、そのまま突き進んでいれば、40歳手前には課長クラスになれていたのではないかと思う。(※社内平均だと、45歳ぐらいで課長に昇進)

退職を考えた理由

メンタルを壊しかけたのが主たる理由であるが、さて、何故私はメンタルを壊しかけたのか?これに関しては2つ心当たりがある。

1つ目は在宅勤務によるストレス。私の会社では、緊急事態宣言が発令された4月から6月末ごろまで週5日の在宅勤務が命じられたのだが、私は家で仕事をすることができない質だった。生活空間と仕事の空間が一緒になる、というのがこの上なくストレスなのだ。自宅というのは、私の中では、休むべきところ・心安らげる場所であり、そこを緊張状態の続く仕事場にするというのは強い抵抗感があったのだ。よって、仕事の資格勉強をする時なども、自宅学習ではなく、カフェなどでやるようにしていた。この時も、本当はカフェや自習スペースに行って仕事に取り組みたかったのだが、それだと会社が社員に在宅勤務をさせている本来の目的から逸脱することになる。せめて、生活空間と仕事場を分ける(例えば執務室を設けるなど)ということができればよかったのだが、私の自宅の間取りではそのようなことができなかった。そのためだけに引っ越すこともやりたくはなかった。そのため、家に様々な誘惑(TV、iPad、漫画、ゲーム、ソファ、ベッド)がある中で、集中して仕事に取り組むことができなかった。そして、仕事に集中できず適切な成果が上がらないことに対して、(会社から叱責を受けることはなかったが)私自身かなり焦りを感じていた「本当はやらなきゃいけないことが全く手につかない」「このまま何もしないでいると給料泥棒になってしまう」、そういった思いが次々と沸いてきて、徐々に自分の心を蝕んでいったのだった。

2つ目の理由としては、仕事の面白さがわからなくなったこと。業務には多種多様なタスクがあったが、仕事の内容を突き詰めると、上(=上長or取引先)に言われたことを(忖度しつつ)その通りにやる、ということでしかないことに気づいてしまった。在宅勤務になる前からも薄々は感じていたことだったが、在宅になってから殊更そう感じるようになった。そこに自分の創意工夫や意思決定はあるようでなかった。そして、このまま上から言われることだけをやっていて大丈夫なのか?と漠然とした不安を抱いた。結局、自分が評価されているのも、上に言われたことをそれなりのスピード感を持って実行できる人間だから、ということでしかないのだと、そう思うようになった。とどのつまり、きっと私は、『都合のいい人間』でしかない。指示された内容をこなすだけなら、近い将来はAIやロボットに代替されてしまう。自分が40、50歳になった時に、そういったIT技術の進歩に勝てるイメージが到底持てなかった。そうした将来に対する不安と、煩雑な仕事、自宅という仕事に集中できない環境、これらの要素が重なった結果、ある日突然思考回路が爆発したのだった。

そこで自分に起きた症状としては、①他人の話している内容が咀嚼できなくなった、②文章が読めなくなった(書いてある日本語は読めるし、単語の意味も分かるが、文章全体として何を意味しているかが汲み取れなくなった)③頭痛。流石にこれは本当にまずいと思い、急遽上長に少し早めの夏期休暇(1週間)を取らせてもらい、メンタルクリニックの予約を取った。診察の結果、具体的な病名の診断はされなかったが、自分でネットで調べた限りだと燃え尽き症候群に近いものであろうと思う。うつ病の一歩手前で踏みとどまれたのは不幸中の幸いだった。

そこから、その先の未来のことを真剣に考え始めた。まず最初に決めたのは、今の仕事を辞める、ということだ。メンタルを壊しかけたのはただの表層に出てきた現象に過ぎない。薬を処方してもらったから大丈夫、というわけにはいかない。そうなった原因を取り除かなくてはならない。そのためには、早急に仕事を変えなくてはならないことは明白だった。そうして、転職活動を開始することにした。

②へ続く


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