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面接に対する心構え

今更感のあるタイトルではありますが、今回のnoteでは、人事責任者として、前職と現職で培ってきた面接に対する心構えのノウハウを改めて言語化してみようと思います。なぜこのタイミングなのかと言われると、ここ最近、採用広報の一環で、TwitterやInstagramの運用を開始したり、採用ホームページも大幅にアップデートをかけたことで、大変ありがたいことに、ホームページやLinkedIN経由での応募も多くなってきたため、人事トップとして、どういう心構えで1つ1つの面接に臨んでいるのかをしっかりと明示しようと思い至ったことに加え、これはまた別の機会で理由は詳しく説明しますが、リモートワークという働き方の影響も受けて、テキスト化、形式知化することの大切さを痛感する出来事が増えてきたことも背景の一つにあります。

※アップデートした採用ホームページはこちら
https://wealth-park.com/ja/corporate/careers/

こういった面接に関するノウハウは世にごまんと出回っているので、それらと被る部分もあると思いますが、あくまでも自分の経験則の中で大事だな、と思ったことをある程度抜粋して以下にまとめてみます。

面接前

まずは、面接前の準備段階で心掛けていることを列挙します。

■レジュメを読み込むとき
・キャリアのストーリーを意識できているか
・どういう経験をしてきて、そこで何を得て、次に何がしたいのか(過去・現在・未来)で想像する。

ハイライトとなる経験・スキルに注目しがちですが、レジュメから伝わってくるキャリアのストーリーから、その人の人となりや価値観を頭の中でイメージすることを大事にしています。こういったキャリアストーリーを事前にイメージできないまま面接に臨むと、経験・スキルに関する質疑が中心の淡白な面接に陥りがちで、スキルフィットは見出せたとしても、カルチャー、人柄フィットではミスマッチとなるケースがあります。

■質問を考えるとき
・そもそもどういう回答を期待しているのか
・質問する目的、意図はしっかりと持つ
・質問責任という観点

ある程度面接に慣れてくると型化されてきて、似たような質問しかできなくなり、Botみたいになるケースがあります。まずは転職理由聞いて、その次はキャリアプラン聞いて、長所と短所聞いて、、、というような。その質問をしたうえで何を確認したいのか。一つ一つの質問に意図と目的を持つことは大事です。何となく、形式的に、という質問はあり得ません。また、「あなたにとって仕事とは何ですか?」というようなそれっぽい質問を投げかけるのはよいですが、逆質問された時に自分なりの答えを持っていないと、どうなってしまうかは想像に難くないですよね。

■面接前にMTGはいれない
・時間も、心も余裕のある状態を心掛ける
・いつも同じテンションで臨む

面接を受けに行った時に、面接時刻をちょっと過ぎたころ、急ぎ足で申し訳なさそうに部屋に入ってきて「申し訳ございません、前の会議が長引いちゃいまして」という面接官に出くわした経験のある方は少なくないのではないでしょうか。たいていの面接官は、過密スケジュールの中で日々激動している方がほとんどなので、それ自体が悪いとは言いません。しかし、では逆に面接を受ける候補者が何の連絡もなく同じように遅刻をしてきたらどうでしょうか。おそらく、ほとんどの面接官の方は良くない印象を持つのではないでしょうか。ただ、面接を受ける側もする側も立場は同じ、対等であるはずです。相手にされて印象が悪いと思うことは、こちらもできる限り避けましょう。また、これは個人的な意見にはなりますが、前の会議から間髪入れずに面接をして、質の良い面接ができるとは思えません(頭の切り替えが劇的に優れている方なら話は別ですが)。たいていの場合は前の会議のテンションを引きずってしまい、その時々で態度や内容にばらつきがあるのではないかと思います。(なので、僕は面接をアレンジする際は、その前の予定も最低1時間は空いているところを選択しています)。

■面接の目的を明確にする
・ジャッジなのか。クロージングなのか

まず、面接は個人ではなく、チームプレイという前提で考えること。特にクロージングとしての役割は大きく以下の4つがあるとされており、誰がどういう役割を果たすのか、状況に応じてしっかりとアラインし、戦略的に面接に臨むことが大切です。

- フォロワー
候補者の持つ不安、疑問、悩みに寄り添い、共感することで心理的距離を近くする役割。
人事、同じような役割を担う想定の現場メンバーが適している。

- モチベーター
候補者の挑戦心を高め、自己実現の可能性を示唆することで志望動機を明確化する役割。
現場MGR、部長/VPが適している。

- インパクター
候補者がまだ分かっていないような気づきを与え、「この人と一緒に働きたい!」という強い動機を作る役割。ジョハリでいうところの盲点の窓。
トッププレイヤー、CXOが適している。

- クローザー
最後に候補者の入社を決断させる役割。
人事責任者、CXOが適している。

面接中

次に面接中に心がけていることを列挙していきます。

■しゃべりすぎない
・良さそうな人と巡り合うとついつい熱くなりがち
・いつでもどんな時でも8聞いて2喋るくらいの気持ち
・質問は基本的にオープンクエスチョンを使う
・クローズドクエスチョンは自分の解釈が間違えていないか、確認をするときにつかう程度

傾聴スキル。これに尽きるといっても過言ではないと思います。どこにリアクションをするか。それによって引き出せる内容は変わってくるからです。傾聴=ただうんうんと頷いているだけ、と解釈している人もいますが違います。例えば、「上司はすごい厳しい人だったのですが、必死に食らいついた結果、圧倒的な成果を出すことができて、会社にも良い評価をされましたし、成長することができました」という会話で、「①すごい厳しい上司だったのですね」「②会社から良い評価を受けることができたのですね」「③成長することができたのですね」というように、どこのできごとに反応するかで、次のリアクション(相手から引き出せる情報)も変わってきます。また、感情に反応するか、事柄に反応するか、でも大きく変わってくるのですが、こうした傾聴スキルというものは非常に奥が深く、僕も産業カウンセリングの学校に通いひたすら実技練習を重ねて、ようやく基礎的な部分を身につけれた程度なので、興味のある方は是非、勉強をされてみると良いと思います。面接だけでなく、日々のマネジメントでも大いに活かせるスキルです。また、候補者が繰り返し使う言葉があれば、そこに主訴がある可能性も高いため、その意味を深堀りしてみると候補者のことをより理解できるかもしれません。

■沈黙を恐れない
・沈黙の先にこそ、その人の本質がある
・沈黙=熟考なので、相手が答えるまで黙って待つ

少し難しい質問をした時、相手がすぐには答えられず考え込んでしまうケースはしばしばあると思います。そんな時、その場の空気に耐えきれずに、ついつい先に口を割ってしまったり、また別のケースとして候補者が話をしている最中に、少し間ができただけで間髪入れずに次の質問をしてしまったり。そんな経験は誰でも一度や二度はあるかもしれません。しかし、そこはグッと我慢して、意識的に一呼吸、二呼吸くらい置くことを心掛けると良いかもしれません。

■やたらと詰めすぎない
・なぜなぜ質問も度を越えると脅迫になる
・一貫性を求め過ぎない

これは面接に慣れ始めてきたころに陥りがちで、一歩間違えるとただの圧迫面接とも捉えられかねないリスクがあります。リクルートの面接なども「なぜ」で深堀していく面接で有名ですが、あれはしっかりとしたガイドラインのもと、深堀をすべき項目を事前に決めて面接に臨んでいるのだと思うので、むやみやたらと深堀すればいい、というわけではありません。上述した「質問を考えるとき」という項目にもある通り、質問責任があるので、「なぜ」自分は候補者に対して「なぜ」という質問をするのか、その目的、意図は明確にしたうえで質問をするようにしましょう。

また、抽象的な表現、たとえば「より良い」や「キャリアアップ」など、に対しても「あなたにとってのより良い(またはキャリアアップ)とは何ですか?」と具体化するための質問を投げかけること自体は良いのですが、その回答内容も抽象的なままだった場合に、何とか具体的な答えを導こうと躍起になってしまうケースもあるため注意が必要です。抽象的だから悪い、具体的だから良い、というロジックはどこにもありません。

面接後

最後に、面接後に心がけていることを列挙していきます。

■いちいち気にしない
・面接官同士の評価が違うことはよくあること
・辞退されることはよくあること

ここで一番言いたいことは、しっかりと自分なりの結論を出す、という事です。自分の結論を出さずに、他の面接官はどう思うか、候補者はどう思っているのか感想を知りたい、など。結論を出すことに対して受け身な人がたまにいますが、面接をしたからには、自分がどう思うのか、面接した人を採用したいのか、一緒に働きたいのか。相手どうこうではなく、自分の意見をはっきりと伝えることが大事だと考えています。そのため、上述したように、面接官同士で評価がずれることや、どんなに頑張って口説いた候補者に辞退されることは日常的にある、ということを共通認識として持っておくことが大切です。(言い換えれば、意見が違っても辞退されてもいちいち咎めない)また、面接官同士の評価が分かれて、議論をする過程で揉めそうな場合は、人事などの第3者に意見を求めることも必要です。無理に面接官だけで答えを出すことはありません。

■ダイレクト採用のとき条件交渉するのは普通のこと
・候補者自らで条件など全てを調整、交渉する必要があることを理解する

ダイレクト採用の候補者は、エージェント経由の候補者とは違い、日程調整から条件交渉まで全てを自分で行う必要があります。ゆえに、どうしても面接中に条件面の話をせざるを得ないのですが、このことを人事しか分かっていないケースが多いように感じます。事業部との連携がしっかりと取れていない場合、当然事業部の人はその人がダイレクトなのか、エージェント経由なのかまでは知る由もないですし、意識もしないため、「報酬面にこだわりが強いタイプ」という評価になってしまうことも少なくありません。繰り返しにはなりますが、まずは事業部の人にも採用チャネルによって候補者の特性や置かれている状況は異なる、ということを理解してもらうこと。そして、アレンジした面接はダイレクトなのか、エージェント経由なのかも明記することが大切です。(これは、どちらかというと「面接前」に心がけるトピックスでしたね)

■スピード
もはや当たり前過ぎるので多くは書きませんが、書類選考、面接結果は原則として、24時間以内には結果を言い渡せるようにプロセスマネジメントをしています。また、評価の抜群に高い候補者であれば、面接の中で直接次回選考の案内をして、その場で次回の日程調整をすることもあります(但し、内定を言い渡すことはNGです。しっかりと社内の稟議プロセスを経て候補者にも伝えるようにしましょう)

家族や親などへの確認
・候補者本人は良くてもご家族から同意を得られないケースはよくあること

転職活動そのものを家族に相談、共有しておらず、最後の決断フェーズで奥さんNG、旦那さんNG、第2新卒だと親御さんNGなど、身近な人からの反対を受けて辞退となるケースはしばしばある。結婚はしているのか、お子さんはいるのか、実家暮らしなのか、といった情報からある程度リスクは予測できるため、「今回の転職はご家族の同意は得られているのですか?」という問いかけをするなど、それとなく確認しておくと結果的に最後の最後での手戻りは少ない。プライベートな部分の話にはなるので、どうしても質問がしづらい、という方はエージェントに確認してもらうなど、第3者の手を借りると良いと思います。

SNSのアカウント交換は控える
・大原則として入社するまでは交換は控える方がよい

面接で意気投合し盛り上がったから、またはあくまでも今後の日程調整や条件交渉などの連絡用ツールとしてのSNSの申請も、人によっては完全プライベート利用のため、デリカシーのない行為と捉えられる可能性があります。僕も過去、メールでのやり取りよりもSNSのメッセージの方が手軽なため、内定フェーズの候補者にFacebookメッセンジャーの交換をお願いしたところ、それが理由で辞退となった苦い経験があります。もちろん、人によって解釈は異なるので、全部が全部に言えることではありませんが、こちらが意図せずとも、そういう解釈をされてしまうリスクはある、ということは認識しておくことに越したことはありません。

おわりに

もう少し簡潔にまとめるつもりでしたが、僕のこれまでの経験の中で特に大事だな、と感じたことを共有させていただきました。今はどの企業もほとんどが対面ではなく、オンラインの面接をしていると思いますが、僕がここで記載したことは、対面だろうとオンラインだろうと関係のない、どちらにも通じるものを抜粋しています。基礎的な部分が多いですが、この内容が少しでも参考になり、企業、候補者双方にとって面接という限られた時間と場での出会いがより良いものになっていく一助になれば幸いです。


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