見出し画像

リモートワークに移行して1ヶ月。見えてきた課題と指針。

全社的なリモートワークに移行してから1ヶ月が経過しました。年齢を重ねれば重ねるほど時の流れを早く感じるようになってきた今日この頃ですが、この1ヶ月は色々と感じ、考えることも多く、体感的にも長かった1ヶ月となりました。

また、僕の実践しているHRは、アナログとデジタルの融合で、ざっくりいえば泥臭く属人的に人、組織と向き合いながら、それを統計的に科学して経営、事業にリンクさせる、という事なのですが、この1ヶ月は「何となく元気がなさそう」「何となく課題を抱えていそう」という「何となく」の部分が圧倒的に読み取りづらくなり、物理的距離と心理的距離に対するアプローチの在り方も変えていかなければ、という思いが日に日に強くなってきています。

そこで、今こうしたリモートワークが中心という状況に移行してから、僕らの組織はどういうPros/Consがあるのか。まずは現状を把握してみようと考え、社内アンケートを実施してみました。また、同じような課題を持つ人、組織にも少しでも役に立てばと思い、結果を公開することにしましたので、もしよければご参考までに是非ご覧頂けると幸いです。

1.アンケート結果

1.1.  業務面

通勤退勤のストレスから解放された人は全体の3/4にのぼり、またワークライフバランスの自由度があがり、仕事効率がよくなったと感じている人が全体の半分という結果になりました。通勤退勤という行為がもたらすストレスと集中力への影響度の高さが見て取れます。一方で、課題は分散しており、個別の状況によって理由は変わってくるようです。

 ・良くなった点はありますか?

画像1

 ・課題はありますか?

画像2

 ・主なコメント

Pros
「通勤におけるストレスがなくなった」
「自分でコントロールできる時間が増えて、疲労感が少なくなり、集中力が上がった」


Cons
「モチベーションの維持が難しい」
「会議が多く、オフィスにいる時よりもコミュニケーションコストが高く、疲労度が高い」
「ブレインストーミングのようなことができず、雑談ができない」


1.2 私生活

「ストレスが減少した」「睡眠時間が増えた」という人がそれぞれ全体の1/3にあたり、私生活における改善傾向にある人が一定数いる結果となりました。
一方で、「ON/OFFの切り替えが難しい」という人が60%にものぼり、「疲れ」「寂しや」を感じるようになった人もそれぞれ全体の1/4という結果になりました。また、「運動不足」というコメントも多く、これは日中に簡単な運動をする機会もなく、日の光をしっかりと浴びる機会も減っている事が推察され、結果として「疲れ」や「睡眠不足」を引き起こすリスクもあり、改善の必要性を感じています。

 ・良くなった点はありますか?

画像3

 ・課題はありますか?

画像4

 ・主なコメント

Pros
「外食が無くなって、ヘルシーな食生活になった」
「ワークライフバランスの自由度が上がった」

Cons
「運動量が少なくなり、体が重く、夜の寝付きも悪くなった」
「まだ子供が幼いが、業務もあるため、ケアが十分にできていない」

1.3 就業時間はどのように変わったのかを教えてください。

画像6

リモートワーク前後で開始/終了時間に変化があった人は76%、全体の約3/4に該当する結果になりました。また、そのうち65%の人が開始時間が早くなり、52%の人が終了時間が遅くなりました。通勤/退勤に要した時間を、業務時間としていることからそのような結果になったことが見て取れます。

一方で、「開始が早くなり終了が遅くなった」という人が全体の40%にものぼり、通勤を除く業務時間が長期化していることは気がかりで、個別の勤怠結果も参照しつつ、もう少し細かい粒度で要因分析はしていく必要がありそうです。

1.4 今後もリモートワークの制度は継続的に活用したいと思いますか?

画像5

全体の3/4の人がリモートワークには前向きに検討をしてくれている結果になりました。また、フルリモートではなく、週2、3といったような複合型の形態を希望する声が数多くありました。

一方で、改善していくべきことは数多くあり、働き方の自由度と生産性の相関という観点が抜け落ちると本末転倒でもあるため、一つずつ対処していきながら、リモートワークの質は高めていく必要がありそうです。

2.見えてきた課題と指針

今回のアンケートを通じて見えてきた課題と、それに対する指針をまとめました。会社の制度・施策としてしっかりとサポートをすべきことと、個人やチームの心得・スタンスで対応していくことなど、多角的な対応を継続していく必要がありそうです。

2.1 コミュニケーション面

Slackなどのチャットツールをベースとしたコミュニケーションがメインになった事により、「量」と「質」に、それぞれ課題があることが見えてきました。

・量に対する課題

そもそものコミュニケーション量が少なくなり、業務上必要な連携が充分に取れていなかったり、逆にミーティングが多くなり、かえってコミュニケーションコストが高くなったという、いわゆるコミュニケーション頻度に関する声が多くありました。

ただ、大事なことは、頻度、接点回数の多い少ないではなく、そのミーティングの目的をはっきりとさせることであり、また、オフィスの時とは異なり、お互いに目に見えない距離のため「管理・監視」が目的になりがちであるからこそ、「規律・繋がり」を大事にしたコミュニケーションを取るように心がけることが大切であると考えます。

・質に対する課題

基本的にはスラックやメールでのコミュニケーションが中心になり、相手に意図は伝わったのか、ちゃんと読んでもらえているのかなど、反応がなかったり、薄かったり不安になることが多くあるようです。また、雑談機会(ブレスト/壁打ち機会)の減少、音声通話のみで相手の顔が見えず表情(感情)が読めないという声もありました。

基本的なことではありますが、受け手はしっかりと反応は返してあげることが大切です。すぐに返信できない時は、スタンプ一つでいいので、見てはいるよ、という反応はしてあげると、送り手の心理的安全感も変わってくると思います。また、コミュニケーションがずれていそうな時は、面倒くさがらずに電話など口頭で確認する時間をとることも結果的に手戻りが少なく、大事であると考えます。

また、オフィスで当たり前のように自然発生的に生まれていた会話(雑談)は、チームとして仕事をしている以上、非常に大事な要素だと考えています。「雑談を禁じたら、会社でのコミュニケーションは、指示・命令だけになってしまう」という文献もあるくらいです。そこで、各部門では、週に1回程度の頻度でチーム全員が集まり、あえてアジェンダを設けないミーティングを実施したり、HR主導で「バーチャルオフィス」と称して、1時間ほど、誰でも出入り可能なセッションを開催することで、雑談機会の創出をしています。

2.2 環境面

会社とは違う作業環境ゆえに、ON/OFFの切り替えが難しかったり、集中力やモチベーションが保ちづらいという環境要因で困難に直面している人は相当数いることも明らかになりました。

これに関しては様々なTipsが世に多く出回っていますので、それらを参考に自分自身にあった環境を整えていくことが好ましいと思いますが、そもそもオフィスと一緒のように仕事をするのは難しい、という前提の理解をしておくことが実は一番大事なのではないか、と思います。オフィスと一緒、という意識が強すぎるとかえってGAP意識を高めてしまい、自分を苦しめることにもなります。

2.3 健康面

運動不足になった、という悩みを抱えている人が多く、副次的に運動不足からくるストレスの増大や睡眠不足、疲労感、不安感、にもつながるリスクもあることが分かりました。

これも環境面と同様に散歩、ストレッチ、ランニングなど多くのTipsがありますが、弊社ではHR主導でラジオ体操を開催しており、意識的に体を動かす機会を作っています。また、従業員同士が顔を合わせることで、ちょっとした雑談機会にもなっており、孤独感の解消にも繋がっています。

3.終わりに

今回のアンケートを通じてリモートワークの良い部分、課題となる部分が見えてきましたが、印象的だったのは「自分と同じ課題を持っている人が知れただけでも不安は解消される」という声を知れたことでした。もちろん、状況やフェーズによってそれらは変化していくものだと思うので、今後も状況が続く限りは定点的にこういったアンケートを通じてしっかりと現状は把握していきたいと考えています。

また、大切なことは事業がしっかりと前に進んでいることと、従業員の(いろんな意味での)健康が保持されていることだと思うので、このアンケートに限らず多角的な観点から組織状態を把握して、今後もアクションしていく必要性を感じています。

WealthParkでは、引き続き一緒に働く仲間を積極的に募集しています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?