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自粛期間明けの人々の心身について思うこと

6月も半ばを過ぎまして、ムスメもようやく今週から毎日午前中登校するようになりました。(6月前半は分散登校だったのです)

長い長いおこもり期間を経て、2月以前の状況に戻らないまでも、浅瀬からそろそろと「新しい日常」の感触を確かめるようなリハビリ期間を過ごされている方が多いのではないでしょうか。

私自身は動いて社会交流することでエネルギーを動かすタイプなので、ムスメとの3ヶ月はほっこりしみじみシアワセ感もありながらの、静かにメンタル栄養失調になっていくような日々でした。

そのあたりのことはこちらに書きました。


世間を見ても、動き出すことでエネルギーを取り戻していっている部分がある一方、自粛期間中よりもさらに見えにくいストレスに侵食されていっている様子も感じ危惧しています。


こちら『Magellan』ライターのセラピスト半澤久恵さんの記事。

「コロナうつ」という言葉もある通り、私たちはクライシスのさなかよりもこの「クライシスからの立ち上がり」のときに難しさが表出します。さなかは、『息を止めて走り抜けろ!』という気合と、みんなでいっせいに耐えている連帯感というリソースがありますし、強度の強いストレスほど人間の心身のシステムはそのストレスに対して「無感覚」になることによってその状態に適応して生き延びることができます。

だんだんとそのフリーズが溶け出していくと、逆にストレスや、その間に抱えていた疲れに気付くようになっていきます。ここで「気付いてしまった」ものを、しっかりとケアしてあげることが重要です。ああ疲れていたんだね、そうだよね、よしよし、と。

わたしもこの自粛期間中は、溶け出していくときに人々が自覚していく疲れ、というもののケアが必要だなと思ってはいました。

2−3ヶ月のマイルドロックダウンの期間に通勤等による運動習慣がなくなると、それなりに気をつけていてもやはり筋力が低下し、体力が低下し、心肺機能が低下し、自律神経の調整力が低下し、ストレス耐性が低下します。
(文末のMagellan特集「生きて死ぬ私たちの元気のこと」へのリンクを参照ください)

オフィスヘルス研究会の面々からも、自粛明け、急に「靴を履いて」「通勤するようになった」ビジネスパーソンに起こる身体症状を聞いて、フィジカルにどんなことが起こっていて、それに対してどうメンテナンスすべきかの知見を共有してもらっています。

肉体面ではある程度「動く」ことが戻ってくれば時間とともに回復してくるはずですが、私の専門領域である「神経」がつなぐ「心身」という観点では、予想以上の複雑な状況になってきているのを(そしてしばらくこれが持続しそうな気配)を感じています。

台風や地震などの自然災害に比べて、この「コロナ禍」と言われる状況は終わりが見えにくいです。ウィルスが見えないだけでなく、感染のほんとうの実体や相関の深いパラメーターがよく分からない。

だからこそ慎重に、できるだけ感染のリスクを下げるような社会環境、行動を心がける・・・このことはある程度合理的です。

けれど「自粛疲れ」も相まって、この何がゴールなのか、感染対策の有効性とそれが引き起こす私たちの精神疲労を総合的に考えた時どのラインが妥当か、があまり議論されていません。(パラメーター不明な時点でこの議論の結論を出すことが難しいのは確かなのですが)

そしてさらにやっかいなのは、「感染対策」という医学的なトピックだったものがだんだんと「倫理道徳」的な話しにすり替わってきてしまい、行動の選択基準が「感染対策として妥当か」ということより「これをやって”つっこまれないか”」という世間の目に対する恐れからスタートしてしまい、結局いつまで経っても「コロナ禍」の緊張感が抜けない。

むしろ、何と戦っているのかよくわからなくなっているまま社会交流の機会が増えている今のほうが、真綿で首を絞めるようなうすいけれどいやーな緊張感が全体を覆っているように感じていますがいかがでしょうか。

わたしはボディーワークという身体に働きかけるセラピーと、トラウマ療法をやっていますが、セラピストはみな「安心感」というものがどれほど人の成長や変容のプロセスを支えるベースとして機能するかを実感していますし、安心感の欠如がどれほどそのプロセスを妨げるかを知っています。

外に出ることや他者と関わることという本来私たちの心身にとってリソースとなるはずのことが「脅威」でありそれを遠ざけることが正しい、という感覚が社会に広がっていくことの影響は非常に大きいと感じます。

特に「世界や他者とつながりが自分を支えてくれる」という感覚を育むべき時期の子どもたちへの感染対策指導は、その妥当性についてもっともっと議論すべきではないでしょうか。

このあたりは、昨日開催した「つながりと安心の神経学」でもお伝えしたことですが、長くなりそうなので次回に続きます。




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▼Magellan特集「生きて死ぬ私たちの元気のこと」
体力→ストレス耐性のつながりはこちらをぜひお読みください。


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