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胸というコンプレックスと、イラストの中の女性の話。ところで、目の前に立っている人があなたのネクタイピンをちらちら見ていたら絶対気付くからぜひ試してみてね。

胸が大きいことが、ずっとコンプレックスだった。

胸の大きさで大人と間違えられることも。

否応なしに「女」として見られることも。

私の意思とは関係ないのに「そんな身体をしているくせに」と嗤われることも。

痛みや、性感の発達なんてお構い無しに乱暴に扱われることも。

「男のロマン」が、私の痛みを無視することも。

初対面の男性の多くが、私の胸と会話していることも。

ずっと嫌だった。

「胸が大きいんだから淫乱」、「性経験も豊富にあるはず」と決めつけられることも。

胸の大きさだけでなく、形や、色や、感度や、加齢や乱暴な扱いによる変形について、勝手に評価され続け、その評価基準を押し付けられることも。

胸の小さい人を見下してるんだろうと言われることも。

文句を言えば自慢だと言われることも。

痛みや不快感なしには走れもしないことも。

慢性的な肩凝りや頭痛も。

選べる服も、下着も限られて、何を着たって「逆に強調されてる」とか、「エロい」と蔑まされることも。

突然伸ばされる女友達の手を、どうして私は笑って許さなければいけないのか?

私は何も悪くないのに。私のせいじゃないのに。

この2つの脂肪のかたまりは、ずっと私を苦しめているものの象徴でもある。

なんでこの話を書こうと思ったかと言うと、献血ポスターが話題になったことがきっかけ。実在するアパレルブランドまで巻き込んでわりと大騒動だったので知ってる人も多いと思う。

「女性を物として扱うな」「必要性のない性的な誇張を公共空間に置くことの是非」という問題が、いつのまにか「胸が大きい女性は存在するのに架空だと騒いでいる」という問題として再定義され、それに胸の大きさに悩む女性のために生み出されたファッションブランドが巻き込まれてるのまじで地獄だな。

これはその時にツイートした私の文書。

故意なのか、無意識なのか、そもそもお互いに言葉を理解できていないのかわからないけれど、命題はどんどんズレて、受け取られ方も変わっていった。

件の献血ポスターに限らず、街中で見かけるイラストの中の女性に眉をひそめることが私は結構ある。

例えば、お祭りなどの対象者が全年齢で街中に貼られるポスターのイラストで、女性が棒状の食べ物に口を開いていたり、唇を舐めていて、上体の半分ほどが透ける素材の服や、胸をはじめ、ボディラインがはっきりとわかる服装をしていたりする。

こういうものを見たとき

①同じように街中にある、他のイラストを基準にジャッジする人
②同種のイベントの、他のチラシを基準にジャッジする人
③同じ対象者向けの表現を基準にジャッジする人
④対象者の一部の年齢(例えば子どもを含むか)を基準にジャッジする人
⑤公共空間の種類や地域性(秋葉原ならOKだけど、地元はダメとか)を基準にジャッジする人
⑥表現方法を問わず、女性(少女)をモデルとした表現を基準にジャッジする人

まぁ、パッと思い付くだけでも、これくらい人の判断基準というのは違う。

ここで大事なのは、何が正解かではなくて、自分の判断基準をわざわざ意識したり説明したりしないのに、その判断基準が違えば答えも自ずと変わってくる、ということだ。

そもそも違う前提条件や、判断基準で話してるのに、どちらが正しいか決めようというのは無理がある。

それに、オタクもフェミニストも、年齢も性別も様々な個々に違う人間で、組織されてるわけでも意思統一されてるわけでもないから、それらを主語にした言説は乱暴だし、雑すぎる。

ちなみに、私の判断基準は、それが実写だった場合に許容できる表現か、だ。

上にあげたような例の場合、それが実写だったなら主催者はOKを出さなかっただろう。女性の表情も、服装も、手に持たせる食べ物も変わったはずだ。

イラストだからこそできる表現や、省略、誇張というのはもちろんあるんだけど。
もし実写だったら、小さな女の子の下着が見えていたら写真を取り直すだろう。それがイラストであるというだけで許される理由が私にはよくわからない。

話が胸からそれたね。

イラストのなかの女性たちは、極端な話でなく、胸の大きさで、キャラクターの性格が決まったりする。

身長や髪の長さともリンクしているんだけど、このぐらいの身長で胸の大きさがこれなら性格はこうで、髪型はこれ、というようなイメージがある。

例えるなら、戦隊もので色によってふりわけられる性格付けみたいなものが、女の胸のサイズによってふりけられる。

なかなかゾッとする話だよね。

これが分かりやすい例示なのか自信がないんだけど、耳の大きさや形で性格が変わるとか、そのくらい馬鹿馬鹿しい話。

人種や、肌の色で、性格付けをすることが差別的な表現であることは結構浸透してきたと思う。なかなか現実からはなくならないけど、少なくともそういう表現をしたら批判の声がきちんとあがるようにはなってきた。

でもそれが、体型の場合は?これも、まぁだんだん批判されるようになってきてる。

じゃあ、女の胸の大きさは?

同じくらいおぞましい話なんだけど、まだ疑問に思う人が出てきたかな、くらい。

「女」は抽象的な概念ではなくて、実在する存在だ。あなたの母親、姉や妹、親戚、友人、知人、目の前を歩いている人間の話なんだけど。

私の主体は胸じゃないし、体の一部で私の何かが決まったりしない。
ましてや、私の身体は1mmたりとも、あなたのために存在してない。


それから女性の胸元を見てもバレてないと思ってる人たち。

タイトルにも書いたけどぜひあなたの胸元を他の人に見てもらって。びっくりするくらいどこ見てるかわかるから。

よく「そんなに見てない」とか言う人いるけど。
それ「(自分が満足するほど)見てない」だけだからね。

ついでに、男の本能とか思った人、あなた以外の男性に失礼だからやめようね。

それから最後に。

「触っても減るもんじゃないんだから触らせろよ」って私に言った中学時代の同級生男子。

私の身体を勝手に性的なものとして扱って、私の尊厳を踏みにじりながら、なにが減るもんじゃないだ。ゴリゴリに削られてるわ。
名前は忘れたし、顔もぼんやりしか思い出せないけど、あなた方を私は一生軽蔑する。

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