嘘と裏切りとトレインスポッティング

嘘をつくかつかれるかだったらどちらがいいか。裏切るのと裏切られるのはどちらがましか。

恋愛中には時々考え過ぎる事がある。一度不安を覚えた頭をリセットするには、わたしの場合は大概音楽を聴くのだが、そんな時はテンションの合う音楽を聴くのがいいようだ。

初めアウスゲイルを聴いて、平穏さを取り戻そうと試み、次に渋さ知ラズを聴いてテンションを揚げようと試み、次にゆらゆら帝国の空洞ですを聴いてから、段々と我に返り、湯船に浸かりながら、ロッソのシャロンは脳内で再生した。

落ち着いたところで湯からあがり、携帯を開くとKから連絡が来ていた。日頃仕事が多忙で帰るのが遅いのだが、それに合わせて電車遅延があったらしい。たかだか連絡が来ないくらいで不安になるわたしもわたしだが、女が本当に恋をするとそんなものであるから仕方がない。

そしてふと思い出した。
嘘をつくかつかれるかだったらどちらがいいか。以前から後者だったし、今でも後者だ。嘘をつくときのあの嫌な感じを感じるくらいなら、何にも気付かず騙されていたい。

といっても彼がわたしに嘘をついているかもしれないと疑っている訳では全くない。どちらかというと、本当のことはどうだっていい。彼がちゃんとわたしと向き合ってくれているという事実がわたしには嬉しい事なのだ。

ようやく安心して眠ろうとして思い出したのが、昨日見返したトレインスポッティング1のエンディングだった。レントンは仲間を裏切り、スパッドは目をつむり、それでいて爽やかなのはどうしてか?わたしだったら誰になるのか?チャンスと勇気を持って行動したレントンが賢いと思うし、そういうある種の見切る力、未来に賭ける力に魅力を感じる。スパッドの男気に欠ける性格に頼りなさを感じつつも、優しさと情の深さに安心するし、暗黙の了解で通じ合っているレントンとスパッドの関係が好きだ。

そして2で観た台詞を思い出した。

チャンスと裏切りの繰り返し
ートレインスポッティング2

2でも裏切りが起こる。だがその実には人生がある。出来事を両面から見れば、嘘も裏切りも否定はできなくなる。実に人間臭い作品で、最も好きな映画の一つだ。

無理矢理締めようと思うが、誰かにとっての嘘や裏切りは、誰かにとっての未来足り得るのだなと、そう思うのだ。

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