カッコいい辞典「こ」
「コツ」である。
物事を上手くこなすためのコツのことである。
僕はいたって普通の人間である。
しかし最近気が付いたことだが、芸事、バイト、趣味などに関して、一つでも不真面目に取り組んでいると、全てを疎かにする人物なのである。
よしそうだとして、逆もしかりである。
一つの物事に真剣に取り組めば自ずと全て真面目に取り組み、それ故成就するのだ。
僕の目標は芸人として売れることである。
芸事をまじめにやることは当然であろう。しかしバイトを疎かにすると、芸事までもが疎かになり、私生活全てが疎かになる。
それが僕と言う人間なのだ。
それに気づいた僕は飲食店のバイトを真剣にすることにした。
するとあな不思議。
歌が上手くなったのだ。
皆様は意味が分からないであろう。
バイトと歌の関連性は?
勿論ないのである。
だが先ほども申した通り、僕と言う人間は全てがつながっている。
故に、バイトのコツを掴むことは、歌のコツを掴むことと同義なのだ。
何故歌が上手くなったと思ったのか。
それは、自転車に乗って歌を口ずさんだ時ふとコツに気が付き、実践すること数分、見違えるほどにビブラートなどをかけられるようになっていた為である。
そこでさっそくカラオケに行く算段を立てた。
翌日は午前中に肉体労働のバイトがあり、夜からお笑いライブ。
その間に行くことに決めた。
当日、へとへとになるまで身体を酷使した後帰宅し、普段なら仮眠を取った後ライブへ向かうところを、休憩なしでカラオケへと向かおうとした。
その時、一陣の閃きとともに母に電話をかけていた。
おそらくカラオケで95点以上たたき出すであろう。
自分にとっては賞賛すべきことだが、何分一人では周りのものに話すとき信じてもらえぬやもしれぬ。
加えて、せっかく僕が歌ウマに変身する記念すべき日なのであるから、立ち合いとして母を選ぶのは至極当然であろう。
親孝行と言うものだ。
そこで母に電話をした時刻が11時半。
母によると、実家に配達の荷物が14時に届くのでそれまでには家にいなければならないので近くまで来てくれたら時間まで付き合えるとのこと。
あと2時間半。
僕の最寄り駅から実家のある駅に向かうのにかかる時間は一時間半。
急いでいけばカラオケ滞在時間は約一時間と言ったところである。
十分であろう。
飛んで向かった。
母と実家の駅で合流してカラオケに入ったところ、母からの第一声が
「あんた目のクマひどいよ、大丈夫?」
そりゃそうである。
普段なら肉体労働の後の仮眠が必須なのにそこを削ったのだ。
満身創痍でデンモクを使い、official髭ダンディズムの「ノーダウト」を選曲。
昨年バイトを不真面目にやっていた時、68点であったが、歌い終えた後、
なんと、驚愕の
80点。
何とも言えない点数に母もがっかりである。
コツはつかんだもののまだ体に落とし込めていなかった模様。
と言うことは飲食のバイトもコツはつかめど、まだまだなのであろう。
とんでもない赤っ恥をかいたものである。
コツを掴むと一気にカッコよくなるわけではないと分かったいい経験である。
しかしコツを掴むということは、カッコよくなる準備ができたということ。
あとは絶え間ない努力次第なのだ。
今回のカッコいい辞典は、カッコよくなる前の段階のことを綴った。
このいわば序章と言うものもカッコいいのである。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
また逢う日まで。
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